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MOTUL AUTECH Z、ウエットの序盤にトップ奪取も2位。クインタレッリ「30年のなかで一番悔しいレース」

2022年09月18日 23:40  AUTOSPORT web

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結果的に優勝した3号車に対して1回ピットストップが多くなって2位となった23号車
スーパーGT第6戦SUGO、GT500クラスはミシュランが2年前から導入していた新トレッドパターンのウエットタイヤが決勝レースのダンプコンディションにマッチして、3号車CRAFTSPORTS MOTUL Zが優勝、2位にMOTUL AUTECH Zとミシュラン装着の2台がワン・ツーを達成。しかし、序盤にトップを走行していた23号車にとっては、ピットタイミングのあやで順位を落としてしまうという悔しい2位となってしまった。

 予選3番手から、モラルハザード累積のペナルティを受けて7番グリッドからスタートすることになった23号車。スタートを務めたロニー・クインタレッリは序盤、ドライの路面ではペースが上がらず、8番グリッドの64号車Modulo NSX-GTに追い上げられる展開となった。

 マシンを左右に振る動作を見せるクインタレッリ。「ピックアップがあったりして、あの時間帯はタイヤがマッチしていませんでした」と振り返る。

「ドライのロングのペースでは正直、結構キツかった。速いクルマが他にもたくさんいた。レース序盤はタイヤのウォームアップが足りないところがありましたね」と話すのは、23号車の田中利和監督代理。実は今回の23号車、体調不良で欠場した中島健監督&エンジニアに代わって、監督とエンジニアがそれぞれ代理として担当していた。

 その23号車は16周目、最初の雨が降り出したときにはステイアウトを選択した。トップグループ、そして3号車がピットインしてウエットタイヤに換えるなか、ドライタイヤでコースに留まり2番手まで順位を上げ、同じくステイアウトしたダンロップ装着の16号車Red Bull MOTUL MUGEN NSX-GTとともに、トップを争う位置まで順位を上げる好采配を見せた。

「雨が降ってきて、ミシュランがずっと開発を続けてきた新型ウエットを今年初めてレースで履いて、彼らのタイヤに助けられた。ここ数年、ずっとニッサン勢が苦しい思いをしてきたなかで、クルマの開発をスタッフが続けて、タイヤもBS(ブリヂストン)さんにキャッチアップしないといけないということで頑張ってきた結果です」と、田中代理監督も手応えを感じていた。

 ステアリングを握っていたクインタレッリも、あまりに理想的な展開に驚いていた。

「雨が強くなってきたけど、僕はステイアウトしたくてチームに言っていて、そのときRed Bull (MOTUL MUGEN NSX-GT)と僕がステイして、『こんな簡単な展開になるなんて今日はツイているな』って思っていたら……」

 そうクインタレッリが話した、運命の45周目。

 SPコーナーでGT300マシンがスピンしてストップ。23号車の首脳陣は、ここでピットストップを選択した。

「GT300がスピンして止まって、ウチのチームの判断としては(GT300マシンが)止まったのが芝の中だったので、そんなに簡単には出られないだろうという判断でした」と田中監督代理。

「どの道、どのタイミングでピットに入れるかというタイミングだったので、ウチが先に動いた。それを見て、3号車はピットも隣り合わせですので、ステイを選んだ。それが勝敗を分けたということですよね」と、続ける田中監督代理。

 ステアリングを握っていたクインタレッリは、悔しい表情でその瞬間を振り返る。

「チームから、『FCY(フルコースイエロ-)が入るからピットに入ってほしい』というので入ったら、FCYは入らなかった。……GTは難しいね」

 この時の選択の違いで3号車と23号車は実質、1回のピットストップ時間分のギャップがついてしまい、結果的に23号車は2位。

 リザルト上はニスモのワン・ツーとはなったが、この第6戦を迎えるにあたってランキング9位だった23号車にとっては、残り3戦でチャンピオンを狙うためにも今回のSUGOで大量得点獲得はマストの状況だった。3号車CRAFTSPORTS MOTUL Z、そして12号車カルソニック IMPUL Zに続いて、ニッサン陣営のエース車両として、Zでのチーム初勝利が喉から手が出るほどほしかったのは間違いない。

 その千載一遇のチャンスを逃す結果になってしまった。

「やっぱり勝てるチャンスがあったから、正直、悔しいですよね。当然、ドライバーも悔しいと思うし、チームも悔しいし。今日は3号車はおめでとうですけど、やっぱり悔しいですよね」と、田中監督代理。

 クインタレッリも、「(キャリア)30年のなかで、一番悔しいレースでした。すごく悔しいです」と、表彰台を終えた直後でも、厳しい表情のままだった。