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新生児科医・小児科医ふらいと先生の子育て「これってほんと? 」答えます 第3回 「父親の出番は3歳から」ほんと?

2022年09月07日 16:31  マイナビニュース

マイナビニュース

画像提供:マイナビニュース
「無痛分娩だと愛情が湧かない」「離乳食は手作りがいちばん」――昔から育児当事者を苦しめてきた子育てにまつわる迷信や神話、さらにネット社会で広がる真偽不明の育児情報。



そんな育児の「これってほんと? 」について、ツイッターで人気の小児科医・ふらいと先生をはじめとする専門家たちが答える1冊が登場しました。この連載では、『新生児科医・小児科医ふらいと先生の 子育て「これってほんと?」答えます』(西東社)より、一部抜粋してご紹介します。

○A. いいえ。



3歳児神話に科学的根拠はありません。愛着形成は父親も母親もどちらもできます。

かつて広く信じられていた〝3歳児神話"――子どもが3歳になるまでは母親が子育てに専念しないと子どもに悪影響が出るという説は、いまでは完全に否定されています。



子どもの脳が3歳までに急速に発達し、愛着形成といって、この時期までに人に対する基本的信頼感の土台を築くというのは本当です。ただかつて考えられていた、これを担うのは母親の役割であって父親にはむずかしいという思い込みについては、さまざまな研究で「父親も同じように愛着形成できる」と明らかになったことで否定されました。



『父親の科学~見直される男親の子育て』(ポール・レイバーン著、東竜ノ介訳 白揚社)で紹介されていた実験では、赤ちゃんがいる部屋に母親、父親、そして他人に出入りしてもらったところ、母親に寄っていった子がもっとも多く、次に父親。他人に近づいた子はいませんでした。



ほら、やっぱり赤ちゃんにはお母さんがいちばん! と思ってしまいそうですが、じつは赤ちゃんが寄っていった父親は、父子で過ごす時間が長かった父親だったのだそうです。つまり、「愛着形成はお母さんじゃなきゃダメ」とは、結果論に過ぎないことを示しています。



これまで、たいていの家庭では母子がいちばん長くいっしょにいたから、そうなっていただけなのです。また、両親だけでなく祖父母などのほかの家族とかかわること、保育園や幼稚園などで家族以外の複数の大人とかかわることが、発達にポジティブなインパクトを与えることもわかっています。


○答えた人:認定NPO法人フローレンス 前田晃平

株式会社リクルートホールディングスの新規事業開発室を経て、現在、同法人の代表室長。政府の「こども政策の推進に係る有識者会議」の委員を務める。妻と娘と3人暮らし。noteでは子育てや家族の日常、社会問題を発信。著書に『パパの家庭進出がニッポンを変えるのだ!』(光文社)。Twitter:@coheemaeda※プロフィールは発刊時のものです。


○『新生児科医・小児科医ふらいと先生の 子育て「これってほんと?」答えます』


(西東社刊/1,430円)

もう悩まない、ふりまわされない! Twitterで正確な医療知識を発信しつづける"ふらいと先生"待望の書。子育ての常識は日進月歩。昔は当たり前だったことが今はまったく違う、ということはたくさんあります。また、ネット社会になり育児不安をあおるようなうわさやうそかほんとかわからない情報がSNSなどをつうじて広く拡散されるようにもなりました。いっぽうで、お母さんだけに負担を押しつけるような育児の迷信・神話は変わらず存在し、いまだ「呪い」のように育児当事者を苦しめています。そのひとつひとつについて「これってほんと?」と問い直し、専門家が最新の知見に基づいて科学的に答えていく一冊です。

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