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牛乳の種類が多すぎて選べない問題……。"牛乳オタ"に選び方を教えてもらった。

2022年08月31日 12:10  キャリコネニュース

キャリコネニュース

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スーパーで牛乳を買おうとして、ふと「種類多いなー」と思ってしまった。いつもは何も考えず安いのを買っているのだが、あらためて見ると種類の多さに驚く。それぞれ、どんな差があるのだろうか。片っ端から買って試していくのも楽しいかもしれないが、まずは詳しい人に聞いてみることにした。(文・コティマム)

牛乳を選ぶ時は裏面パッケージを見よ!殺菌方法と脂肪分をチェック!

まるで牛乳のような白い事務所で迎えてくれたミルクマイスター高砂さん

話を聞かせてくれたのは、グラフィックデザイナーの高砂さん。これまでに500種類以上の牛乳を飲み、2021年には自ら作画・監督して自主制作アニメ映画「ミルクのケビン」を作ってしてしまうほどの牛乳愛だ。2016年から「ミルクマイスター高砂」と名乗っている。すごい。

牛乳パックだらけの事務所の中

「牛乳の味は、(1)殺菌方法、(2)脂肪分、(3)牛の品種でかなり違ってきます」と高砂さんは話す。

(1)殺菌方法

高砂さんによると、一般的な牛乳は「超高温瞬間殺菌」といって、120~150度の高い温度で2~3秒間ほど殺菌するスタイル。ほぼ90%がこれだという。

「高温殺菌は味わいのバランスが良く、料理に使っても料理の味を崩しません」(高砂さん)

それに対して、「低温殺菌」と呼ばれるのが、63~65度で30分間殺菌する方式だ。

「もともと、搾りたての生乳は複雑で、甘みや旨味などいろんな味がします。低温殺菌はその旨味が生きていて、生乳本来の風味を守っているので甘みも濃い。スイーツみたいな味わいです。この差は味の違いとして結構大きいです」(高砂さん)

殺菌方法はパッケージ裏でチェック!

(2)脂肪分

「脂肪分でも味は変わってきます。これは『4.0』や『3.6』など、パッケージの数字の違いに注目してください」(高砂さん)

高砂さんによると、この数字は乳脂肪分の年間の平均値で、数値が高いほど「味の濃い」牛乳になるという。

「ホルスタイン牛で脂肪分4.0はMAXに近い。ジャージー牛だと4.5以上もありますが、通常は平均で3.0台が多いです。こってり感やクリーム感が欲しい人は、脂肪分の数値が高いものが合うと思います」

(3)牛の品種

「ホルスタインは日本で一番多い牛で、割とスッキリ系です。ジャージーはすごく濃厚なコクがある牛乳でアイスにも使われます。またチーズ作りに使われるブラウンスイスは濃厚というよりまろやか。ジャージーよりこってり感はないですが、コクと味の奥行があります。また日本では希少なガンジー牛も味濃いめでも後味がスッキリしています」(高砂さん)

高砂さんによると、濃厚さを求めるなら、ジャージーやブラウンスイスがいいそうだ。

「他にも牧草だけ食べている牛など、餌の違いも味に出ます。毎日ゴクゴクたくさん飲みたい人や料理に使いたい人は、高温殺菌されたホルスタイン系。生乳感や濃厚さを味わいたい人は、低温殺菌されたジャージーや脂肪分が高いものがオススメです」

おすすめの牛乳は?

最後に、ミルクマイスターおすすめの牛乳を、あえて3つだけに絞って教えてもらった。

ミルクマイスターオススメ牛乳。左から「やまべ牛乳」「パン好きの牛乳」「モーツァルト牛乳」

1つめはカネカ食品の『パン好きの牛乳』(写真5中央)。

「パンに合うようにスッキリ後味を目指した牛乳です。最近のトレンドは『後味スッキリ系』で、メーカー各社が注力しています。『パン好きの牛乳』は、生乳本来の甘さやコクを残しながらスッキリとした味わいを実現するため、高い加熱殺菌技術を持つベルギーの『ピュアナチュール社』と技術提携し、試作を何回も繰り返して理想の味になったそうです。飲んだ瞬間はすごくコクがしっかりしていて、旨味もある。でも後味はスッキリで、パンの持っている小麦感、バターの風味をより引き出してくれます。最初に飲んだ時は驚きました」

「通常の牛乳は割と後味がしっかり残るので牛乳が勝ってしまいますが、これは圧倒的にパンに合う。パンと牛乳の後味が引く感じが、この牛乳ならではの特徴です。僕はデニッシュ系のパンに合わせるのが好きですね。もちろん、そのまま飲んでもおいしいです。最初のコク、旨味もびっくりするくらいあるので、単体で飲んでもおいしい!」

2つめは「淡路島牛乳の『モーツァルト牛乳』(写真5右)

「モーツァルトを聴いているホルスタイン牛から絞った珍しい牛乳です。人間もクラシック音楽を聴くと癒し効果があるといいますが、牛は人間の7倍耳がいい。淡路島牛乳の代表が、『牛に聴かせたらもっと効果があるのでは?』と思い、約10年の開発期間を経て念願の発売に至りました。ストレスがあると乳の味が落ちるので、なるべく牛のストレスをやわらげ、牛乳の質を高めるという理想で作られています。1日中、モーツァルトのいろんな曲をスピーカーから流しているそうです。優しい甘みが特徴かな。コクもしっかりで、でも後味はスッキリ。牛乳が苦手な方でも飲みやすいと思います。音楽を聴いている牛乳は他に無いし珍しいので、チャレンジングな会社さんは応援したいです」

3つめは「後藤牧場の『やまべ牛乳』(写真5左)。

「僕の出身地・山形県の牛乳で、85度15分間という殺菌方法です。これも甘みと旨味が濃いです。どっちかというと『懐かしい牛乳』の味。後味スッキリ系ではなく、『あー、牛乳飲んでるな』って感じる、昔ながらのレトロな味わいです」

さて、ちょっと気になるのが「ぶっちゃけ、高い牛乳の方がおいしいんでしょうか?」問題。高砂さんにぶつけてみると……。

高砂さんは「おいしさの感じ方や好みは結局人それぞれなので(笑)、自分にとってのお気に入りを見つけてもらえれば」と前置きをしつつ、こう話す。

「値段が高いというのは希少性があるということ。品種、餌、製法、充填、手間暇など『一度にたくさん作ることができない』ため、高い牛乳の方が希少ではありますね。コスパの高さでいえば『明治おいしい牛乳』がおすすめです。生乳から酸素を追い出して生乳本来の風味の香りや甘みを残した『ナチュラルテイスト製法』で特許を取得しています。これは20年かけて技術開発したそうです」(高砂さん)

こんなにいろいろ教えてもらると、今後はスーパーでの牛乳選びが楽しくなりそうだ。