2022年08月02日 10:21 弁護士ドットコム
再び新型コロナウイルスの感染が広まり始めています。学校や幼稚園、保育所の休校・休園に頭を悩ませている保護者も多くいますが、弁護士ドットコムには「有給休暇ではなくコロナ特別休暇から使わせてもらえないのか」という相談が寄せられています。
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病院に勤務しています。コロナがまた流行し始め、保育園が休園したり濃厚接触者になったりした場合は、有給休暇を使用して休むように言われています。
有給は勤続年数にもよりますが、年20日取得できます。有給が無くなれば、看護休暇(子ども1人に対し年5回)、それも無くなれば臨時休園や臨時休校に伴う「コロナ特別休暇」(小学校休業等対応助成金)になるそうです。
私はシングルマザーで2人の子どもを育てているので、すぐに有給や看護休暇は無くなりますし、今流行っている夏風邪で休む必要性も出てきます。
コロナ関連の休園であれば、先に特別休暇を使用できないと非常に困ります。有給から使用していくルールは、法的に問題ないのでしょうか。
新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、子供の世話をする必要のある労働者に対し、企業が特別休暇を付与するケースがあります。特別休暇は、労基法第39条に定められた年次有給休暇と異なり、法律で定められた休暇ではなく、福利厚生などの観点から各企業が独自に導入する制度です。
そのため、その取得事由や手続き、有給とするか無給とするかなどの設計は、各企業により異なります。
したがって、本件のような特別休暇についても、取得の条件として年次有給休暇を優先して取得することと定められていたり、必要とされている会社の承認が得られなかったりすれば、相談者としては年次有給休暇を使用せざるを得ません。
ただ、小学校休業等対応助成金の支給対象となるのは、会社が労働者に対して労基法上の年次有給休暇とは別に有給の休暇を取得させた場合に限られます。
そうであれば、会社としては、助成金の対象となる特別休暇の使用を促すことが合理的であり、助成金の対象とならない年次有給休暇の使用を促すのは合理性を欠きます。
相談者としては、会社がこの点を理解した上で指示を出しているのかを確認すべきです。
また、都道府県労働局は「小学校休業等対応助成金に関する特別相談窓口」を設け、労働者からの相談内容に応じて、企業への特別休暇制度導入・助成金の活用の働きかけを行っています。
この窓口に相談し、労働局を通じて特別休暇の優先使用を促すことも考えられます。
【取材協力弁護士】
近藤 暁(こんどう・あき)弁護士
2007年弁護士登録(東京弁護士会、インターネット法律研究部)。IT・インターネット、スポーツやエンターテインメントに関する法務を取り扱うほか、近時はスタートアップやベンチャー企業の顧問業務にも力を入れている。
事務所名:近藤暁法律事務所
事務所URL:http://kondo-law.com/