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相鉄・東急直通線のレールつながる - 新横浜駅構内でレール締結式

2022年07月23日 07:01  マイナビニュース

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画像提供:マイナビニュース
鉄道・運輸機構は、相鉄・東急直通線の工事が進む新横浜駅構内にて、神奈川東部方面線(相鉄・東急直通線)レール締結式を7月22日に開催した。相鉄・東急直通線は2023年3月の完成・開業に向けて工事が進み、羽沢横浜国大~日吉間の全線でレール敷設工事が完了することとなった。


神奈川東部方面線は鉄道・運輸機構が整備主体となり、相鉄本線西谷駅からJR線・東急線へ直通する新線を建設。2019年11月、西谷駅から羽沢横浜国大駅を経てJR線へ直通する相鉄・JR直通線が開業した。相鉄・東急直通線(羽沢横浜国大~日吉間)が開業する2023年3月以降、営業主体となる相模鉄道と東急電鉄により、西谷~羽沢横浜国大~新横浜間を相鉄新横浜線、新横浜~日吉間を東急新横浜線として直通運転を行う予定となっている。



相鉄・東急直通線のレール締結式は、工事の進む新横浜駅の地下4階ホームを会場に行われた。南行線ホーム(西谷方面)をメイン会場、北行線ホーム(日吉方面)をサブ会場とし、報道関係者らはサブ会場から取材を行った。



開催にあたり、鉄道・運輸機構理事長の河内隆氏が挨拶。相鉄・東急直通線の概要を改めて紹介しつつ、軌道敷設工事が完成したこと、工事が終盤に入っていることを説明した。今後の流れとして、8月下旬から全線にわたる鉄道施設の監査・検査、相模鉄道と東急電鉄による乗務員の訓練、国土交通省による最終の完成検査を経て、来年3月の開業を迎える予定。最後に河内氏は、「鉄道・運輸機構としては、引き続き安全を最優先に、新型コロナウイルス感染対策にも十分配慮しながら、残る工事や監査・検査を着実に進めてまいります」と述べた。



続いて、鉄道・運輸機構東京支社長の蓼沼慶正氏が工事施工報告を行った。相鉄・東急直通線の工事は2013(平成25)年2月、新横浜駅工事の着手を皮切りに進行。9年半が経過し、今回、最後のレールを締結するに至った。工事に最新技術を取り入れ、新横浜駅・新綱島駅で周辺環境やコストに配慮するとともに、新横浜駅における横浜市営地下鉄ブルーラインとの乗換えも考慮した。羽沢横浜国大~新横浜間では、新しいトンネル工法も採用したという。



鉄道施設にユニバーサルデザインを取り入れることで、利用者が使いやすい施設に。鉄道運行においても、安全を前提に、効率的でメンテナンスフリーな施設をめざしたという。現在、新横浜駅・新綱島駅を中心に、電気・設備工事等の仕上げや、車両が安全に走行できる設備であることを確認するための検査が進められている。今後は走行試験や国土交通省の検査など、開業に向けた準備を進めていくとのことだった。



来賓祝辞として、国土交通大臣の斉藤鉄夫氏も登壇。2019年に開業した相鉄・JR直通線を含め、神奈川東部方面線全体が1本のレールでつながるという節目に祝福と喜びの意を表した。相鉄・東急直通線の開業による広大な鉄道ネットワークの形成、新横浜駅への乗換えなしのアクセスにも触れ、新綱島駅周辺地区の区民文化センターや商業施設等の整備の予定に関して、さらなる街の活性化も期待されていると説明。「国土交通省としては、引き続き令和5(2023)年3月の開業を無事に迎えられるよう、神奈川県、横浜市、整備主体・営業主体等の皆様と一体となり、開業に向けた準備を進めてまいります」と述べた。


衆議院議員の菅義偉氏代理として新田章文氏が登壇し、菅氏から預かったメッセージを代読した。先に開業した相鉄・JR直通線を含め、神奈川県・横浜市や地元住民らをはじめとする多くの人々の協力により、レールが1本につながったことを感慨深く思っているとのこと。新たな交通インフラの開業が新しい価値観や多様な暮らしをもたらし、社会を前に進める大きな力になるとも語った。



2027年に旧上瀬谷通信施設で開催される予定の花博(国際園芸博覧会)にも触れ、相鉄・東急直通線を花博の会場へアクセスする重要な路線とした上で、「沿線の活性化にとどまらず、花博の成功、その先の横浜の持続的発展という、横浜の未来につながるレールになることを期待しています」とのことだった。



神奈川県知事の黒岩祐治氏も祝辞を述べた。黒岩氏は、自身がいつも考えている「目線」という言葉を用い、相鉄・東急直通線を「利用者目線で作り上げたネットワーク」と考え、それによって住民らを含む利用者全員にとって便利になることに称賛の言葉を述べた。一方で、線路がつながることにより、神奈川県から他の都県へ住民が流れてしまうことに用心しているとも話す。その上で、「我々はこの1本のレールを使って、埼玉から、東京から、横浜・神奈川に人が来てくれる流れを作っていきたい。地域の活性化のために全力を尽くしてまいります」と熱く前向きな展望を語った。



来賓祝辞の最後に、横浜市長の山中竹春氏が登壇。神奈川東部方面線を将来にわたり横浜を支えていく重要な路線であるとした上で、全線開業で市民の利便性向上が期待されることもあり、まさに横浜の悲願だったと話す。沿線のまちづくりについても触れ、綱島駅東口駅前地区再開発事業について、2028年の完了をめざして進めるように、都市計画を決定したことも話した。



花博についても、相鉄・東急直通線が重要なアクセス路線となると見込み、イベントの成功に向け、市としても責任感を持って進めるという。最後に山中氏は、開業に向けて関係者らと連携してサポートしていく姿勢を示した上で、「開業まで残り1年を切り、市民の皆様の期待がますます高まっているところであり、私自身もその利便性を実感できる日を心待ちにしております」と締めくくった。


来賓祝辞の後、いよいよレール締結に移行。国土交通大臣の斉藤氏、横浜市長の山中氏ら出席者が軌道上に立ち、司会の合図に続いて「エイ! エイ! エイ!」の掛け声とともにパンプーラーを引き、レールを締結した。人数の関係上、第1・第2グループと分け、それぞれ1回ずつレール締結を行った。これで相鉄・東急直通線のレールが1本に結ばれたことになり、会場から大きな拍手が起きた。



レール締結の後、締結された部分を点検確認する作業も行われた。軌道工事関係者6名が、レール締結部に点検器具を当てながら軌道上を進む。確認の結果、レールは異常なく締結されており、鉄道・運輸機構の蓼沼氏がその報告を受けた。安全を祈願した清めの儀も行われ、軌道工事関係者4名がレール締結部に日本酒を撒き、安全祈願を行った。


レール締結を記念したテープカットとくす玉割りでは、ステージに向かって右側にテープ、左側にくす玉が用意され、司会の合図に合わせ、テープカットとくす玉割りがそれぞれ行われた。最後に、締結された直後のレールを相模鉄道の軌道モーターカーが通過。「祝 神奈川東部方面線(相鉄・東急直通線)レール締結式」のヘッドマークを掲げたモーターカーが発進し、徐行しながら締結部分を通り、走り初めを行った。その様子をメイン会場の参列者も撮影しており、モーターカーの走行に合わせ、会場から盛大な拍手が起こった。



鉄道・運輸機構の河内氏と蓼沼氏の話を振り返ると、各種検査や乗務員訓練など、相鉄・東急直通線の開業に向けた取組みも最終段階に入っている様子。滞りなくすべての工程が完了すれば、来年の今頃、相鉄線と東急線の相互直通運転が始まり、横浜市内の鉄道利用に大きな変化が生じていることだろう。詳細な運転計画はまだ不明だが、今後の続報を待ちたい。(若林健矢)