パチンコホールは長年、タバコ臭い施設として有名だったが、2020年4月の改正健康増進法の施行で改善。現在では一部の店が電子タバコのみ許可する程度で、今ではどのホールも、タバコ臭さと無縁になっている。
そして今、もう一つの嫌悪要因であった騒音問題にもメスが入ろうとしている。実は昨今、パチンコホール側があらかじめ、遊技台の設定音量を低めに調節するというケースが増えているのだ。(文:松本ミゾレ)
爆音が嫌で耳栓をするユーザーも
ご存じの方は多いかもしれないが、最近の台はユーザーが自分で音量を調節可能になっていて、うるさい台を打つときは、周りの迷惑にならないように音を小さくして打つユーザーもいる。
しかし、一定時間操作がないと自動で音量が最大に戻ってしまう機種もあったので、そういう場合は台を開けて店員が設定をいじる必要がある。だけど音量設定をわざわざ店側が行うということは、これまであまり一般的ではなかった・
一つにはまず、パチンコは爆音と強烈な光でユーザーを麻痺させて、ガンガンお金を使わせることが、特に根拠もなく是とされてきたことが大きい。ところが数年ほど前からユーザーも音量設定できるような台が出回ると、意外とみんな冷静に音を下げて遊技するようになったのだ。というかそれ以前の時代から、爆音を嫌って高性能の耳栓を使っているユーザーもいたぐらいで。となるともう、完全に遊技台の爆音って蛇足だったという話になる。
加えて、音量調節をユーザーがやれるようになってからというもの、音を下げないユーザーが他のユーザーに目の敵にされるということも起きるようになった。
「だったらもう、いっそ店側が音量をいじって最初から爆音を予防しよう」
最近になってそういう流れになってきたのである。
客足にも影響するかも?
僕が最初に「あ、このホール、音量調節してくれてるな」と気付いたのが、千葉県習志野にある某ホールだった。このお店、グランドオープンから2年ぐらいしか経過していないのに、先日閉店することとなってしまったが、当初から遊技台の音量問題に熱心に取り組んでいる姿勢は好印象であった。
メーカーにもよるが、うるさい台って本当にうるさいのだ。今の時代、スピーカーも無駄に高性能だし、そのスピーカーが壊れて音が割れると、もはやひどい有様。だからこそ、あらかじめ音を抑えてくれるこのお店は、居心地がよかった。こういうお店って僕が知らないだけで、既に色々とあるんだろう。
都内だと、秋葉原の有名ホールが今年の8月に設置している遊技台の音量見直しを行ったとツイッターで発信している。それからしばらくして、秋葉原の別ホールでも音量設定が可能な遊技台で調整を行ったとツイート。これらがパチンコ系のまとめブログなどでも紹介されて話題になった。好意的に受け止めるユーザーも多いようだ。
たかが音量、されど音量。本当にうるさい台って「これテストした人、ちゃんと聴力検査とかしてるのかな」と不安になるようなものもある。出玉面で期待できない時代だし、釘も設定も渋いことなんてユーザーも内心わかってはいるわけで、そうなると後は、いかに余計な部分のストレスをなくすかがホールにとっては重要になるだろう。
音量調整は、その努力要素としては意外にバカにできないものだ。ユーザーだって、どうせ負けるなら気持ちよく負けて泣きたいし……。