史上初めての噴火警戒レベル5。24日、気象庁が、鹿児島県桜島の噴火警戒レベルが2007年の開始以来、初めてもっとも高い5(避難)に引き上げられた。民家のある3キロ圏内では、厳重な警戒が呼びかけられ避難が実施されている。その一方で対岸、鹿児島市内の住民に話を聞いてみると……。(取材・文:昼間たかし)
正直、みんな桜島を舐めてる
鹿児島市と桜島の間はフェリーで約15分ほどしか離れていない。市民にとって、目の前に常に噴煙のあがる桜島が見えるのは日常だ。そんな火山に慣れている感のある鹿児島市内では、今回の「噴火警戒レベル5」は、どのように受け止められているのか。
とある市民の男性は、「なにも変わりません」「空振も今回はそこまででもない」と、極めて冷静な様子だった。
空振とは、噴火によって空気が振動し窓ガラスが割れたりする現象のことだ。話を聞いた鹿児島市民によると「以前に活発に噴火した際には、もっと毎日空振が続いた」という。
また鹿児島市民で、実際に窓ガラスが割れる体験をした人は聞いたことがないとも。警戒レベル5になって、気になる点は何かあるのだろうか?
「気になるのは降灰ですね。風向き次第で灰が降ることがあるので、車を車庫にしまったり、洗濯物を取り込んだりしないといけませんから。もっとも、普段から、噴煙があがったのを見たら、テレビで風向きを確認するのが習慣になっているから、いつも通りのことです」
灰が大量に降る可能性があるため、天気予報を気にする回数が増えた程度で、他はまったく変化なし。降灰被害については意識が高く、克灰袋の用意は万全。ただ、灰が降ったぐらいでは、学校や会社も休みにならない……とのことだった。
男性は「ただし、もし大噴火したら、市内にも10センチくらい軽石が積もるレベルになるともいわれています。正直みんな桜島を舐めているのは否定できませんね」と語っていた。
島内では避難が実施されている一方で、対岸での温度差には驚いたが、地元紙の南日本新聞も「大正噴火のような大規模噴火の兆候はない」として、冷静な対応を呼びかける専門家の声を伝えている。