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八芳園で交流イベント「第2回 交流の未来」が開催【前編】- これからの空間デザインとは

2022年07月28日 18:11  マイナビニュース

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画像提供:マイナビニュース
八芳園(東京・白金台)では7月26日、リアルとオンラインのハイブリッド型 交流イベント「第2回 交流の未来」が実施された。いま人は何を求めて交流し、そこから今後、どのようなモノ・コトを生み出していくのだろうか――。業界の垣根を越えた関係者が次々と登壇し、これからの時代における"人の交流のあり方"について話し合った。


■リアルの出会いは次のステージに



このイベントはオータパブリケイションズの主催、八芳園の企画となる。2021年4月に実施した「交流の未来DX 業界の外で、はじまっている変曲点~」に続く開催。リアルの会場として、八芳園 本館が選ばれた。


オープニング・セッションで話題を提供したのは、八芳園 取締役社長の井上義則氏と同執行役員 総括支配人の関本敬祐氏。


まずは会場のレイアウトについて紹介した。日本文化を感じさせる、縁側に人が横並びに座るコミュニケーションの場をイメージして設営したと言う。「フラットの関係を表現しました。公園の中で、オーディエンスに囲まれながら話をする、そんな雰囲気です。コミュニケーションの距離感も縮まったのでは」と関本氏。


八芳園は目下、デジタル領域に事業を拡張している。特に「人と人を繋げる」ビジネスに注力中。井上氏は「どんな形でも良い、どんなツールを使っても良いから、人と人を繋げていきます。昨今はオンラインでも、できることが増えました。そこで今後、リアルでは何にこだわっていくべきか。それは、お客さんにインスパイアを与えていくことだと思うんです」と話す。



例えば、名刺交換で新しいビジネスパートナーと出会うことはオンラインでも可能となった。仲間の親睦、チームのミーティングなど、これからもオンラインでできることは増え続ける。会議など、むしろオンラインの方がスピーディーで優れていることもある。



そうした中で、リアルの交流はどこのステージに上がるべきか。「これについては、集まっていただいた方たちに、何か新しい"発見"を持ち帰っていただくことに価値が出てくると思うんです。リアルで会って発見し、オフィスに戻ったら得たイメージを業務に落とし込む。リアルの交流は、そんなステージに上がるんじゃないか。そういったことを思い始めております」(井上氏)。



ここで言うインスパイアとは、元気づけ、鼓舞、感動させるなど、精神的なことを含んでいると井上氏。「こういうやり方もあるんだなって、発見を持ち帰っていただけたら」と繰り返す。



日本のおもてなしは、ともすると『花』より『団子』の方にいってしまう、でも花の方も大事にしたい、として以下のように続けた。「我々が目指していきたいリアルの交流っていうのは、デザインを駆使したもの。日本には春、夏、秋、冬の四季がありますね。同じ場所でも時期によって情景が違う。この自然の力というものが、まさに我々日本人の感性を高め、育んできた。それが日本の文化。皆さんに"発見"を持ち帰ってもらうため、そんな交流の仕方、プロデュースを考えているんです」。


■これからの空間デザインとは



次のセッションのテーマは「これからの空間デザイン」について。八芳園 経営企画室の片平麻衣子氏は、同社で空間デザインを手掛ける人物。これまでも植物や自然物を屋内空間に取り入れた「バイオフィリックデザイン」を数多く提案してきた。またSOUND CoUTURE inc.の大河内康晴氏は、空間音楽をイチから作る業務を展開している。2人の考える空間デザインとは、どんなものなのだろう。


片平氏は、自身が手掛けた空間をいくつか紹介した。例えば植物、照明、自然を感じさせるような造形によって、人が落ち着けるような空間。それは、企業の面接に向かう学生の待機ルームだった。「短時間のうちに自分を内省できるような雰囲気の部屋にしました」と片平氏。


一方で「音って、空間を支配する大きなファクターになっているんです」と話すのは大河内氏。自身の仕事を「どういう人たちが、どういう風に使いたいのか。そこに合わせていきます。室内・照明・机・自然といった空間に、音楽の寸法を合わせる作業をしています」と説明する。


続くテーマは、リアル、オンラインのもつメリット・デメリットについて。



大河内氏は「プロジェクトを進めていくとき、オンラインではできないことも出てくる」と切り出す。やはり人間は五感を使っているんだなと再認識した、と大河内氏。「温かい食事、冷たい食事、どちらも美味しいものですが、オンライン空間だと確認できません。席に実際に座ったときに、自分の体がフィットするかどうか、これもオンラインの打ち合わせでは確認できない。人のつけている香水の匂いなんかも。感覚を共有するところはリアルが大事なんですね。そこでは『同じ空間にいる』ことが意味をもつ。逆に、たとえ地球の裏側にいてもオンラインなら情報交換できるし、意思疎通も図れる。オンラインはそんなときに有効ですね」と話す。



片平氏は「リアルの世界で仕事の話を進めるときは緊張感も大きいけれど、オンラインだと気軽になる」と話す。今後、ビジネスシーンにおいてオンとオフが曖昧になることで、人間関係もより良い状態に調合されてくるのでは、と未来を予想した。


このほか、Musubi代表取締役の増田恵美氏、鏡石町地域おこし協力隊の小柳比呂氏と拓未氏による「地域の課題を解決する観光と交流の未来」、岩瀬農業高等学校の生徒さん、港区立麻布こどもプラザ、徳島県松茂町役場をゲストに招いた「MuSuBuからはじまった交流のその先」などのセッションも開催されている。記事は後編に続く。


近藤謙太郎 こんどうけんたろう 1977年生まれ、早稲田大学卒業。出版社勤務を経て、フリーランスとして独立。通信業界やデジタル業界を中心に活動しており、最近はスポーツ分野やヘルスケア分野にも出没するように。日本各地、遠方の取材も大好き。趣味はカメラ、旅行、楽器の演奏など。動画の撮影と編集も楽しくなってきた。 この著者の記事一覧はこちら(近藤謙太郎)