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蓮佛美沙子「荒ぶる龍平さんがたくさん見られる」 工藤阿須加と松田龍平のギャップを語る

2022年08月03日 01:21  リアルサウンド

リアルサウンド

(左から)工藤阿須加、蓮佛美沙子、入江悠監督

 8月28日より放送・配信がスタートする『連続ドラマW 鵜頭川村事件』の完成報告会が8月2日に都内で行われ、蓮佛美沙子、工藤阿須加、入江悠監督が登壇した。


 本作は、櫛木理宇の同名小説をドラマ化したパニックスリラー。日本の片隅にある鵜頭川村を舞台に、行方不明の妻を捜す医師・岩森(松田龍平)が、村に根深く残る因習や権力闘争に巻き込まれていく。


 会見には当初、松田と伊武雅刀も出席予定だったが、体調不良のため大事をとって欠席。「3人で、裏でどうしようかと戸惑っていた」(蓮佛)、「なるべくお二方の代わりとして魅力をお伝えできるように頑張りたい」(工藤)、「豪華キャストの端っこで1人でいようと思っていたら、急にこんな役割が」(入江)とそれぞれ不安をにじませつつ、和やかにトークを繰り広げた。


【写真】『連続ドラマW 鵜頭川村事件』場面写真


 今回、岩森の妻とその双子の妹という1人2役を演じた蓮佛は、「気負うことなくそれぞれの役に向き合おうと思った」とコメント。青年団のリーダーを演じた工藤は「自分の正義が相手にとっては悪だったり、相手の正義が自分にとって悪になることもある」と本作で得た“気づき”について語り、「(演じる辰樹の)正義を貫き通すことを何より大事にしていた」と力を込めた。また工藤は近年、役者と並行して農業にも注力。そのため、「衣装合わせで鍬を持ったり道具を持ったときに、『手に染み付いてるね』と監督から言われて。リアルに農作業をやってるので、そういうところが生きたのが嬉しかった」と笑顔を見せた。


 『同期』(WOWOW)以来、11年ぶりに松田とタッグを組んだ入江監督は、前作の撮了後に「黙っておでんをつついて帰ってきた」と2人で食事に行ったエピソードを披露。今作では、「『脚本、すごく面白いです』と言ってくれたのが、クランクイン前のエネルギーになった」と明かした。


 さらに、役作りに関してキャストに指示をしなかったという入江監督は、「長野県のすごく寒いところにポンッと入っていただいて、それぞれ空気を感じてもらいたかった」とその意図を説明。実際、入江監督が「(何も)伝えて……ないよね?」と話すと、蓮佛も「美味しいごはん屋さんを紹介してもらった」と笑い、「本当に自由にお芝居させてくれる監督」と感謝。工藤も「好き勝手、自由にやらせてもらった」とし、「何かあれば監督はすぐに言ってくださるので、何も言われなければOKなんだと。自信を持って現場にいられた」と信頼を寄せた。


 撮影は冬の長野県で2カ月間に渡って行われ、蓮佛は「ほんっとうに寒かったです」「ホースで水をまけどまけど、秒で凍る」と気候との戦いとなった日々を述懐。一方、工藤は「土砂崩れが起こるんですけど、そこをリアルに再現しているんですよ。スタッフさんたちのご尽力のおかげで」と感嘆し、「現場に入った時に、『俺ら、これ本気でやらなきゃ失礼だぞ!』って(青年団メンバーを)盛り上げた」と打ち明けた。


 蓮佛、工藤ともに、主演の松田とは初共演。蓮佛は「想像の2倍しゃべる人でした」と松田の印象を語り、「初日からノンストップで話していらっしゃって、最終的に娘役の子と喧嘩したりしてて」と告白。その内容は“バミリの位置が違う”といった他愛いないものだったそうで、「どこまで冗談でどこまで本気なんだろうって、ミステリアス。そこが私はツボで、ずっと笑って見ていた」と振り返った。すると入江監督は、「撮影が過酷で、(松田が)『蓮佛さんが癒やしだ』って言ってました」と暴露。「ありがとうございます、龍平さーん!」とカメラに手を振る蓮佛の横で、「僕とは全然しゃべらない」と本音をこぼして笑わせた。


 また工藤は、松田に「怖そう」というイメージがあったと吐露。その上で、真顔でスーッと近づいてきた松田から「(小さな声で)寒いね」と声をかけられたと明かし、「『工藤くんは“気持ち”があるから、すごくいいと思う』って言ってくださって。松田さんから僕に近寄ってきてくれることが多くて、印象が変わりました」と笑みを浮かべた。


 ドラマの見どころについて、蓮佛は「荒ぶる龍平さんがたくさん見られる。新たな龍平さんの一面だなと思って、個人的に推したいです」と話し、工藤は「人間の妬み、恨み、嫉み。人の本質が見られるのが面白い」としみじみ。入江監督は「俳優さんが村の人にならないといけないので、集中豪雨に遭ってボロボロになった村を、どれだけリアリティを持って作れるかが今回の肝だった」と語り、「過酷な状況になると、人間の本性が出るじゃないですか。そういったものが、自然と俳優さんから出てきたら面白いなと思っていた」と、リアリティ溢れる映像の裏側について明かした。


(取材・文・写真=nakamura omame)