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平川亮、バイザー内浸水による視界不良で万事休す「“耐久ドライバー”になってしまったのか……」との悩みも/SF第7戦決勝

2022年08月20日 18:50  AUTOSPORT web

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2022スーパーフォーミュラ第7戦&第8戦もてぎ 平川亮(carenex TEAM IMPUL)
8月20日に予選・決勝が行われた2022年スーパーフォーミュラ第7戦モビリティリゾートもてぎ。ランキング首位の野尻智紀(TEAM MUGEN)を追う立場として取りこぼしが許されない状況で挑んだ平川亮(carenex TEAM IMPUL)だったが、雨の決勝では11番手走行中の27周目、最終ビクトリーコーナーでコースアウト。グラベルでマシンを止めてしまった。

 これで2戦連続ノーポイントに終わった平川は、ランキング2位の座をサッシャ・フェネストラズ(KONDO RACING)に譲る形となり、タイトル争いに向けては首位から40ポイント差と、黄信号から赤信号へと限りなく近づく結果となってしまった。平川に、何が起こっていたのだろうか。

■金曜から土曜朝にかけての“急変”
 朝の予選から、平川はリズムを作れないでいた。前日の専有走行では野尻を上回る3番手と逆襲への足掛かりをつかんでいたものの、気温・路温ともに下がった予選Q1ではグリップを感じられずにいたのだ。前日からのセットアップの変更はそれほど大きくなく、「あそこまで変わってしまう要因が、いまいち分からない」と平川は首をひねる。

 結果、わずかな差でQ2進出を逃す形となり、決勝は13番手スタートに。グリッドで降り出した雨への対応は「タイヤをウエットに付け替えただけ」と、ドライセットのままレースをスタートさせた。

 レインコンディションでのマシンの状況は好調で、セーフティカー解除後の実質のスタートラップでは、前車を次々とパス。「単独だとかなり速いペースで走れる感じがあって、最初に攻めて順位を上げ、その後はタイヤをセーブしていました」と、虎視眈々と決勝を運ぶプランができていた。

 しかし、ほどなくしてトラブルが発生してしまう。

「(ヘルメットの)バイザーが壊れて水が中に入って、見えなくなってしまいました。最初は捨てバイザーかなと思って剥がしたんですが、そうしたら余計に見えなくなって……『もう終わった』と。なんかベタっとした感じというか、撥水(加工)してないフロントガラスで走る時のような感じでした」

「宮田(莉朋)選手の後ろについたときにはもう見えなくて、自分がどこにいるのか分からず、気づいたら縁石の上でアクセルを踏んで滑ってしまい」7周目にしてポジションを落とすことに。その後も状況は悪化していったという。

 ヘルメットのバイザーには曇り止めの熱線が入れられているが、平川によれば「何重かになっている熱線のひとつが縮んだのか割れたのかで変形してしまい、そこに隙間ができて、水が入ってきてしまった」ようだという。

 平川はそれでも懸命にポイント圏内を目指して11番手を力走していたが、終盤、雨が強くなったタイミングでビクトリーコーナーでコースアウト、グラベルへと埋まった。当時の状況については、「たぶん、川に乗ってしまったのだと思います」と、路面の状況に確証が持てないほどの視界しかなかったようだ。

 ストップ直後は、「見えなさすぎて怖かったので、大きなクラッシュにならなくてよかった」と思ってしまうほどの悪状況。「でも、(序盤の)単独走行でのペースは良かったので、悔しいですね」と当然ながら無念さも滲ませる。

「あんまりもう、タイトルは意識していなくて……自分がリズムを作れていないので、明日はしっかりと予選から攻め切れるように、頑張ります」

 決勝では速いが、課題は予選。昨年から続くその傾向について平川は「結局、決勝になると(ドライでもウエットでも)速く走れるんですよ。自分は“耐久ドライバー”になってしまったのか……と悩んでるんですが」と、自身が今季WEC世界耐久選手権に出場している事実を踏まえ、冗談めかしながら自嘲する。

 金曜の好調を、第8戦の予選で取り戻すことができるかどうか。まずはそこが、課題とする一発の速さでの上位進出に向けたカギとなる。