2022年09月04日 09:31 弁護士ドットコム
夫が逮捕された——。弁護士ドットコムのみんなの法律相談には、パートナーが逮捕されたという相談が複数寄せられています。
【関連記事:花嫁に水ぶっかけ、「きれいじゃねえ」と暴言…結婚式ぶち壊しの招待客に慰謝料請求したい!】
ある女性の夫は、性犯罪で数年間の服役を終えて出所しました。女性はこの間離婚について悩んでいましたが、新たなパートナーと出会ったことで、離婚の決意ができたといいます。
「ダメなこととは分かっていましたが、私は彼を選びました」と女性。ただ、夫は女性が不倫をしていることを知りません。このような場合、慰謝料の問題はどうなるのでしょうか。
——女性の行為は不倫になりますか?
婚姻期間中に第三者と身体の関係を結ぶ行為は、原則として、不貞行為にあたります。不貞行為は、民法709条の不法行為です。
したがって、夫が不貞行為の事実を知って、女性に離婚と慰謝料を請求すれば、女性が夫に対して慰謝料を支払わなければならない場合が多いと考えられます。
しかし、婚姻期間中に不貞行為をした場合でも、その時点で、婚姻関係が既に破綻していた場合は、慰謝料を支払う必要はありません。また、夫が不貞行為を知らないまま離婚に同意した場合など、慰謝料が問題にならない可能性もあります。
——今回のように犯罪行為や服役があった場合、婚姻関係が破綻していたと判断されるのでしょうか。その場合、どの時点で破綻したと判断されるのでしょうか。
今回のケースは、数年間の実刑判決を受けた経緯があるとのことですので、夫が犯した性犯罪は、かなり重い可能性があります。したがって、夫が先に婚姻関係を破綻させたと考えられる余地があり、その場合は、慰謝料を支払う必要がないと判断される可能性があります。
どの時点で婚姻関係が破綻したと判断されるかについては、ケースバイケースです。
夫が犯した性犯罪が重い場合は、犯罪を実行した時点で、婚姻関係が破綻したと判断される可能性があります。一方で、軽い犯罪の場合は、それだけで破綻したとは認められないでしょう。
実際に、過去の裁判例では、複数回にわたって犯罪を犯して収監された行為が、婚姻関係を破綻させる行為に該当すると認定された例があります。
【取材協力弁護士】
近藤 美香(こんどう・みか)弁護士
弁護士登録直後から大手弁護士法人にて500件以上の離婚・不倫慰謝料問題の解決に関与。夫婦カウンセラー資格保有。これまでのキャリアを生かし、独立後も引き続きこれらの問題に注力しています。
事務所名:エトワール法律事務所
事務所URL:https://etoile-lawoffice.jp/