2022年09月24日 08:51 弁護士ドットコム
「新聞の折込チラシの求人広告に応募してみたら、サクラ(偽客)のバイトでした。数カ月そこで働いていたのですが、これは犯罪になってしまうのでしょうか?」という相談が弁護士ドットコムに寄せられました。
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「メールをするだけでお金がもらえる」とその求人広告には書かれており、新聞の折込チラシだし、みんなが見ることのできるところに載っているのだから安全だろうと、相談者の女性はその求人に応募しました。
ところが、蓋を開けてみると、その仕事は男性とメールをするいわゆる出会い系サイトでのサクラのバイトで、生活に困っていたので数カ月は働いたものの、良心が痛んで辞めたそうです。
相談者としてはだましている罪悪感があったようですが、このようなサクラのバイトは犯罪となってしまうのでしょうか。鬼沢健士弁護士に聞きました。
——出会い系サイトでのサクラが犯罪に当たることはあるのでしょうか。
出会い系サイトを利用する男性は、異性との出会いを目的としてサイトを利用しています。その上で連絡相手が同じ出会いを求めている女性であると思ってやりとりを重ねており、通常、そのやりとりをするためにポイントを購入しています。
しかし、実際にメール等でやりとりをしていた女性がサクラの場合、出会える可能性はありません。さらに、サクラということですからサイト内でプロフィール設定されている女性と別人であるといった虚偽が重なることがあり得ます。
サイト利用者は、サクラであると知っていればポイント購入しないことは明白です。その出会い系サイトの運営者などには、意図的に利用者の男性を欺いてポイントを購入させていることになり、詐欺罪が成立する可能性があります。
相談者の方も出会い系サイトのサクラを演じることを認識しつつ、バイトとしてサイト運営を手伝っていますので、詐欺罪の幇助が成立することはあり得ます。
——求人広告が多くの人の閲覧可能な状況にあったということは、犯罪の成否に影響を与えるのでしょうか。
求人広告が不特定多数の人に閲覧可能な状況は犯罪になるかならないかに影響は与えません。
むしろそういった多数の人が閲覧できる状況だからこそ、警戒心がなくなり、今回のようなトラブルに巻き込まれかねません。多数の人が見る媒体であっても詐欺的な広告は珍しくありません。
特に「スマホで簡単にできて高収入」という副業の広告が非常に多いので、十分に気をつけてください。
【取材協力弁護士】
鬼沢 健士(おにざわ・たけし)弁護士
詐欺サイト(出会い系、支援金、サクラサイト)・副業詐欺被害救済、交通事故、労働問題、を取り扱う。
事務所名:じょうばん法律事務所
事務所URL:http://www.jobanlaw.com/