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『ユニコーンに乗って』小鳥が話題、西島秀俊が若い世代に思うこと 「何をやってもいい」

2022年07月26日 08:11  リアルサウンド

リアルサウンド

西島秀俊『ユニコーンに乗って』(c)TBS

 西島秀俊が“おじさんサラリーマン”に扮し、火曜10時に癒し、そして気づきを与えているドラマ『ユニコーンに乗って』(TBS系)。永野芽郁演じるスタートアップ企業の若きCEOのもとに、突然、転職してきた小鳥智志は、会社の雰囲気とは全く異なる“おじさん”。第1話では、年齢差のある若いメンバーとのギャップやスタートアップ企業の風習に戸惑いながらも、必死に学ぶ日々を楽しみ、新たなやりがいを感じていく小鳥に「おじさんサラリーマンのかがみ」「なんかホットする」「癒される」の声が挙がっている。


【写真】『ユニコーンに乗って』最新話カット


 主演映画『ドライブ・マイ・カー』が第94回アカデミー賞国際長編映画賞を受賞、2021年10月から2クールに渡って放送された主演ドラマ『真犯人フラグ』(日本テレビ系)など話題作への出演が続く西島。ドラマ内での小鳥同様に、本作での若い世代との共演について、同年代の頃の自身の過去と重ねて語ってくれた。


■「好きなもの」が役作りのヒントに


――小鳥をどんな人物と捉えて演じていますか?


西島秀俊(以下、西島):すごく真面目で保守的というか、ちょっと堅苦しいところがありそうな人なんですけど、同時にバードウォッチングが趣味で、風通しの良い性格でもあって。生真面目さはあるけど、夢に向かって転職するような情熱も持っているキャラクターですね。どこか相反するような2つの性格を、うまく1つのキャラクターとして演じることができたらいいなと思っています。


――永野芽郁さんが、スタートアップ企業で行われた勉強会の際に、西島さんが「作業をしているときに食べるものはありますか?」などと質問していた姿が印象的だったとお話しされていました。


西島:もちろん、考え方や大事にしていることも聞きますけど、好きなものについて聞くのが好きなんですよね。そういうところから紐解いていくと、「なるほど、地方によく行くからお土産で買ってくるお菓子を食べるんですね」とか、「時間がフレキシブルだからこの食べ物なんですね」とか。会社立ち上げ当初の生活と5年経った今の生活が変わっていることに気づけたり、意外と見えてくるものがあります。


――スタートアップ企業の方にお話を聞いて、印象深かったことはありますか?


西島:オフィスで“机周り”を見せていただいたときに、みなさんフリーアドレスで場所が変わるので「机周りというものはない」とおっしゃっていて。その中でも「ちょっと他とは違う机の方を教えてください」とお願いしたら、ひとり、すごく面白い物を飾っている方がいたんです。話を聞いたらとても素敵なエピソードだったので、その場で監督たちと共有して、これはもう絶対にストーリーに入れようと。ネタバレになってしまうのであまり言えませんけど、僕の役にも、ストーリーにも、大きな影響を与えてくれました。


――永野さんの座長ぶりはいかがですか?


西島:彼女がいると、現場がパッと明るくなります。それに、監督といろんなことを話し合いながら「もっといいシーンにしていこう」という意思をすごく感じますね。若くてプレッシャーもあるでしょうけど、それを明るい力で跳ね除けていく才能を持っている方。これから本当にスターになっていくんだなと思います。


――杉野遥亮さんの魅力についても聞かせてください。


西島:杉野くんはクールな役が多いけど、ちょうどいい具合に本人の天然さが混ざって、なんか冷たくないんですよね。クールだけど冷たくない、どこか可愛げがあるクールさで。今回の役も本当にぴったりで、素敵に演じていらっしゃいます。


■青山テルマは「魅力の塊みたいな人」


――今までの撮影で、印象的だったシーンはありますか?


西島:ドリームポニーのメンバー全員がいるシーンは、どれも印象深いです。(青山)テルマさんがアドリブをどんどんかましていって、それに前原(滉)くんが巻き込まれつつ(笑)、一生懸命うまくまとめてくれて。坂東(龍汰)くんは特殊なキャラを思いっ切りぶつけてくるし、そのバランスがすごく良くて、どのシーンも楽しいです。


――坂東さんと前原さんは、過去にも共演されていますよね。


西島:坂東くんはこの1年ぐらいよく共演してますね。毎回役が違うけど、その役に入り込んでいくタイプなので、今回も「また全然違う役だね」と驚きました。前原くんは、とにかく演技が巧い。プラス、作品全体のために演技をする人なので、みんなが頼りにしているんじゃないですかね。他のメンバーが全力で演じられるのは、前原くんがそれを全部受け止めて、うまく回しているからだと思います。


――青山さんは連続ドラマ初出演です。


西島:本当に初めてとは思えないです。魅力の塊みたいな人なので、記者会見のような場でも、現場にいても、本番が始まっても、魅力とエネルギーにあふれていますね。これからたくさん(芝居の)オファーが来るだろうなと思います。


――広末涼子さんと寺嶋眞秀くんとは、撮影で森に行かれたそうですね。


西島:眞秀くんは子どもらしい子どもで、演技にもまっすぐ向かうし、虫取りにもまっすぐ向かうっていう(笑)。水切りを始めたら、「川の石がなくなるからやめな」と思うくらいポケットにいっぱい良い形の石を集めて、「こんなの見つけたよ!」って。子どもらしくて、僕はすごく好きですね。広末さんは何度かご一緒していますけど、女優としてもそうですし、1人の人間としても経験を重ねて、いろいろなことを感じて、それを表現されているなと。会うたびに「あぁ、また素敵な魅力を重ねていらっしゃるな」と感じています。


■若い世代に「何をやってもいい」


――ドラマでは小鳥と佐奈たちのジェネレーションギャップが描かれますが、西島さんご自身もジェネレーションギャップを感じることがありますか?


西島:僕はSNSとかLINEを一切やらないんですよ。「やってくださいよ」とも言われるし、「なんならもう、そのままやらないでもらいたい」とも言われるし(笑)。そういう意味で、周囲とギャップはあるでしょうね。連絡を取るときに、皆さんには迷惑をかけていると思います(苦笑)。


――ご自身が若かった頃と、若い世代の役者さんとの違いは感じますか?


西島:僕はデビューが遅かったけど、みんなは若いと言ってもベテランですから。演技に対する考え方とか、表現したいことをしっかり持っていて、監督やスタッフとディスカッションしながら作り上げているので、単純に僕のキャリアとは全く違いますね。若いけれど、しっかりしていて、やりたいことがハッキリあって、そこに向かってる。それに、なによりも素敵です。もう何をやってもいい、正直(笑)。現場で見ていても、出来上がりを見ても、若いキャストが役の中で悩んだり、楽しく過ごしたり……どのシーンもいいなぁって。もう、走ってるだけでいいですから(笑)。大人の青春感が出ています。


――西島さんが最近、青春を感じた瞬間は?


西島:クワガタとか虫が好きな人たちの集まりに呼んでいただいたんですけど、20歳の人がリーダーなんですよ。僕より年上の人もいるけど、ただ虫が好きだから、みんなで網を持って、ライトを持って、虫を見に行く。青春とは言わないかもしれないけど、年齢問わず集まったり、みんなで好きなことに向かっていったりするのは、楽しいものだなと思いました。


――今後のドラマの見どころを教えてください。


西島:ドリームポニーという会社がちょっと伸び悩んでいるところから、佐奈が自分は何がやりたかったのか、なんでこの仕事を始めたのか、ということをもう一回思い出して、大きな夢を突き詰めていく。2話以降はいろいろな困難が起こってくるので、それをどう乗り越えていくのかを楽しんでいただけたらと思います。


(取材・文=nakamura omame)