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関ジャニ∞メンバー分析 第4回:村上信五、“関西ジャニーズ”スタイル確立したエンターテイナー 一貫した実直さと親しみやすさ

2022年08月26日 06:11  リアルサウンド

リアルサウンド

関ジャニ∞

 7月16日、17日の横浜・日産スタジアム、7月23日、24日の大阪・ヤンマースタジアム長居で累計25.4万人を動員したスタジアムライブ『18祭』を成功させ、年内には4大ドームツアーを控えている関ジャニ∞。数々の困難も乗り越え、ファンに笑顔を届ける5人それぞれの魅力に注目したい。シリーズ4回目は村上信五。


(関連:『ジャニーズカウントダウン』『月曜から夜ふかし』…関ジャニ∞ 村上信五、MCとして次のステップへ? 年末年始特番が第一歩に


■“関西ジャニーズ”スタイルを確立した先駆者


 村上信五は、いついかなるときも“ブレない男”である。瞬時に入るバラエティスイッチと大御所にも容赦ない鋭いツッコミ、そして“関ジャニ∞愛”に溢れたスタンスは、デビューから現在まで一切ブレたことはない。


 1996年にジャニーズ事務所に入所し、横山裕らと当時の関西ジャニーズJr.をけん引。2002年には大阪松竹座で『ANOTHER』『関ジャニ∞ サマースペシャル』などの定期公演を行い、「関西ジャニーズJr.のホームは大阪松竹座」と言われる礎を築いた。また、ライブでは横山企画のコントコーナーでも中心となって果敢に笑いを取りにいく姿勢や、丸山隆平のギャグに思い切りよくツッコむテンポの良さで、“カッコイイのに面白い”という現在の関西ジャニーズのスタイルの先駆けとなった存在ではないだろうか。


 先日放送された、村上がMCを務める『午前0時の森』(日本テレビ系)にて、全国500人を対象にアンケート調査した「バラエティ力が高い歴代ジャニーズ」ランキングを紹介(※1)。村上は1位の中居正広に続いて堂々の2位にランクインし、ジャニーズファン以外の一般視聴者からも支持を得ていることがわかる。


■MCからも垣間見える謙虚な姿勢


 村上の流ちょうなトークスキルを構築したのはラジオ番組にあるように思う。2003年から2018年までの15年間、横山や丸山らと『レコメン!』(文化放送)の木曜パーソナリティを務め、年月を重ねるにつれ、安定感のあるトークは深みを増していった。バラエティにおいて村上の名が広く知られるようになったのは、2012年にスタートした『月曜から夜ふかし』(日本テレビ系)だろう。共にMCを務めるマツコ・デラックスに対しても遠慮のないツッコミで番組を盛り上げているが、村上のツッコミに嫌味を感じないのは、相手に対する気配りやリスペクトを忘れないスタンスがベースにあるからだろう。また、ビートたけしとMCで初タッグを組んだ2015年放送の『世界!極限アーティストBEST20』(日本テレビ系)でも、村上の司会ぶりを絶賛したビートたけしから「『紅白(歌合戦)』の司会者になるんじゃないか」と太鼓判を押されたことも。


 数々の番組でMCとして活躍中の村上だが、自身も好きだと公言しているサッカーの生中継『UEFA EURO 2012』(TBS系)でスペシャルナビゲーターを務め、それ以来キャスターとしても活躍の場を広げている。『東京2020オリンピック』『北京2022オリンピック』(フジテレビ系)ではメインキャスターに抜擢された。アスリートに向き合う際に「なぜそういうコメントが出たのか、チョイスされた言葉の内側を探っていくことでマインドを伝えられることもある」「ご本人の言葉で語ってもらうために、まず聞くことが大事」と語っており(※2)、村上らしい気遣いを見せた。


■表現者として発揮されるポテンシャル


 エンターテイナーとしての村上を語るときに欠かせないのが、一人舞台『If or…』だ。2009年から2018年の間で300公演を完走した同舞台は、「もしも村上が○○だったら」をテーマにストーリー仕立てで進行。作・演出・出演すべてを村上がセルフプロデュースしているという、まさに村上の真骨頂とも言える。『If or…X』DVDの特典映像内でシリーズを振り返り「(ジャニーズ)Jr.含めて一番失敗している」と自らを評していた村上だが、グラビアアイドルからホスト、甲冑武者、怪獣に扮した“信・五ジラ”など多彩なキャラクターを演じては毎回話題となっていた。筆者も村上の鋭い観察眼と分析力に驚かされたことを鮮明に覚えている。


 また村上は、ダンスに関してあまり取り上げられる機会がないように感じるが、デビュー時からグループ内でも卓越したダンススキルを持っている。前述の舞台でも、近藤真彦のカバーで知られる「アンダルシアに憧れて」を喪服の女性姿で披露。ヒールを履いているにも関わらず、華麗な脚上げなどキレのあるダンスを披露した。体幹の良さを実感できる軸のブレないダンスも見どころの一つである。


 村上の歌声は音域の広さが特徴で、『関ジャム 完全燃SHOW』(テレビ朝日系)で行われた声のタイプ診断では“ミックスタイプ”に分類されていた。ソロ曲「Dear…」は低音から始まるものの曲中で高音まで網羅されていることからも、音域の広さが窺える。加えて、キーボーディストとしてのポテンシャルも発揮している。『KANJANI’S Re:LIVE 8BEAT』完全生産限定盤収録のドキュメンタリー映像では、楽曲のアレンジを行う様子も。しかし、そのことについてスタッフに尋ねられると「たまたま時間があったから」とサラリとかわすのも、謙虚な村上らしい。


 ラジオからバラエティ、スポーツ特番まで幅広いジャンルに携わる村上だが、彼の勤勉な一面をファンはよく知っている。2007年のライブDVD『47』に収録された「寝起きドッキリ」の特典映像では、村上の枕元に当時のベストセラーである渡辺淳一「鈍感力」が。その姿勢は今でも変わらず、前述のドキュメンタリー映像では自身の番組のゲストに関する書籍を手にする姿が収められており、アップデートを欠かさない日頃の努力に相手へのリスペクトを忘れない姿勢が、現在の彼の多忙ぶりに繋がっているのだろう。


 村上がキーボードを弾きながら片手で煽ると観客もレスポンスを返し、会場が大きく揺れる風景は、関ジャニ∞のライブの定番となっている。そんな愛すべき“ヒナちゃん”は、全eighter(関ジャニ∞ファンの総称)が信頼を寄せる司令塔である。(北村由起)


※1:https://news.allabout.co.jp/articles/o/46807/
※2:『TV GUIDE Alpha EPISODE YY』(VOL.51)