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「優勝は厳しかった」「ドライブシャフトが折れた」「また同じ症状が出た」【SF Mix Voices 第8戦】

2022年08月21日 21:30  AUTOSPORT web

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2022スーパーフォーミュラ第7戦&第8戦もてぎ ジュリアーノ・アレジ(Kuo VANTELIN TEAM TOM’S)
全日本スーパーフォーミュラ選手権は8月21日、栃木県のモビリティリゾートもてぎで第8戦の予選・決勝が行われた。前日第7戦決勝の雨から一転、終日ドライコンディションとなったうえ、午後の決勝では気温も上昇。夏らしい暑さのなかで、関口雄飛(carenex TEAM IMPUL)が3年ぶりの優勝を遂げた。

 決勝後、全ドライバーが参加して行われる取材セッション“ミックスゾーン”から、第8戦予選・決勝に挑んだドライバーたちの声をお届けする。

■山下健太(KONDO RACING)予選4番手/決勝規定周回数不足

 セカンドロウ4番グリッドからスタートを迎えた山下。スタートも決めて4番手のままチームメイトのサッシャ・フェネストラズを追う展開だったが、11周目にマシンをガレージに収めてしまう。

「シフトができなくなって、ギヤを変えられなくなってしまったのでピットに戻りました」と山下。具体的にはシフトのエアーコンプレッサーが壊れたと説明する。

「(ピットインの)2周前くらいから警告アラームが出てたいたので、いろいろと対処したのですけど……コックピット内でできることはなく」

 なお、部品交換を経て山下はコースへ復帰。その後はトラブルもなく走行を続けた。なお、チェッカーは受けたが周回数は29周となり、規定周回数の33周に届かず完走扱いとはならなかった。

「ロングランのペースやバランスも見ておきたかったので、コースに復帰したという感じです」と山下。久々の優勝に向けて、大きなチャンスだった第8戦だが、「正直、優勝は厳しかったかなとは思います」と振り返った。

「でも、いいレースはできたかなという手応えはあったので残念ですね」

■佐藤蓮(TEAM GOH)予選10番手/決勝7位

 10番グリッドから、ピットストップを遅らせる作戦を敢行し、終始好ペースを見せた佐藤は今季4度目の入賞となる7位でフィニッシュを迎え、「スタートで順位も上げられましたし、レースペースも良かったです。レース全体としてはすごく良かったかなと思います」と振り返る。

 ただ、満足だけではなく、「このペースを考えると、予選でももう少し前に行けたのかなというのがあるので、改善点だと思います」と自身の反省点を分析する。

 また、ピットストップの際には左フロントタイヤの交換でタイムロス。「左フロントの交換で少し遅れてしまったみたいです。ただ、僕も前半スティントで、もう少しいいペースで走ることができれば、もっと上位のクルマとのギャップは詰まってたと思うので、チームとしてもドライバーとしても、今後に向けていろいろと見直す必要があると思いました」

「次は最終戦ですので、さまざまなものを見直して、予選からしっかりとパフォーマンス発揮できるように頑張っていきたいと思います」

■小林可夢偉(KCMG)予選12番手/決勝17位

 オープニングラップで、福住仁嶺(ThreeBond Drago CORSE)との接触があった可夢偉。

「スタートで1コーナー入った際、イン側から佐藤選手、アウト側から福住選手が来ました。続く2コーナーで佐藤選手がイン側から入って寄ってきて、僕も押される感じになり、行き場がなくなって、少しポンと当たって。僕はフロントウィングが壊れました」と接触の瞬間を説明する。

 フロントウイングを破損した可夢偉はそのまま走行を続けたが、11周目にルーティンのピットストップを終えたあと、13周目に2度目のピットストップを敢行。ここでフロントウイング交換を行うこととなった。「無線の調子悪くて。ルーティンのピットストップの際には交換してもらえなかったんです」と説明する。

「フロントウイングを交換したら調子はよくなったので、もったいないレースだったなと思います。ただ、ここ数年ずっとレースペースが悪かったのですけど、今回のレースペースはここ数年で一番良かったので。そういう意味では、いい兆しは見えてきたのかなと思いますね」

■笹原右京(TEAM MUGEN)予選21番手/決勝8位

 第7戦を終えた20日のミックスゾーンでは「ポールポジションしか見ていない」と話し、マシンへの手応えと自信を見せていた笹原。しかし、続く第8戦予選ではQ1でトラブルが襲った。

「インラップだったのですけど、ヘアピンに差し掛かるところでスロットルが物理的にスタックして戻らなくなりました。ただ、たまたまヘアピン直前で気付けたので、ギリギリグラベルの上で止まることができたという状況です」

「スロットルは全開だったので、かなり危険な場面だったと思います。瞬時にブレーキを踏み、クラッチを切ったりしたのですけど、それでもスロットルは前回のままでレブが当たるほどの状態でした」と笹原は振り返る。

 さらに、決勝直前の8分間のウォームアップでドライブシャフトが折れてしまい、あわやピットスタートとなるところだったと明かした。

「でも、チームが懸命に修復してくれたのでなんとかグリッドにはつくことができました。あの修復劇があるのとないのとでは今日の結果は相当違ったと思います。チームに感謝ですね」

 予選、ウォームアップと車両トラブルが相次いだ笹原だが、決勝では2番グリッドから8位までポジションを上げ、入賞を果たした。

「起きたことを取り戻せるのはコース上だけなので。今日はまさか8位に入れるとは思っていませんでしたけど、僕が一番オーバーテイクできたと思うので、よく頑張ったかなと、今日は自分自身にそう言える日かなと思います」

■ファステストの大嶋「ちょっとスッキリ」
■ジュリアーノ・アレジ(Kuo VANTELIN TEAM TOM’S)予選19番手/決勝リタイア

 スタート直前、グリッド試走を終えてダミーグリッドにマシンを止めたアレジだったが、急遽ピットにマシンを戻すこととなった。「まだ詳しくはわかっていないのだけど、ちょっと電気系でトラブルあって。だからクルマをピットに戻さなきゃいけなかった。いろいろと分析して、直せたかと思ったのでグリッドに戻ることができた」とアレジ。

 予選18番手から、一度グリッドを離れたことで最後尾となる21番手スタートを余儀なくされたアレジだったが、序盤からオーバーテイクを連発。一時は12番手までポジションを上げるも、27周目にガレージにマシンを入れ、そのままリタイアとなった。

「終盤にまた同じ症状が出てチェッカーを受けることができなかった。残念だったと思います」

「レースペースは今までで一番良かったよと言われました。残念だったのはトラブルと予選ポジションですね。次戦でもっといいポジションからスタートできるように何をするべきなのか、ドライビングとセットアップを分析します」



■大嶋和也(docomo business ROOKIE) 予選20番手/決勝18位

 レース中盤、後続の山本尚貴(TCS NAKAJIMA RACING)との接触があった大嶋(山本にタイムペナルティ)。そのときの状況を大嶋はこう説明する。

「(向こうは)タイヤを替えて結構いいペースできていて、見えてはいたものの、まだブレーキで飛び込むほどの距離でもなかったし、向こうも多分抜く気はなかったと思うんですけど、ちょっとかすってしまったというのは感じです。本当に最後の最後、ターンインしているときにちょっと(向こうの)フロントウイングがシュッときて、それでタイヤが切れてしまった感じです」

「もしも入って来られたら嫌だなと思って1台分は開けていたのですが……。別にポイント圏内を走っていたわけではないので、それほどイライラもしませんし。ポイント圏内だったら怒っていたと思いますが」

 本人も口にするとおり、苦戦が続く状況だが、今回の決勝では17周目にファステストラップを獲得するなど、光明は見えてきているようだ。

「シーズン前半は上り調子できていて、『もうちょっと良くなれば、行けるのでは』というところから、SUGO、富士となんか全然フィーリングが良くなくて。なにかおかしいのではないか、とチームとも相談して、いろいろなところを変えて、今回も2レースともまったく違うセットアップで走っています」

「今日のセットアップに関してはかなりフィーリングが良く、実際中盤よりも前、まだガソリンがそこそこ入っている段階で1分33秒台に入れられました。最後の方も特別速いペースではないけど、中盤よりはちょっと上くらいのペースでラップはできていたので、いままでに比べればかなりいい仕上がりにはなってきているかな。ちょっと兆しが見えたので、ここ数戦のレース後よりはちょっとスッキリしています」

■三宅淳詞(TEAM GOH) 予選9番手/決勝15位
 前日の第7戦では、予選Q1落ちを喫していた三宅淳詞。スーパーフォーミュラのマシンでもてぎを走るのは初めてだったルーキーの三宅は、土曜日を終えてチームと改善作業に取り組んだという。

「まずマシンに関して言うと、昨日は(佐藤含め)ふたりともフィーリングがあまり良くなかったのですが、それをチームの皆さんが改善してくれ、パフォーマンスが上がりました」

「そして初めて走る僕たちも、もてぎはブレーキの多いサーキットということで、そのドライビングの良くない部分を伊沢(拓也)さんやエンジニアさんに指摘していただいて、いきなり予選でそれを直せるのかという不安もあったのですが、うまく合わせ切ることができて良かったのかなと思います」

 Q1・B組を見事に4番手通過した三宅は、Q2でもチームメイトを上回って9番手を確保する。だが、決勝ではスタートから順位を下げてしまった。

「スタートではクラッチつながった瞬間にホイールスピンしてしまい、出遅れてしまいました。ただその後のペースは良くて、チームメイトとともに追い上げていく展開にできたので、そういった面では良かったと思います」

「でもやっぱり、ちょっとピットストップでロスしてしまうことがあったので、原因も考えなければいけないですし……。ここ数戦、僕は完走できずにいましたから、今回は後方でポイントも取れていないのですが、そういう面では良かったのかなと思います」