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旧統一教会に解散命令出すべきか 紀藤氏「法人格なくなれば弱体化する」、消極論を批判 霊感商法検討会

2022年09月15日 13:41  弁護士ドットコム

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消費者庁の霊感商法対策検討会の第3回会合が9月15日、開かれた。宗教法人への献金に対する民法上の規制や、団体の解散命令について話し合った。


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議論の中で、座長の河上正二東京大名誉教授が「法人の解散をしても、個人は残るということを前提として考える必要もある」と消極的な姿勢を見せたことに対し、紀藤正樹弁護士がかみつく場面もあった。



紀藤氏は「神世界」「法の華三法行」などの例を挙げ、法人格の剥奪だけでも圧倒的に力は弱くなると指摘。「被害を放置した問題点の一つは、行政手続きがされなかったこと。そこを重大に考えてほしい」と強調した。 ​​



●「民法上の違法も重視すべき」

解散命令を規定する宗教法人法では、規定に違反する疑いがあった場合は文化庁が団体に対して質問することができるとしている。消費者庁事務局によると、文化庁がこれまで同法に基づく質問権の行使を行った事例はないという。



これに対し、紀藤氏や菅野志桜里弁護士からは、「違法」を実質的に刑事事件に限っている点を問題視する発言が相次いだ。



紀藤氏は「民法学者に対する冒涜ではないか。民事上の違法性が判決で認められているのに、行政による民事ルールへの無理解を表している」と批判した。



●民法学者も改正や新法の可能性に言及

冒頭には、民法学者で中央大院法務研究科の宮下修一教授が、宗教法人への寄付を「契約」としてとらえられるかについて検討した結果を説明。現行法では限界があるとし、既存の法律の拡充に言及し、「根本的な解決をするには、包括的な規定が必要」との認識を示した。



これに対し、紀藤氏は「学者の意見は非常に助かる。これまで献金の性質について、きちんと書いてあるものがなく、裁判でぎりぎり争うのが実際だった」と述べた。追加の問題提起として、旧統一教会では日本人信者が韓国に現金を持っていく脱法行為があると説明し、法律の適用範囲を一層拡大するよう求めた。



次回は9月22日で、個別案件が議題のため非公開とする。