いつからか日本のトイレはしゃがんで用を足す和式便器から、座って完結する洋式便座にほぼ様変わりした。いまどき新築の家を建てる際、あえて和式トイレを選ぶ人などいないのでは? と思いきや、はてな匿名ダイアリーに7月末、「新築のトイレで揉めている」という投稿があった。
投稿主は、家を新築するにあたり「俺はトイレについては和式一択」という男性。ところが、これを嫁が激しく感情的に嫌がるので困っているそうだ。
「金を出すのは俺だし、(中略)これ以上拒否するようなら勝手に発注したろうかとすら思っているけど、トイレが原因で離婚なんてのも嫌だ」
と心情を吐露。「どうして和式ってそんなに嫌われるんだろうか?」とこぼしていた。(文:篠原みつき)
「ボロボロの職場。トイレも和式でホコリだらけでした」仕事を即行で辞めた理由
「嫁に代わって言ってやる。和式はやめてくれ」
投稿主は、妻に「どうしても気に入らなければ、後で洋式にすることも出来るから大丈夫だよ」と説明しているそうだが、「和式は絶対嫌、初めから洋式にしての一点張りで本当に話にならない」と困惑していた。そんな譲歩を見せるなら初めから洋式にすればいいようなものだが、和式で慣れれば文句は出るまいと踏んでいるようでもある。
この投稿にはてなブックマークは700以上つき、コメントは
「嫁に代わって言ってやる。和式はやめてくれ。他人事だけどさ、絶対に嫌だよ」
「嫌がるのわかる。和式って長くこもる/妊娠/病気/怪我した時も年取ってからも辛い。感染症拡大の予防に蓋も欲しい」
など、「和式が嫌なのはわかる」と妻に味方する意見が相次いだ。
確かに、昭和生まれの筆者は小学生まで家が和式トイレだったが、長時間の利用は足がしびれてきつい。ケガをしたときはもちろん、現在足元がおぼつかない高齢の母が、和式トイレは到底使えないことも知っている。逆に、なぜそんなに投稿主が和式トイレにこだわるのか不思議なくらいだ。
和式トイレはもはや完全に少数派
コメントの中には、「トイレを2つ作れば」という意見も多数あったが、投稿主の追記はトイレ2つ作るのはお金とスペースの無駄であり、「科学的にも和式が日本人の体型に合ってるんだよね」と、根拠不明の理屈で考えは変わらないようだった。
和式トイレのメリットは、腹筋に力が入りやすいためふんばりが容易、お尻に直接便器が触れない、掃除がしやすい、といったところだろうか。公共トイレで和式便器が少ないながら活躍している理由は、不特定多数の人が座った便座に、肌が直接触れるのを嫌がる人がいるかららしい。
ただ、家庭のトイレはほぼ家族しか使わない。和式は便器まわりに尿が飛び散りやすいのでマメに掃除する必要があるし、すぐに排泄物が水没する洋式と違って、長く空気に触れるために臭くなりやすい。足のけがや高齢者、妊婦が使いづらいことは前述の通りで、家庭のトイレに関してはデメリットのほうが大きいような気がする。
TOTOによれば、洋式と和式トイレの出荷比率は1963年には和式が82%だった。それがが減り続け、76年に洋式との割合が半々に、85年には和式25%と完全に逆転した。2000年には和式は7%にまで激減し、2018年には0.4%とほとんどが洋式に変わっている。たくさん使われているから正しいとまでは言わないが、こうした数字が利便性を如実に物語っているのでは。おまけに、同社の資料によれば洋式よりも和式のほうが水を多く使うという。もはや「洋式一択」ではないだろうか。
他方、投稿で一番気になる点は「金を出すのは俺」なので、一緒に住む人の「感情」は無視して自分の思う通りをゴリ押したい、と思っているフシがあることだ。トイレは毎日何度も使うもので、和式が嫌なために夫のことまで嫌いになっていく可能性は十分あり得る。改めてお互い冷静に話し合えれば良いのだが。
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