2022年08月27日 17:41 弁護士ドットコム
旧統一教会からの脱会を望む人を支援する「全国統一協会被害者家族の会」は8月27日、安倍元首相の銃撃事件後初の相談会を対面形式で開いた。
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全国から20組30人以上が参加し、「教会には解散してほしい」「母をなんとか説得したい」などと切実な悩みを打ち明けた。
同会への相談は事件以降、急増している。今年度は6月まで10件程度だったが、7月は109件、8月は113件となっている。
2カ月に1回行っている相談会も、これまでは数組でこぢんまりと行っていたものの、この日は大きな会場で、牧師や脱会経験者、臨床心理士などの相談員が足りないほどだった。
同会は2003年11月に家族が統一教会信者だった人たちで発足し、カンパなどを元手にボランティアが活動してきた。冒頭のあいさつで事務局は、以下のことを訴えた。
・旧統一教会は即刻解散してほしい
・公的な相談窓口を一刻も早くつくってほしい
・公的な救出カウンセラーを養成してほしい
・民間の「家族の会」にお墨付きを与えてほしい(教会側から訴訟を起こされるなど、心理的にも金銭的にも負担が大きい)
相談会に訪れた20代後半の男性は、母親が教会員だ。子どもの頃は熱心に活動していたが、高校生の時、教会員の葬儀の際に遺族により多くの献金を迫っている教会長の様子を見ておかしいと思った。
20歳ころに脱会した。2020年にはコロナ特別定額給付金10万円をも寄付に回そうとする母の姿を見て、教会から指示が渡っているのではないかと疑問を持った。
母親は「指示はない」とはぐらかす。教会側の総合相談窓口に問い合わせても「コンプライアンス宣言以降は問題はない」などの回答だった。自分のように、献金被害で教会に恨みを持つ人がいたら、何か起きるかもしれないと危惧していた。
そんな中、安倍元首相の銃撃事件が起きた。
「あの時、もっと自分が強く言っていれば」。しかし事件後も教会側は同じ主張を繰り返していることに失望している。「これ以上被害を出す前に解散してほしい」
1カ月前の日本基督教団のカルト問題相談会で、母親の献金について悩んでいる女性も訪れていた。家族とカウンセラーとなる牧師との話し合いが始まったが、まだ状況は大きくは変わっていない。
「分かってはいるんですけど焦ります。ストレスで体にも異変が出てきちゃって」。この日は2年半かけて妻を脱会させた夫婦の話などを熱心に聞いていた。
事務局の男性はこう呼びかけた。
「『焦らない、慌てない、諦めない』の3Aです。きょうがスタートライン。20組の一人も欠けずに救出できるよう頑張りましょう」