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「映え」狙い? 車並べて公道ふさぐ画像がSNSで拡散 どんな違反になるか?

2022年08月12日 17:31  弁護士ドットコム

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公道をふさぐ形で車を並べて写真撮影などをしていたとするインスタグラムでの投稿が、その様子が写っている画像や動画とともにネット上で拡散され、話題となっている。元の投稿はすでに削除されている。


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インスタグラムで投稿された画像では、縦方向に3列、横方向には反対車線を含む公道の幅員目いっぱいに計8台の車を並べて、前照灯などで「ライトアップ」しているシーンが写っている。また、動画には、車の低いエンジン音がうなる中でじっくり撮影している様子が映っていた。



この投稿をめぐり、ツイッターなどでは「ださい」「公道ふさいだらダメでしょ」と批判が殺到。投稿者がインスタグラムの別の投稿(ストーリーズ)で「やっとることに文句があるなら、Twitterとかに書かんと面と向こうて、言ってこい!!」と述べたとされる画像も拡散され、火に油を注ぐ事態となったようだ。



もし反対車線を走行する車が来たら迷惑なうえに、場合によっては事故にもつながりかねない「危険な撮影」といえる。具体的にはどのような違反となるのか。



●複数の「道交法違反」に当たる可能性

道路交通法76条3項は、禁止行為として、「何人も、交通の妨害となるような方法で物件をみだりに道路に置いてはならない」と定めている。車を公道で並べる行為は、この禁止行為に当たる可能性がある。罰則は、「3月以下の懲役または5万円以下の罰金」となっている(同法119条1項12号の4)。



また、道交法76条4項2号は、「道路において、交通の妨害となるような方法で寝そべり、すわり、しやがみ、又は立ちどまっていること」も禁止しており、写真や動画を撮るために公道で立ち止まっていた場合、この禁止行為に当たる可能性もありそうだ。罰則は、「5万円以下の罰金」だ(同法120条1項9号)。



投稿された画像では、反対車線にも車が止められているが、その際、反対車線をわずかでも「逆走」した可能性がある。逆走した場合、「道路の中央から左の部分を通行しなければならない」とする通行区分違反(道交法17条4項)に当たる。罰則は、「3月以下の懲役または5万円以下の罰金」となっている(同法119条1項2号の2)。



撮影のために公道の中央部分や反対車線に駐車しているとすれば、「駐車するときは、道路の左側端に沿い、かつ、他の交通の妨害とならないようにしなければならない」と定める道交法47条2項に違反するおそれもある。



駐車方法違反をし、なおかつ「車両を離れて直ちに運転することができない状態」だった場合には、「放置車両」に該当することになり、罰則(15万円以下の罰金)の対象となる(119条の2第1項2号)。



●「映え」狙いの蛮行、空港の入り口でも…

道交法違反だけでなく、刑法犯罪に当たる可能性もあるかもしれない。



車を公道に並べて、第三者の車などの通行を妨げているとすれば、「陸路を閉塞して往来の妨害を生じさせた」として、往来妨害罪(刑法124条1項)が成立するおそれがある。罰則は、「2年以下の懲役または20万円以下の罰金」だ。



SNSへの投稿などのために「映え」を狙った撮影は今回だけではない。



2022年7月にも、高松空港の入り口付近の公道をふさいで、車を撮影したとするツイッターでの投稿が話題となり、空港側が「【警告】高松空港周辺において、許可なく無断で路上駐車することは禁止されております。悪質な場合は警察へ通報を行いますので、くれぐれも迷惑行為はご遠慮願います」とツイートする事態が発生した。







公道で撮影していた際に事故などが発生すれば、死傷者などが出る最悪の事態にもつながりかねない。撮影者は「極めて危険な行為に及んでいる」ことをあらためて認識し、違法行為や迷惑行為は厳に慎まなければならない。