懲りずにパチスロの話をしたい。ここ2年ほど、パチスロの6号機がエンドユーザーにさっぱりウケないという話ばかりしてきた。6号機というのは、従来の射幸性を煽りに煽っていたパチスロ業界に一石を投じる機種群であり、簡単に言えばコイン持ちはいいけど全然出ないマシンであった。
このため、ギャンブルとしてパチスロに向き合っていたパチスロファンたちは次々に見切りをつけて離れることとなった。
ただしこの6号機、あくまでも遊技や娯楽として見れば意義深くもあったもので、大勝の夢が見にくいということは、趣味として見ればまあそれなりに楽しめるものでもあるということ。変にお金をいっぱい突っ込んでしまう依存症のユーザーを減らすという意味では、かなり貢献したのは事実である。しかし市場はそれを求めていないわけで……。(文:松本ミゾレ)
6.5号機には6号機登場以前のギャンブル性がある
先日も6.5号機についてのコラムを書いたけど、21日にがっつりと6.5号機の『新鬼武者2』にふれる機会が巡ってきた。率直に書くと、ギャンブルとして考えれば従来の6号機とは比較にならないぐらい面白いし、メダルを出すまでのビジョンも把握しやすい。
どうしてもこれまでの6号機となると「これでどうやって2400枚程度を出すんだよ」となっちゃうところがあったし、2万円入れればもう回収は絶望的みたいな傾向もあった。
それがここ最近続々登場する6.5号機では、従来の5号機程度の出玉が期待できる。集客力は流石に高いし、繁忙店となると終日フル稼働ということも多い。
そしてメダルが出る機会も多くはなっているので、既に10万円以上マイナスを打っているゴリゴリの低設定丸出し台でも、構わず突っ張っているお客も結構いた。新台はもともと低設定でも試しに打つユーザーが多いが、6号機登場以降は激減していた。これも6.5号機になってから復活した光景と言える。
一方で繁忙店以外が無理して6.5号機を入れても、既にユーザーに見切られているためか、ほとんど遊技者がいなく空き台だらけという光景も見られる。6号機時代にパチスロに力を入れてこなかったホールというのは、この6.5号機時代にあっても、お客に見向きされなくなっていて、やや不憫に感じた。
「勝ちにくく、負けにくい」6号機の時代はもう終わりか
散々これまでも書いてきたことだけども、僕自身は6号機の、パチスロはあくまで適度に楽しむ娯楽であって、ギャンブル依存症になるまで没頭するものではないという根底のスタンス自体は好ましく思っていた。
しかしながらもともと2000年代前半からパチスロをしてきた人間としては、コンセプトに賛同はしつつも「やっぱりパチスロってギャンブルですよね」という気持ちは変えられなかった。それが『新鬼武者2』を触って、自分でも嫌になるぐらい実感できてしまった。
そもそも『新鬼武者』ってゲームがあって、それがパチスロ5号機時代の2010年にART搭載機種としてデビューした。大変な人気を博したマシンで、しばらくはホールの看板機種だった。
その先代の演出を踏襲した部分もあるんで、昔打っていた人にとってもかなりしっくり来る感じになっていて、僕自身「あ、こんな演出あったね」と打っていて懐かしく感じた。さらにはきっかけさえあればなんぼでもATに突入させることは可能だし、疑似ボーナスと絡めればあっという間に2万も3万も勝てるようにはなっている。6号機のコンセプトってなんだったんだ? と思ってしまう程度には射幸性は増している。
まあ、それでも4号機とか5号機全盛期の射幸性とは比較するべくもないけれど。ただ、ここ数年はずっと6号機のチンタラした出玉推移でユーザーが減っていたので、こういうちょっとした変化も新鮮に感じられる。実際市場の反応もかなり良いし、低設定上等でサンドにお金を入れるユーザーというものを久しぶりに見れたので面白かった。