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日米ピックアップトラックを乗り比べ! ハイラックスとグラディエーター

2022年08月31日 11:31  マイナビニュース

マイナビニュース

画像提供:マイナビニュース
日本上陸を果たしたジープ「グラディエーター」が、結構な勢いで売れたという。この国には意外に、ピックアップトラック好きが多いのかもしれない。日本にはトヨタ「ハイラックス」という選択肢もあるが、この2台、走りはどう違うのか。乗り比べた。


○趣味に徹するか、生活に役立てるか



メカニズムで大きく違うのはエンジンだ。ハイラックスは2.4リッター直列4気筒ディーゼルターボ、グラディエーターは3.6リッターV型6気筒ガソリン自然吸気となる。



排気量だけで見るとグラディエーターのほうが強力に感じるかもしれない。でも一般道での加速に影響する最大トルクは、グラディエーターの347Nmに対してハイラックスは400Nmと上回っている。


ATはハイラックスが6速、グラディエーターが8速だが、車両重量は2,100kg対2,280kgでハイラックスのほうが軽い。よって加速に大差は感じなかった。



ただしフィーリングは異なり、ディーゼルターボゆえおっとりしたハイラックスと比べると、ガソリン自然吸気のグラディエーターはレスポンスが鋭かった。



WLTCモード燃費はハイラックスがリッター11.7km、グラディエーターがリッター7.7kmと大差がある。これを含めて考えれば、ロングランを安楽かつ経済的にこなすハイラックス、オフロードを走破する楽しさを忘れないグラディエーターというキャラクターが思い浮かぶ。



2台はどちらもボディとは別体のラダーフレームを持つ。固めのサスペンションとタイヤからのショックをフレームがいなしてくれる乗り心地は、両車に共通している。その中でハイラックスは乗用車的、グラディエーターは骨太という違いがあった。

ハンドリングはボディサイズが短くて低く、重量の軽いハイラックスのほうが素直で腰高感もなかった。一方のグラディエーターはフロントサスペンションがリジッドアクスルなので、高速道路では車軸が微妙に左右に振られることが気になる人もいるだろう。



それをカバーしてくれるのが4WDシステム。ハイラックスは2WDとセンターデフのない直結4WD、そのローレンジを切り替える方式なのに対し、グラディエーターはセンターデフを持つフルタイム4WDも選べる。高速道路でこのモードを選ぶと、直進安定性がアップする。


さらにグラディエーターは、オフロードの走破性を極めた「ルビコン」というグレードなので、フロント/リアデフのロック機構など本格的な装備も持っている。



でもこのクルマの場合、普段はそれを潜在能力として取っておいて、クラシカルなデザインや骨太な乗り味をファッションとして楽しむのがふさわしい。荷台に積むのはマリンスポーツのギアが似合いそうだ。



対照的にハイラックスは、コロナ禍を機に地方移住した人が、自分で育てた農産物を運んだり、暖房に使う薪を仕入れたりするのに使いつつ、たまにキャンプにも出かけるというマルチな使い方が思い浮かぶ。


価格はハイラックスが352.7万円~、グラディエーターが920万円~で大きな開きがあるが、それ以上に日米の違い、作られた国の違いを感じとることができた。日本で買えるのはこの2台しかないけれど、ピックアップというジャンルが広く深い世界であることが理解できた。



森口将之 1962年東京都出身。早稲田大学教育学部を卒業後、出版社編集部を経て、1993年にフリーランス・ジャーナリストとして独立。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。グッドデザイン賞審査委員を務める。著書に『これから始まる自動運転 社会はどうなる!?』『MaaS入門 まちづくりのためのスマートモビリティ戦略』など。 この著者の記事一覧はこちら(森口将之)