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藤井隆、Jamie xx、ロイル・カーナー、ゆうらん船ら、今週のおすすめ楽曲をレビュー

2022年09月23日 12:00  CINRA.NET

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Text by CINRA編集部

毎週更新のCINRAプレイリスト「Songs We Dance To」。ロック / ポップ、インディ、ヒップホップをはじめ、実験的なエレクトロニックミュージックからK-POPまで、ジャンルレスに選曲したプレイリスト(2022年9月19日週更新)から、編集部員が特におすすめしたい楽曲を紹介します。

今年50歳になったポップスター藤井隆と、昨年12月に50周年を迎えたみんな大好きロイヤルホストがコラボレーションした作品『Music Restaurant Royal Host』。15分ほどの長尺プロモーションビデオでは、ロイヤルホスト全面協力のもと、ロイヤルホストの50年の歩みや、藤井によるメニューの実食・紹介、定番メニューランキングや豆知識の紹介などなど、藤井のロイヤルホスト愛が詰まった作品になっている。アーティストと企業が大々的にコラボしつつ、両者の良さが引き立った楽しいコラボ。

アルバムは「さまざまな方のニーズに応え、 末永く愛されるアルバム作りを目指した作品」とコメントするように、KAKKO(鈴木杏樹)、音葉(鈴木京香)、東郷清丸、Night Tempo、 パソコン音楽クラブ、 堀込泰行ら豪華な参加クリエイターとともにつくり上げた、いろんな味が楽しめる作品になっている。同曲の作詞はYOUとLEO今井、作曲・編曲は砂原良徳が担当。(川浦慧)

今年2曲目となるJamie xxの新曲。4月にリリースされた“LET'S DO IT AGAIN”のハウシーな高揚感も記憶に新しいなかリリースされた“KILL DEM”は、カッティ・ランクスによるダンスホールクラシック“Limb By Limb”(1993年)をカットアップしたダンスナンバーだ。

ジャケットが物語っているように、そこにはサウンドシステムカルチャーへのリスペクトが込められており、実際に“KILL DEM”は、ジェイミーが10代の頃に初めて参加した『Notting Hill Carnival』のパーティーとサウンドシステムのエネルギーにインスパイアされているのだという。そもそもUKダンスミュージックの低音にはレゲエ~ダブが息づいているわけだけれど、ロンドンという都市と文化にカリブ海の人々の苦難と闘争の歴史が刻まれている(※)。この曲はそんなことに遠く極東から思いを馳せさせる。(山元翔一)

サウスロンドンのラッパー、ロイル・カーナーが10月にリリースするニューアルバム『hugo』からの新曲。ゴスペル調のコーラスでエモーショナルに幕を開けるビートの上でラップされるのは、ミックスルーツであることや家族への思い、自身のアイデンティティーの探究をするむきだしの力強い言葉。「父性、許し、その間にあるもの」についての曲であり、自分が疎外されているように感じていた時に書かれた詞なのだという。Uncannyがディレクションを務めたMVは全編ワンカットで撮影。カーナーの姿を正面からとらえて視線を離さない映像からは、その生々しい感情が直に伝わってくるようだ。(後藤美波)

5月にリリースした2ndアルバム『MY REVOLUTION』も評判の5人組バンド・ゆうらん船。新曲“春”は、SUMIRE、神尾楓珠ら出演のTBSドラマ『階段下のゴッホ』のオープニングテーマとして起用されている楽曲だ。端正でジェントルなフォークロックをベースに、後半ではゴスペルを思わせるコーラスを配してダイナミックな展開を見せる。

親しげなサウンドのすぐ裏側に、何か得体の知れないものが充満しているような気配。見慣れたはずの街並みで迷子になってしまうような不思議な感覚が、彼らの楽曲にはある。そしてそんな感覚を生む、ゆるさ / 緊張感の絶妙なバランス、ダンスミュージックやエレクトロニックな音楽からの影響を経て研ぎ澄まされたポストプロダクションが、使い古されたフォークロックというフォーマットにいま聴かれるべき切実なみずみずしさを与えている。こういうあり方は、たとえば海の向こうのBig Thiefともどこかで共振しているかもしれない。(佐伯享介)

そのほか、never young beach、NCT127、MuraMasa、Neibiss、BLACKPINK、松任谷由実、Jessie Reyez、Boys noize、Joesefなどの新曲30曲を追加。CINRA編集部がいま聴いている曲をセレクトするプレイリスト「Songs We Dance To」は、Apple Musicで毎週水曜に更新中。