お盆の日本列島。台風8号の直撃が予想される中、開催された「コミックマーケット」。どんな状況になるのか、雨対策をしっかりとした上で会場・東京ビックサイトに行ってみたところ……。そこには、台風を恐れることなく、むしろワクワクしている参加者が集まっていた。(取材・文:昼間たかし)
雨が降り出すと喜ぶ参加者たち
13日朝の天気予報によれば、台風が静岡県に上陸するのは正午以降。これを見て今回の参加者の多くは、こう思ったに違いない。
「ラッキー。台風が来るのコミケ後じゃん」と。
さて、雨のコミケといえば、筆者の記憶だと一番酷かったのは2003年の「コミックマーケット64」。設営日も含めて4日間すべて雨が降るまれにみる悪天候だった。開場を待つ待機列は座るここともできず、傘や合羽姿の人がじっと下を見て何時間も立ったまま耐えている姿は印象的だった。
それに比べると、今回は幸運だ。なにしろ、開場時間(10時半)を過ぎても雨はほとんど降っておらず、筆者は全く雨に濡れずに会場入りできた。
ついにスコールのような雨が襲ってきたのは、開場からしばらく経ち、一般参加者でにぎわい始めた午前11時11分。
建物の外にいた人は慌てて中へ。しかし、一部の人気サークルの同人誌を買うために行列に並んでいる人たちは、そうはできない。ただ、ひたすらに雨に打たれるしかない。
ただ、そこに悲壮さはなかった。参加者たちも落ち着いた様子で傘や合羽を取り出す。紙袋にはビニールを、リュックには雨よけカバーをかけ、入手したお宝アイテムはビニールでぐるぐる包む。雨対策を抜かっている人は一人も見かけなかった。
スタッフにいたっては、今が見せ場とばかりに、雨に打たれながら独特の決めポーズで行列整理。参加者たちは「台風来場」を歓迎しているかのように、スマホで降り出した雨の撮影をしていた。
結局、スコールのような雨が降っていたのは一瞬だけ。昼すぎに会場外に出ると、また傘がいらないレベルにまで雨足は弱まっていた。
写真:編集部
台風なのでちょっと暗めのコミケになるかと思いきや、むしろ雨でも楽しそう。このポジティブさはやはり記念すべき100回目の開催だからだろうか。実際、都心で雨が本格的に降り出したのは午後5時過ぎで、午後4時閉会のコミケ(C100)には、ほとんど影響がなかったようだ。
予報だと、2日目が始まるころには、この台風はすっかり東北の太平洋上に抜けきっているもよう。いや、本当に神タイミングのコミケだったな今回は。