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JR東海、地震防災訓練に新型車両315系 - 地震対策強化に向け取組み

2022年08月25日 21:31  マイナビニュース

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画像提供:マイナビニュース
JR東海は25日、地震への対応力強化を目的に、防災週間の期間中の9月1日を中心に地震防災訓練を実施すると発表した。今回、在来線新型車両315系を用いた訓練を行うほか、乗客の避難誘導や災害復旧などの実践的な訓練を行う。


同社はこれまで、新幹線・在来線における土木構造物や建物の耐震化、新幹線における脱線逸脱防止対策の推進、地震発生時に東海道新幹線の列車を自動的に停止させる地震防災システムの導入、毎年実施している地震防災訓練など、ハード・ソフト両面で地震対策の強化に取り組んできたという。



今回、地震対策本部運営訓練として、乗客の救済や設備復旧に向けて現地の情報を収集し、情報に応じた適切な対応をシミュレーションする訓練を実施。避難誘導・災害復旧訓練としては、大規模地震によって列車が駅間に長時間停車した場合を想定し、乗務員と各地区の現業機関の社員が協力して乗客を列車から避難誘導する訓練(新幹線・在来線)、車いすスペースを6席設置した新幹線車両N700Sに車いす利用者が複数名乗車していることを想定し、避難誘導するとともに線路上の移動にアルミカートを使用する訓練(新幹線)、在来線新型車両315系を用いた脱線復旧訓練(在来線)を実施する。

あわせてJR東海は、気象庁および鉄道総合技術研究所と連携し、JR東海と気象庁の地震計のデータを相互利活用することで、地震の早期検知に向けて共同で研究を進めることも発表している。



東海道新幹線では、地震による一定の揺れを検知した際、送電を停止することで列車を自動的に緊急停止させる「地震防災システム」を導入しており、これまで自社の地震計と合わせ、気象庁の緊急地震速報や防災科学技術研究所の海底地震観測網情報といった「社外地震情報」も活用しながら、地震防災システムの機能強化を図り、地震の早期検知に努めてきた。



こうした取組みに加え、JR東海は気象庁や鉄道総研と地震情報等の利用推進に向けて連携し、2022年5月、気象庁が整備している東南海海底地震観測網のデータと、JR東海の地震計データを相互利活用する協定を締結することで、さらなる地震の早期検知に向け、共同で研究を進めることとした。



気象庁が整備している東南海海底地震観測網のデータを活用することにより、当該海域の想定震源域で発生する地震について、従来のJR東海地震計での検知と比較して最大で10秒程度早期化できる見込みだという。(木下健児)