9月11日、静岡県の富士スピードウェイで6時間の決勝レースが行われたWEC世界耐久選手権第5戦富士6時間。レースウイーク直前に急遽参戦が決まったチーム・プロジェクト1の木村武史はスタートドライバーの大役を務め、56号車は8位でフィニッシュ。チームから高い評価を得た。
ヨーロピアン・ル・マン・シリーズでクラス王者を争うなど、今季も精力的にスポーツカーレースに挑戦を続けている木村は、このレースウイーク直前にチーム・プロジェクト1の56号車ポルシェ911 RSRのブロンズドライバーであるブレンダン・イリビの代役として、2日前に急遽参戦が決定していた。
フリープラクティスでは乗り慣れないポルシェのドライビングに多くの気づきを得ながらの走行となったが、予選日にはほぼ手中に。迎えた決勝では、他の多くのLM-GTE Am参戦チーム同様、スタートドライバーを務めた。
リラックスした様子でレースに臨んだ木村は、序盤からクラス7~8番手を走行。ダブルスティントをこなしていくが、その際にはポルシェのファクトリードライバーである77号車ポルシェのクリスチャン・リエドをかわすなど、大いに存在感をみせつけた。
木村は64周を走りピットインし、オリバー・ミルロイに交代。見事その役目を務め、56号車は8位でフィニッシュした。今回のレースはアストンマーティンとフェラーリが速く、ポルシェの最上位は同じチーム・プロジェクト1の46号車の6位。その46号車と同一周回なのだから十分評価されるべき結果だろう。
「疲れましたね(笑)。1時間45分以上乗ってましたから」と木村はレースを振り返った。
「序盤、うしろにいた他のポルシェとも同じペースで走ることができましたし、100Rの走り方がフェラーリと違うので、そこで追いつかれた部分はありましたが、後半はその走りを変えて、ELMSで首位のリエド選手を抜くこともできました」
今回のレースについては「こんなもんじゃないかな、と思いますけどね(笑)。でも楽しめました。ぶつけなくて良かったです」とアストンマーティン、フェラーリの速さの前に、結果には満足していると木村。
とはいえこの8位は、チーム・プロジェクト1の56号車にとって、シーズンで2番目の成績。チームからも大きな信頼を勝ち得た。また現在のところ木村が主宰するカーガイ・レーシングはフェラーリをメインに使用しているが、今回の結果はポルシェをはじめ、世界のブロンズドライバーの“マーケット”を注視しているメーカーにも大きなアピールになったはずだ。