トップへ

BE:FIRSTがオーディション課題曲「Be Free」と歩んできた道のり 新録バージョンから伝わる7人の歌声の進化

2022年08月11日 18:41  リアルサウンド

リアルサウンド

BE:FIRST『BE:1(CD+2BD)』

 8月31日にリリースを控えるBE:FIRSTの1stアルバム『BE:1』。そのリード曲である「Scream」が、8月8日付のオリコン週間デジタルシングルランキングおよびオリコン週間ストリーミングランキングで初登場1位を獲得し、アルバムへの期待度が窺える。本アルバムには、BE:FIRSTが誕生したオーディション『THE FIRST』の審査使用曲から新曲まで、グループの軌跡が詰まった全15曲が収録される。その中から、8月1日に先行配信された「Be Free」に焦点を当てて、同楽曲とともにメンバーがこれまで歩んできた道のりを改めて振り返りたい。


(関連:BE:FIRST、夏フェス前に押さえておきたい“名刺代わり”の2曲 研ぎ澄まされたパフォーマンスに注目


 爽やかにビートを刻む「Be Free」は、オーディションの合宿2次審査、通称“疑似プロ審査”の課題曲の一つ。この審査はその名の通り、プロが作った楽曲を、プロが作ったコレオグラフで、プロフェッショナルに歌いこなす、というもの。疑似的にではあるが、目指すのはプロのアーティストのクオリティで魅せるステージだ。


 そんな審査曲の作曲を手掛けた“プロ”は、Chaki Zulu、sty、そしてSKY-HIの3名。Chaki Zuluは、加藤ミリヤ、MIYAVI、SKY-HI、そして自身のレーベル/クルー<YENTOWN>に所属するAwichやkZmなどを手がけ、その後「Bye-Good-Bye」の作曲でもクレジットされている音楽プロデューサーだ。歌唱部分を手掛けたstyは、EXILEを筆頭にLDH所属アーティストにも数多く楽曲を提供しており、三代目 J SOUL BROTHERS from EXILE TRIBE「R.Y.U.S.E.I.」や少女時代「MR.TAXI」といった数々のヒット曲もプロデュースしている。また、コレオグラファーには、s**t kingzのOguriをクレジット。合宿中にその名前が発表された際には、参加者も驚きを隠せない様子だった。


 このように豪華な面々によって生み出された本楽曲は、そのタイトル通り「自由」を内包する開放感に溢れたアッパーチューンであると同時に、アーティストとして夢を掴み取るためにオーディションに参加したメンバーたちの気持ちも表現した一曲となっている。


 チームとして、同曲の練習に励んだのは、現在BE:FIRSTメンバーであるSOTA、MANATO、JUNON、LEOに加え、その後BMSG所属の練習生となったRUIとREIKOの計6人。中でもダンス未経験者だったJUNONとREIKOをチーム一丸となりサポートしながら、楽曲のテーマとなる「自由」をどう表現するか和やかに話し合う姿が見られた。その一方で、チーム最年少のRUIが、前夜に洗った靴が乾かないという理由でスリッパを履いて練習に参加したり、自主的な朝練習にはチームの半分の人数しか集まらなかったりと、少し気がかりな部分も。すると、少し緩んだ空気を察知したチームの年長組でリーダー的存在だったLEOやSOTAが、「負けたチームから一人脱落者が出る。自分の発言には責任感を持とう」「弱いところ、甘いところもあっていいけど、チームとして固いものを持っておこう」と、丁寧な言葉を投げかけた。これには他のメンバーも真剣に耳を傾け、気持ちを新たにした様子が見られた。


 「チームのパフォーマンスを向上させるにはどうするべきか」を常に念頭に置き、腹を割って気持ちを伝え合ったことで、楽曲への理解度と仲間との関係性を深めていく姿は、視聴者にとっても印象的だったのではないだろうか。その真摯な想いが功を奏し、本番では「何かが憑依してきたようなパフォーマンス」とSKY-HIから高評価を受けた彼ら。見事に審査をクリアし、次のステージへと駒を進めたのであった。


 さらに「Be Free」は、『THE FIRST』参加者の歌声が世に正式にリリースされた最初の楽曲でもある。昨年6月28日に配信開始されると、iTunesの総合ランキングで1位を獲得。Twitterのトレンド入りも果たすなど、これから誕生するグループの幸先の良いスタートダッシュを予感させた。また、同日に公開された審査本番のパフォーマンス映像は、公開から僅か4カ月ほどで再生回数1000万回を突破。公開2週間で1000万回再生を記録したプレデビュー曲「Shining One」のMVと並ぶ再生回数を打ち出したのが、オーディション中のパフォーマンス映像だというのだから驚きだ。


 今回先行配信された「Be Free」は、BE:FIRSTの7人によって新たにレコーディングされたもの。SHUNTO、RYUHEI、RYOKIの3人が加わったことによる歌割りの変化もあるが、何よりも7人がこの1年間磨き上げてきた歌声の進化が顕著にあらわれている。以前はレコーディングも慣れない様子で行っていた彼らが、この1年間で単独ライブや外部のライブイベントなどたくさんのステージを経たことで歌声の伸びやかさとキレを増し、楽曲に新たな命を吹き込んだと言えるだろう。特に、「YOLO」から「Move On」まで振り幅の広い楽曲を得意とするSHUNTOが加わったことで、爽快感を際立たせる新たなエッセンスが感じられる。ほかにも、SOTAのソロであったラップパートにRYOKIも参戦することでさらなる迫力が生まれ、RUIのパートを継承したRYUHEIの歌声からは、歳が近く合宿中も支え合っていた二人の友情が感じ取れるようだ。また、自分の歌声と向き合いながら審査を重ねるごとに課題を克服していったLEOも、柔らかながら芯のある持ち前の歌声でグループを大きく包み込んでいる。同じくMANATOとJUNONも日々成長を重ね、艶やかな歌声でBE:FIRSTの歌の核を担っている。


 懐かしさを感じさせながら、新たな成長の発見もある7人版の「Be Free」。今後も、初心を忘れず自由に羽ばたくBE:FIRSTの道標となっていくだろう。(風間珠妃)