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旧統一教会「過度の献金させない」宣言するも過去の勧誘は処分なし 山上家庭は対象外に

2022年09月22日 19:11  弁護士ドットコム

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世界平和統一家庭連合(旧統一教会)が9月22日、東京都渋谷区松濤の本部で、会見を行った。威迫や困惑を伴うような勧誘をせず、過度な献金をさせないよう配慮した上で、違反があった場合は内部で処分するーーなどを掲げた教会改革推進本部を設置したと発表した。


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教会改革推進本部長に就任した勅使河原秀行氏と福本修也弁護士が出席。安倍氏襲撃事件を機に、政府が相談窓口を設置していることなどを受け、「教会として何も対応しないのは非常識だ」(勅使河原氏)と判断したという。



しかし、報道陣から厳しい質問が飛び始めると「詳しいことはこれから決める」「現場のクレームは把握しきれない」などと曖昧な回答に終始した。山上家についても「過度の献金」と認めたものの、1990年代の事例は適用しないため、処罰の対象外との認識を示した。



●「コンプライアンス宣言以降は改善」を強調

勅使河原氏は冒頭、安倍元首相銃撃事件の山上容疑者が教会への恨みを供述していることについて「胸を痛めている」と説明。「教会との関係について政治家が詰問される事態を招いていること、また苦しみを告白する元信者の体験について申し訳なく思う。たった一人でも恨みを買うことはあってはならない」と述べた。



一方で、勅使河原氏はコンプライアンス宣言を掲げた2009年以降には、訴訟となって和解した例は4件で3800万円しかないと強調。全国霊感商法対策弁護士連絡会が公表している数字は相談件数であり、被害ではないとした。また、福本弁護士も「09年以降に霊感商法等で献金した被害として敗訴したものは一切ない」と説明した。(22日午後7時57分に教会側から訂正があり、和解は3件で1件は判決。和解額の合計は2080万円、判決1件で判決額520万円、一部和解額140万円)



●TBS報道特集と霊感弁護団にブチギレ

会見場は2階にあり、正面に小さい舞台を備えた礼拝堂だ。広報によると「本丸中の本丸」で、白い壁紙に木目の柱、レースのカーテン、ろうそく風のライトがある厳かな場だった。



外の入口には招待者しか入場できないとの張り紙とコーンが立てられ、職員が5、6人待ち受けていた。赤いじゅうたんが敷かれた階段を上ると、木の献金箱が2つ。入口にあったものも合わせて3つ確認できた。



靴を脱いで入り、静かな雰囲気で始まった会見。広報によると、大手の新聞社や通信社、テレビ局など招待した報道機関のみを対象にした。改革の方向性を説明する30分間は穏やかに進んだが、質疑応答になると、一転して熱を帯びた。



TBS報道特集の金平茂紀氏から元信者らの苦しみにわびないのか、なぜ銃撃事件が起きたか、などの質問が続くと、福本弁護士は激高した。



「コンプライアンス宣言以降、霊感商法だと損害賠償を求めて訴えたものは、この13年間ありません! 山上容疑者のお母さんのことは1990年代の話です。はるか以前の問題です」と声を荒らげ、もう打ち切ってくれと広報にサインを出した。



勅使河原氏も「今も霊感商法が行われているかのような報道、それを主導していると思える左翼系弁護士の方々が国民をミスリードしている」と批判した。





●山上家庭は「過度の献金」だが、勧誘者は処罰対象外

霊感商法対策にあたる弁護士は、2009年以前の被害について教会側は謝罪や総括をしていないと指摘している。



福本弁護士は、山上容疑者の家庭については1億円の献金が生命保険と不動産の売却分といわれている点について確認できており、「過度の献金」に当たるとの認識を示した。



しかし、当時勧誘した教会長を内部規定で罰するかについて「規程ができたのは2012年ごろ」(勅使河原氏)といい、福本氏も過去に遡ってコンプライアンス宣言以前の被害については対象としないとした。



統一教会が改革の方向性として発表したのは以下の通り。



(2009 年コンプライアンス宣言時からの指導の徹底)①民事裁判等で問題とされたような、献金と先祖の因縁等を殊更に結びつける、または、威迫・困惑を伴うような献金奨励・勧誘行為はしてはならない。②信者への献金の奨励・勧誘行為はあくまでも信者本人の信仰に基づく自主性及び自由意思を尊重し、信者の経済状態に比して過度な献金とならないよう、十分配慮しなければならない。③伝道活動において、勧誘の当初から家庭連合であることを明示すること。(追加する指導基準)①上記の②に関して、ここでいう「過度な」とは、献金により通常の社会生活(家族も含む)を困難にするような程度、あるいは、献金の為に借金をする等のことであることを明示し、献金が信者の生活を圧迫することが決して無いよう指導を徹底致します。(その他の施策)①政府で対応するとされている被害を訴える方への対応に関して、当法人に対して返金請求や被害を訴えるなどの申し出があった場合は、一件一件誠意を尽くして対応し、自ら早期に解決を図って参ります。②全世界の宣教活動への支援につきましては、これを大幅に見直す(減額する)こととし、予算全体の減額、および、国内への教育、文化活動、支援活動への使用を拡充することと致します。③本部に「教会改革推進本部」を設置し、これらの改革の実行が教団の隅々に至るまで確実になされること、および、その影響や効果を常に測定しながら臨機応変な対応策を講じ、改革の目的である教会が広く社会から信頼され、公益に資する宗教法人として本来の使命を果たせるよう、また、今後一切世間からの誤解を受けることが無いよう、効果的な教会改革を推進致します。④今後、上記の方針に違反する責任者、職員については内部規定に基づき厳正に処分を行います。