共働き世帯が多数派となった今でも、「家事をするのは女性」という価値観は根強く残っている。キャリコネニュースに投稿を寄せた愛知県の50代女性(事務・管理/世帯年収1600万円)は次のように憤る。
「習い事、塾への送迎などの子どもの面倒、食事の用意は妻の自分が担当しなければならないと思わせる状況」
夫は過去に単身赴任をしていた時期があったらしく、今は「任せればやろうとするようにはなったが、掃除も食事作りも適当で任せられるレベルじゃない。子どもの世話も効率を考えず動く」と諦めた様子で綴っている。
「定年退職したら絶対離婚すると心に決めて頑張っている」
愛知県の40代女性(福祉・介護/世帯年収950万円)は、共働きの不満をこうぶちまける。
「正社員フルタイムで働いていても、家事も育児も母親である私がほとんど行っている。子どもたちも母親である私がすべきと思っている」
正社員で働く前はパートとして働いていた女性。その当時夫から「暇そうで羨ましい、もっと働け、ちゃんと働け」と言われたという。そこで「時間に余裕が持てそうな正社員の仕事をしようか」と相談したところ
「『経験と資格があるんだからそれを生かして給料のいいところでちゃんと働け』と言われた。『だったら協力してよ』と言うと『やる』と口にはするものの行動はなし」
働けと言う割に「協力」は口約束だけで行動が伴わない夫。女性はどうにも許せないのだろう、「お金を貯めて定年退職したら絶対離婚すると心に決めて頑張っている」と綴っていた。
家事は終わりのないマラソン
ワークスタイル研究家の川上敬太郎氏は次のように語る。
<世の夫は、朝早く家を出て夜遅くまでハードに働き、家計収入獲得のために頑張っています。だから、自分と同じように働いていない妻を見て、ラクしているように思えてしまうのかもしれません。
しかし、そこには大きな盲点があります。世の男性の多くは、家事や育児を休みなく繰り返す大変さを知りません。毎日家族全員の食事を作り、買い物に出かけ、掃除や洗濯をしながら育児をこなす。そこに仕事まで入ってくると、パート勤務であっても日々の忙しさは苛烈になります。
仕事の大変さは、例えると100メートル走の繰り返しです。100メートルの全力疾走はハードですが、毎日の帰宅後や週末には休みがあります。一方、家事育児は365日休みなく走り続ける、終わりのないマラソンです。どちらも大変ですが、その性質は全く異なります。
一方、妻の方は多くが仕事の大変さも知っています。総務省の労働力調査によると、2021年に正規の職員・従業員として働く15~24歳の男性144万人に対して、女性は132万人とほとんど差がありません。結婚や出産を経て女性の比率は減少していきますが、社会に出て間もないころは、女性も男性と遜色ない仕事経験を有しているのです。
仕事の大変さしか知らない夫が、妻に「もっと働け」などと言い捨てる姿を見て育てば、子どもも少なからず感化されることになります。仕事と家事育児両方の大変さを知る妻からすれば、そんな夫に腹立たしさはもちろん、滑稽さすら感じてしまうのではないでしょうか。>