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INI、3作連続でシングルチャート首位 トレンドを押さえたサウンドと巧みなボーカルが堪能できる一枚に

2022年09月03日 10:01  リアルサウンド

リアルサウンド

INI『M』(通常盤)

参照:https://www.oricon.co.jp/rank/js/w/2022-09-05/


 2022年9月5日付のオリコン週間シングルランキングで『M』が1位を獲得し、デビュー以来の3作品連続で首位を獲得することになったのがINI。2021年11月のデビューシングル『A』、2022年4月の2ND SINGLE『I』、そして2022年8月の3RD SINGLE『M』のすべてで1位を獲得しました。リリースがまずハイペースです。


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 INIは11人組。オーディション番組『PRODUCE 101 JAPAN SEASON2』で生まれ、韓国のCJ ENMと吉本興業によって設立されたLAPONEエンタテインメントに所属しています。JO1は彼らの先輩。こう説明すると「今」っぽさを感じる向きも多いのではないでしょうか。


 『M』に収録されているメイントラックの「Password」は、ヒップホップ色の濃いトラック。ファルセットをうまく使ってボーカルの艶を引きたてている歌のパートもあれば、ラップのパートもあります。ボーカルを前面に押しだしつつも、J-POPともK-POPとも手触りの異なるワイルドさがトラックを貫いています。しかも、約3分という簡潔さの中に、高い情報量を詰めこんでいるのも特徴です。


 ここでは通常盤のカップリングを聴いていきましょう。「STRIDE」は、フューチャーハウスを踏襲したサウンドによって、INIのボーカルの透明感を浮きあがらせていきます。そうした点で、「Password」とのコントラストが鮮やか。メンバーの声質を踏まえてのパート割りの巧みさにもうなりました。


 「Shooting Star」は、「Password」と同じくヒップホップ路線で、サウンドはエレクトロにしてアブストラクトなパートすらあります。この楽曲でもメンバーの声の配し方が冴えていますが、11人もいるグループであることを考えると、かなり高度なディレクションです。


 最後を飾る「Mirror」は、ピアノで幕を開けるミディアムナンバー。歌とラップが交錯しますが、ラップにおける譜割りがユニークで、特に1番の〈戻れるかな〉の箇所には強く耳を引かれました。


 ヒップホップのトレンドを押さえて、高密度の興奮をもたらしながら、一方では強く透明感を押しだす洗練さもあるのがINIの『M』。ボーカルディレクションもサウンドプロダクションも、高いレベルを誇っています。(宗像明将)