8月27日に鈴鹿サーキットで行われたスーパーGT第5戦『FUJIMAKI GROUP SUZUKA GT 450km RACE』の公式予選。ディフェンディングチャンピオンの61号車SUBARU BRZ R&D SPORTはQ1 B組11番手となり、Q2進出を逃すこととなった。
「ちょっと苦戦していますね。いろいろな意味で」とQ1を担当した井口卓人は話し始めた。
「公式練習のときから、ウエイトが重くなった分、クルマの動きが少し難しいというか……重さがすごく出ている感覚がありました。なので、公式練習も途中で切り上げて、いつもはやらない結構大きな変更を加えました。さらに、予選前にも細かい変更を加えて、少しでもBRZの良さを引き出せないかとセッティングを進めました」と井口。
第4戦富士の100周/450kmの戦いを制し、シリーズランキング2位で第5戦に臨んだBRZは、今回89kgのサクセスウエイト(SW)を搭載している。その重量増の影響は大きく、予選に向けて大幅なセッティング変更を実施した。予選Q1では公式練習で記録したベストタイムを上回ることはできたものの、順位はB組13台中11番手となり、Q2進出は叶わず。決勝は22番グリッドからスタートとなる。
「鈴鹿は決してBRZの苦手なコースではないですし、ウエイトが載っても比較的走れるサーキットだと思っていました。ただ今回の予選はクルマの状況も含めて、いいところが掴みきれなかったなという感じです」
GT300規定車両のSUBARU BRZ R&D SPORTはコーナリング性能に秀でるが、その分ストレートスピードではFIA-GT3勢に先行される。それだけに「正直、次々とライバルを抜いくようなクルマではないので、苦しく淡々としたレースになるのではないかとも思っています」と井口は語る。しかし、そんな予想を覆すべく、450kmの長距離戦となる決勝へ向けた打開策はすでに見つけたようだ。
「ただ、そうならないように思い切った作戦を敢行するしかないかなとも考えています。また、チームもいろいろと考えてくれていて、今晩またセッティングを大きく変更するので、それが少しでも良い方向にいけば、もう少し決勝で力強く戦えると思います。そこに作戦がうまくハマれば、順位を上げることはできる、という感じでしょうか。決して簡単ではないですけど、上を目指して頑張りたいと思います」
61号車BRZが89kgのSWの影響を大きく受けた一方、シリーズランキングトップの56号車リアライズ日産メカニックチャレンジ GT-Rは100kgのSWを搭載しながら、予選は4番手とセカンドロウを獲得した。
タイトルを争う56号車について聞くと「まだポイント差がある状況の予選で、この走りなので……。毎年そうですけど、56号車はタイヤ選択とか、いろいろな意味で強いなと思いますね。この結果は正直かなり苦しいなと思います」と井口。
「なので、順位を上げて、ポイント獲得や表彰台を狙うのがベストなのですけど、この後の第6戦SUGOや第7戦オートポリスが、どちらかといえば鈴鹿と似たサーキットなので、少しでも鈴鹿のレースで手応えを感じて、SUGOとオートポリスに繋げたいという思いも強いです」
決勝に向けては厳しい戦いを予想する井口。しかし、「少しでも良い方向を見出せるように、いろいろと考えてやり尽くしたいと思います。チャンピオンを獲るために」と、毅然とした表情で語った。