2022年09月14日 11:51 弁護士ドットコム
全国に462万人いる企業に属さず個人で働くフリーランスの人たちを保護する新法の概要が9月13日、公表された。10月にも予定されている秋の臨時国会に提出する方針という。政府は9月27日までパブリックコメントを募っている。
【関連記事:お通し代「キャベツ1皿」3000円に驚き・・・お店に「説明義務」はないの?】
フリーランスに業務を委託する全企業に義務規定や禁止行為を設け、違反した場合には政府が勧告や命令をすることが柱となっている。
政府は2021年に内閣官房・公取委・中小企業庁・厚労省の連名でフリーランスの労働環境を整備するためのガイドラインを公表していたが、これを発展させた形となる。
今回の新法案では、企業側に義務化されたのは次の3つ。
①業務委託の開始・終了に関する義務
②業務委託の募集に関する義務
③報酬の支払に関する義務
①では、業務委託の内容や報酬額などを記した書面やメールを渡さなければならない。また、一定期間以上の間継続的に業務委託を行う場合は、契約期間、契約の終了理由などを提示する。また、中途解約や更新しない場合は事前予告が必要だ。原則、満了の30日前までとしている。
②では、フリーランス募集の情報は正確・最新の内容に保ち、誤解を生じさせる表示をしてはならない。また、フリーランスへの条件の明示、契約内容が異なる場合には説明が必要とされている。
③は役務等の提供を受けた日から60日以内に報酬を支払わなければならないとの規定だ。
さらに、一定期間以上の間の継続的な業務委託に関しては、7つの禁止行為を設けた。①から⑤までは「してはならないもの」とし、⑥と⑦はその行為で「フリーランスの利益を不当に害してはならない」とされている。
① フリーランスの責めに帰すべき理由なく受領を拒否すること② フリーランスの責めに帰すべき理由なく報酬を減額すること③ フリーランスの責めに帰すべき理由なく返品を行うこと④ 通常相場に比べ著しく低い報酬の額を不当に定めること⑤ 正当な理由なく自己の指定する物の購入・役務の利用を強制すること⑥ 自己のために金銭、役務その他の経済上の利益を提供させること⑦ フリーランスの責めに帰すべき理由なく給付の内容を変更させ、又はやり直させること
これに加え、「取り組むべき事項」として ハラスメント対策と出産・育児・介護との両立への配慮を挙げている。
企業が上記3つの義務規定や、7つの禁止行為、取り組むべき事項について遵守事項に違反する事実があった場合、行政機関(公正取引委員会など)が助言、指導、勧告、公表、命令などの措置をするという。