マックス・フェルスタッペン(レッドブル)が、F1イタリアGPで優勝し、今シーズン11勝目を挙げた。フェルスタッペンの最多年間優勝回数は昨年の10勝だったから、6戦を残して早くも昨年を上回ったことになる。
しかも、今回のレースは内燃機関(ICE)交換によるグリッドペナルティにより7番手からスタートした末の逆転優勝だった。
フェルスタッペンとレッドブルが優勝できた最大の要因は、ドライバーとマシンの完成度の高さによるところが大きい。しかし、今回フェルスタッペンと、ポールポジションからスタートして優勝争いを演じたシャルル・ルクレール(フェラーリ)との勝敗を分けたのは、12周目に出されたバーチャルセーフティカー(VSC)だった。
11周目にセバスチャン・ベッテル(アストンマーティン)がマシントラブルでコース脇にマシンを止めたため、その翌周の12周目にVSCが提示された。
ここでピットインしたのは、ルクレールだった。そのため、ルクレールは2ストップ選択を取らざるを得なくなり、1ストップ戦略のフェルスタッペンに逆転を許すことになったが、これはフェラーリ陣営の采配ミスではない。
フェルスタッペンは言う。
「シャルルとは逆の戦略で行くと言われていたから、もしシャルルがステイアウトしていたら、僕はピットインしていたよ」
一方、ルクレールもフェルスタッペンとレッドブル陣営がそう考えていたことはわかっていた。
「みんなはあのピットストップで負けたんじゃないかと疑っていたと思うけど、もし僕がピットインしていなければ、マックスがピットインしていたよ」(ルクレール)
では、なぜVSC時にピットインしなかったフェルスタッペンがその後、優勢に立つことができたのか。それはVSCが予想よりも早く解除されて、レースが再開されたからだった。
「ちょっと残念だったのは、ピットレーンの途中でVSCが終了してしまって、VSC下でピットストップしたメリットを完全に享受できなかったからなんだ。その瞬間、僕たちはステイアウトしたマックスの後手に回ってしまったんだ」(ルクレール)
それでも、レース終盤にセーフティカーが出され、フェルスタッペンがそれまで築いていた約17秒のギャップは、2秒にまで縮まった。しかし、今度は撤去に時間がかかったことと、セーフティカーランの手順に時間を要して、レースは再開されることはなく、セーフティカーランのままチェッカーフラッグとなった。
この優勝で獲得ポイントを335点としたフェルスタッペンは、ドライバーズランキング2位のルクレールとの差を116点に広げた。次戦シンガポールGPでフェルスタッペンが優勝とファステストラップを獲得し、ルクレールが8位以下、またはフェルスタッペンが優勝し、ルクレールが9位以下の場合、フェルスタッペンの2連覇が決定する。