2022年07月28日 14:11 弁護士ドットコム
海賊版サイト「漫画村」による著作権侵害で被害を受けたとして、出版大手のKADOKAWA、集英社、小学館の3社は7月28日、漫画村の運営者を相手取り、計約19億3000万円の損害賠償をもとめる訴訟を東京地裁に共同で起こした。
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3社が加盟する一般社団法人コンピュータソフトウェア著作権協会(ACCS)が同日、記者説明会を開いて明らかにした。
「漫画村」は2016年2月ごろから2018年4月ごろまで運営されていた。違法にアップロードされた漫画作品を掲載して、出版社に大きなダメージを与えたとされる。
運営者は2019年9月に著作権法違反などの罪で逮捕されて、その後、福岡地裁が2021年6月、懲役3年・罰金1000万円・追徴金約6257万円の有罪判決を言い渡した。
今回の提訴の対象となったのは、原告3社が発行する計17作品(KADOKAWA8作品、集英社2作品、小学館7作品)。被害額は計19億2960万2532円(KADOKAWA4億5083万9961円、集英社4億7692万3161円、小学館10億183万9410円)。
漫画村は2018年4月に閉鎖されるまで、アクセス数で国内最大の海賊版サイトであり、その犯罪収益モデルは、現在確認されている多くの同種サイトに大きな影響を与えたと考えられます。いわば海賊版サイトの象徴的存在であり、刑事罰に加え民事的にもその責任が追及されて然るべきです。
事実、漫画村によって漫画家や原作者らが被った被害は甚大であり、作品をお預かりしている出版社にとって、漫画村運営者の民事的責任を明らかにすることは、現実的な回収可能性を措いても避けることのできない責務と考えます。大きな情熱と、骨身を削る努力によって産み出された作品に与えられるべき対価を、いかにも安易な方法で奪い取る行為は決して許されるものではありません。
原告3社は、クリエイターが安心して新たな創作に挑める環境を守るため、海賊版という犯罪撲滅への重要な一石として、この度の提訴に至ったものです。