Text by 生田綾
Text by 韓光勲
2022年秋の日本デビューが決まったガールズグループ、IVE。昨年末に韓国でデビューし、すでに圧倒的な人気を誇る。Z世代のアイドルとして注目が集まるIVEとは、どんなグループなのか? 8月に神戸であったライブに参加した筆者が、彼女たちの魅力に迫る。
IVE(アイヴ)は、宇宙少女などが所属するSTARSHIPエンターテインメント所属で、昨年12月にデビュー。グループ名は「I have」の略語で、「私、そして私たちが持っているものを、IVE らしく堂々とした姿で見せる」という意味が込められている。STARSHIPからは約5年ぶりとなるガールズグループであり、事務所をあげての一大プロジェクトである。
メンバーはIZ*ONE出身のウォニョン、ユジンを中心に、ガウル、リズ、イソ、日本人メンバーのレイの6人。全員が2000年代生まれの10代だ。2021年12月に1stシングル“ELEVEN”でデビューを果たし、韓国音楽史上最速で国内音楽番組のランキング1位を獲得。いきなりの大ヒットとなった。
まず、それぞれのメンバーを紹介する。
ウォニョン(2004年生まれ、8月31日で18歳)はMnetの音楽番組『PRODUCE 48』を経てデビューしたIZ*ONE時代からセンターを務め、IVEでもグループの中心を占める。Instagramのフォロワーは約560万人。
モデル業も精力的にこなし、日本でも人気の韓国コスメ「innisfree(イニスフリー)」のほか、「MIU MIU」やペプシなどの広告塔を務めてきた。音楽番組のMCも担当する。
身長は173センチと長身で、手足の長さを活かした華麗なダンスが持ち味だ。大人びた風貌から「クールビューティー」と評されることも多いが、話し方にはまだあどけなさが残り、IZ*ONE時代はユジンとともに最年少の「マンネズ(末っ子たち)」として人気を博した。日本語も堪能で、日本でのライブではMCをすべて日本語でこなした。2017年にスカウトされたとき、事務所は「かわいいマスクに惚れ込んだ」という。
ユジン(2003年生まれ、18歳。9月1日で19歳に)は伸びやかな声が魅力のボーカル。ダンスのキレも抜群だ。身長はウォニョンに次ぐ172センチ。IZ*ONEとしてのデビュー以前からCMに出演し、知名度は高かった。Instagramのフォロワーは約320万人。ウォニョンと同じく、音楽番組のMCも器用にこなし、日本語が堪能だ。
IZ*ONEとして活動した経験を活かし、リーダーとしてグループを引っ張る。インタビューで「リーダーはほかのメンバーに大きな影響力があるので、以前は消極的だった性格を努力して変えた」と語っている。
ガウル(2002年生まれの19歳)はラップを担当。メンバーの中では最年長だ。現在は金髪のショートヘア。
クールな印象からは一転、神戸のライブで元気よく自己紹介し、会場を沸かせた。
リズ(2004年生まれ、17歳)はボーカル担当。済州島出身。力強く透き通るような清涼感のある声は、曲に厚みを加えている。大きなえくぼが特徴。ギャグやリアクションでメンバーをよく笑わせているという(*1)。少し引っ込み思案なところがあるのか、神戸であったライブのMCでは、終始緊張した面持ちを崩さなかった。だが、曲が始まると自信に満ちたパフォーマンスを披露していた。
イソ(2007年生まれの15歳)は最年少で、ボーカルを担当。人懐っこく、愛嬌のある笑顔が魅力だが、舞台に上がると鋭い目つきに変わるところが印象的だ。インタビューでは「(将来は)作曲を学んで、IVEの曲を作ってみたい」と語っている。
日本出身のレイ(2004年生まれ、18歳)はラップとボーカル担当。「ギャルピース」を韓国で流行らせたといわれている。
来日時、『めざましテレビ』に出演した際は頬をハートに見立てた「ぷにぷにハート」を披露。Instagramの個人アカウントはないが、流行をつくり出すインフルエンサーとしての影響力はすでに抜群だ。
レイは2018年4月に日本で行なわれたオーディションで選ばれ、その年5月に韓国に渡り、練習生としてのキャリアをスタートさせた。Red Velvetのコンサートに行った際に「K-POPアーティストになりたい」という夢を持ったという(*2)。自ら韓国語のラップの歌詞を書く多才な一面もある。
次に、IVEがデビューするまでの道のりを紹介したい。
ウォニョンとユジンはすでにIZ*ONEとしての経験もあったが、練習生としてイチからトレーニングに励んだ。ウォニョンは基礎練習に打ち込み、お腹から発声する練習に励んだ。ユジンはボーカル練習に注力し、多様な発声法を身に着けたという。
IZ*ONEでの活躍もあり、IVEは「ウォニョンとユジンのグループ」として見られる心配もあった。しかし、事務所の目標はあくまで「グループ全体として完成されたガールズグループ」。ほかのメンバーも実力を伸ばし、2021年12月に1stシングル“ELEVEN”でデビューをはたした。
全員が10代というメンバーの年齢とは対照的に、「ガールクラッシュ(女性が憧れるような力強い魅力)」のコンセプトを打ち出した。ポップダンス調の曲で、作詞はヒットメーカーのソ・ジウムが担当。恋に落ちた少女の心が幻想的な色に染まる様子を表現したという。
MVではウォニョンとユジンの存在感は抜群だが、ほかのメンバーも負けていない。レイとイソはサビ前の「キリングパート(強い印象を残す曲の一部分)」のボーカルを担った。リズは伸びやかな歌声で魅了し、ガウルは力強いダンスを印象付けた。
こうして、メンバー全員が実力を示しつつ、グループ全体として調和のとれた神秘的な魅力を披露した。YouTubeでは1億回再生を突破し、韓国国内の音楽番組では13冠を達成。ビルボードグローバルチャートでも10週連続チャートインを成し遂げた。
まさに「完成されたガールズグループ」としての鮮烈なデビュー。「Z世代最強アイドル」、IVEが誕生した瞬間だった。
デビュー曲に続き、続々と新作を発表。
今年4月に発表した“LOVE DIVE”(「Dive」はIVEのファンの呼称)はSpotifyでデビュー曲に続き1億ストリーミング再生を突破し、ビルボードのグローバルチャートは15週連続でランクイン。
前作に引き続き幻想的なイメージを保ちつつ、青春を感じさせる多幸感に溢れたミュージックビデオはYouTubeで1億再生を突破。音楽番組では10冠を達成した。続く快進撃に、ガウルは「感謝する気持ちと驚く気持ちが共存しています。もっと発展して(ファンに)応えられるようにしたい」と語っている(*4)。
日本での活動も本格化させている。8月2日~9日に横浜、神戸、福岡で開催されたイベント『THE STAR NEXTAGE』に出演。日本での初ライブとなった。
持ち曲は4曲しかないなか、約6万人の観客を沸かせた。筆者は神戸でのライブに参加。MCでメンバーが話すたび、会場からは「かわいい」というため息にも似た声が漏れていた。メンバーの個性を押し出しつつ、調和の取れた歌声と一糸乱れぬダンスパフォーマンスは「圧巻」の一言だった。
8月22日には3rdシングルとなる新曲“After LIKE”を発表。
アップテンポの曲で、レイとガウルがラップを披露。花火が舞うなか、6人が踊るMVが印象的だ。メンバーたちの魅力的な声が曲を彩る。
7月に発表された「JC・JK流行語大賞2022 上半期」では「ヒト部門」で堂々の1位に。さらに、「モノ部門」では「ギャルピース」が3位にランクインしている。今年秋には日本でデビューすることが発表され、さらなる活躍に期待がかかる。
ウォニョンは、今後の目標は「ワールドツアーに行ったり、世界的に活動したい」と語っており(*5)、IVEからますます目が離せなくなりそうだ。