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【第4戦GT500&GT300事件簿】まさかの走路外走行6回/突然のストップ原因etc.

2022年08月07日 22:31  AUTOSPORT web

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2022スーパーGT第4戦富士 ZENT CERUMO GR Supra(立川祐路/石浦宏明)
スタート前、各車がグリッドに着く頃にはコースを雨が濡らし、波乱の展開が予想されたスーパーGT第4戦富士。心配された雨の影響はほとんどなく、ビッグアクシデントやセーフティカー導入もない比較的クリーンなレースとなったが、いくつかのチームはアクシデントやトラブル、イレギュラーな事態に見舞われていた。

 ここでは、決勝終了後に取材できた範囲で、第4戦決勝中に起きた“イレギュラー案件”の真相に迫る。

■スーパーGTは「欧州とは違うところもある」とロベルト・メリ
 予選Q1ではロベルト・メリがベストタイムを記録した時に走路外走行があったとして該当ラップが削除され、GT300クラスの最後列からスタートしたTeam LeMans Audi R8 LMS。スタートからメリがダブルスティントを務めたが、1周目の混戦で8ポジションアップを果たすと、その後も順調に周回を重ねていき、一時はクラス4番手まで浮上するなど、順調な追い上げをみせた。

 しかし、レース中に何度か走路外走行があり、黒白旗が出されたのだが、その後も走路外走行が続き、合計6回に達したところで2度目の黒白旗が出された。これにより、ドライブスルーペナルティを受け、61周を終えたところでペナルティを消化。

 悪い流れは続き、途中のフルコースイエロー導入時に、減速が遅れてしまい、この件についてもドライブスルーペナルティを受けることに。最終的にトップから2周遅れの16番手でフィニッシュした。

「トラックリミットを取られてしまってドライブスルーペナルティになったのと、FCYの時にコミュニケーションがうまくいかなくて、減速が遅れてしまった。今回はすごくペースが良かったので、前の方でフィニッシュできるのではないかと期待していたけど、そういった問題があって叶わなかった」

 メリはF1の参戦経験があるほか、F2をはじめヨーロッパでは数多くのレースに参戦してきた実績があるのだが、走路外走行の部分も含めて、“ヨーロッパスタイル”が染みついてしまっているところは否めない様子。日本のスーパーGTのやり方への合わせ込みで苦労しているようだ。

「スーパーGTは、すごく素晴らしいシリーズだなと思っていて、たくさんタイヤもクルマも複数のメーカーが参戦していて、競争力も高い。異なるクラスが混走していて、全てにおいてやりがいがある」

「ただ、レギュレーション的な部分というか、ヨーロッパのレースとは違うところもたくさんあるから、そこに合わせ込むのが大変だなとは思っている。とはいえ、素晴らしいカテゴリーだよ」

 次大会については「鈴鹿は僕たちにとっては、難しいコースになるかもしれないけど、少してもパフォーマンスをよくして、コンペティティブな状態で臨みたいと思っている」とメリ。レース後も、少しでも状況を改善するべく、チーム関係者らとミーティングを重ねていた。(TY)

■センサーの異常検知に泣いたMOTUL AUTECH Z
 ロニー・クインタレッリがスタートを担当して、予選8番手から徐々に順位を上げて5番手を走行していた23号車MOTUL AUTECH Z。34周目にピットインして松田次生に乗り変わった直後の36周目、23号車はスロー走行を余儀なくされた。

 原因はセンサーの異常検知。ニッサンの松村基宏総監督がレース後に説明する。

「リヤのダクトが外れて冷却系のセンサーが異常検知して、ピットに入って確認するのに時間がかかってしまいました」

 エンジンや駆動系に問題はなく、その後コースインするも14位という結果に終わってしまった。

 トラブルが出る前まではトップ5台のうち、23号車を含めて3台のZが上位を争っていただけに23号車にとっても、日産陣営にとっても痛いトラブルとなってしまったが、裏を返せば次の鈴鹿は23号車にとって大きなチャンスになる。(TM)

■21番手から表彰台圏内に浮上も無念のトラブル。ARTA NSX GT3
 予選は低調な結果に終わり、GT300クラス内の21番手スタート。しかし決勝では第1スティント担当の木村偉織がみるみるうちに順位を上げ、12周目には10番手にまでジャンプアップしたARTA NSX GT3。ここで給油のみの1回目のピット作業を済ませると、木村は好ペースを維持し、実質2番手にまでポジションを上げることに成功する。

 しかし43周目、突如スロー走行に陥ってしまう。

 このドラブルについて木村は「電気系なのですが、突然全部シャットダウンみたいな感じになってしまって。エンジン自体はかかっていたのでなんとか惰性で戻ってこれるかと思ったんですが、登りのところ(13コーナー)で止まってしまいました」と振り返る。木村はリセットをかけてなんとかピットにマシンを戻すが、当然ながら勝負圏外に。悔しいレースとなってしまった。

 前日には温度レンジにハマらなかったタイヤが、この決勝ではダブルスティントをしても好ペースを維持するほどの豹変ぶり。「今日のこのコンディションなら絶対に(タイヤに)合うのは分かっていたので、焦らず、冷静に自分のポジションと位置どりを考えながら、抜けるときに抜いていきました」と木村。

「ペースも良く、タイヤ無交換でダブルスティントに行っても、フルタンクの状態では非常バランスが良かったので、トラブルなければ表彰台は確実に乗れたなというレースでした。今季、表彰台が見えるレースはこれまでなかった中、予選までの悪い流れを決勝でなんとか引き戻すことができたのは、自分自身も自信になりましたし、チームの士気も上がったと思います」

 トラブルについては、第3戦鈴鹿でも同様のトラブルが生じていたということで、今後に向けては「チームとミーティングをして、しっかり対策しないといけませんね」と木村は語っている。(KN)

■“精密検査が必要”と判断されたZENT GRスープラ
 予選4番手から好スタートを切り、4番手をキープしていた38号車ZENT GRスープラ。5周目には年間3基目のエンジン投入とモノコック交換による10秒ストップペナルティを消化して最下位になるも、その後のペースは上位陣と同等だった。

 しかし、最初のピットを終えた第2スティントの途中、43周目にスローダウン。ピットロードに戻るも、コントロールタワー下でストップしてしまった。

 ストップの原因は電気制御系トラブル。スロットル系にトラブルが出てしまったようで、ピットインしてから一度コースインしたが、精密検査が必要とのことで44周を走ったところでレースを終えることになった。

 ニューエンジン、ニューモノコックでドライバーもチームも手応えを十分に感じていただけに、前回の第3戦に続いて不運な結果となってしまった。