Text by CINRA編集部
イギリスのエリザベス女王が9月8日、滞在していたスコットランド・バルモラル城で亡くなった。96歳だった。イギリス史上最長となる70年にわたり在位した女王の訃報を受け、各地から追悼の声が相次いでいる。
エリザベス女王といえば、2012年に開催されたロンドンオリンピック開会式での映像が記憶に残っている人も多いのではないだろうか。
映画『007』シリーズのダニエル・クレイグ演じるジェームズ・ボンドと共演した女王は、バッキンガム宮殿でボンドにエスコートされ、ヘリコプターからパラシュートでスタジアムに舞い降りる大胆な演出を披露。実際に飛び降りたのはもちろんスタントダブルだったが、ユーモアを織り交ぜたイギリスらしいパフォーマンスが大きな反響を呼んだ。
映像を手がけたのは『トレインスポッティング』や『スラムドッグ$ミリオネア』で知られ、開会式の芸術監督を務めたダニー・ボイル監督だ。
このコラボレーションの舞台裏を、エリザベス女王の専属スタイリストだったアンジェラ・ケリーが自身の著書で明かしている。ケリーの手記によると、ボイル監督から『007』とのコラボの提案を受けた女王は、アイデアを「すごく面白がり、すぐに快諾した」という(*1)。
また、セリフがあることが問題ないか問われた女王は、「もちろん、私は何か言うべきでしょう。彼は私を助けに来てくれるんですから」と答え、「こんばんは、ミスター・ボンド」というセリフを選んだという。
イギリスカルチャーとの関わりも深かったエリザベス女王。半生を描いたNetflixのオリジナルドラマシリーズ『ザ・クラウン』は日本でも人気を博しており、11月にシーズン5を配信予定。シーズン6の制作も予定している。
パンクバンドのSex Pistolsの代表曲の一つ、”God Save The Queen”をめぐるエピソードも有名だ。1977年、エリザベス女王の在位25周年を記念してリリースされたが、「女王は人間ではない」などと痛烈に批判する内容が物議を醸し、BBCで放送禁止となった(*2)。
The Beatles時代に楽曲”Her Majesty”(女王陛下)を書いたポール・マッカートニーは自身のTwitterで追悼のメッセージを投稿している。