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有村架純×中村倫也が語る、『石子と羽男』のグルーヴ感 笑えない珍トラブルエピソードも

2022年07月22日 06:01  リアルサウンド

リアルサウンド

有村架純と中村倫也(c)TBS

 この夏、有村架純と中村倫也が珍トラブルに挑む。2人がW主演を務める7月期のTBS金曜ドラマ『石子と羽男―そんなコトで訴えます?―』がスタートし、視聴者からは有村と中村が演じる“石羽コンビ”に「愛おしい」との声が多く寄せられ、初回からすでに人気キャラとしてドラマファンの心を鷲掴みしている。


【写真】中村倫也撮り下ろしカット


 有村が演じるのは、「真面目でコツコツ積み上げていく、そして石のように頭が固い」ことから「石子」と呼ばれる石田硝子。中村が演じるのは、「羽のように軽やかな性格」=「羽男」と自称しているが、実際は対応能力に欠けていて想定外のことが起こると思考回路が停止してしまう羽根岡佳男。正反対のようでどこか似た者同士の2人が、様々なトラブルに挑む中で自らのコンプレックスに向き合い成長していくリーガル・エンターテインメントだ。


 2021年4月期ドラマ『コントが始まる』(日本テレビ系)ではほぼワンシーンながら共演している2人。今回、有村と中村にお互いに感じている役者のタイプ、また作品のテーマにちなんで、身の回りに起きたトラブルについて話を聞いた。なかには共演者に関するおもしろ(?)エピソードも飛び出した。


■日本一贅沢なメイクルーム?


――クランクインしてから約1カ月以上(5月31日取材)が経ちましたが、現場の雰囲気はどうでしょう?


中村倫也(以下、中村):アットホームな感じで、楽しくやってますよね?


有村架純(以下、有村):はい、そうですね。レギュラーキャストが少ないので、わりと穏やかな空気感でゲストの方をお迎えして楽しくやっています。


――さだまさしさんとの共演はいかがですか?


中村:すごく嬉しいです。もちろん、さださんの曲は知っていましたし、僕がさださんの『ちゃんぽん食べたか』(さだまさしによる同名原作小説を映像化したNHKドラマ)で東京の下宿先の一家の謎の兄弟の役をハライチの澤部(佑)さんと二人でやったことをお話したりして。さださんのこと知っていたつもりだったんですけど、過去のライブ映像を観ていたら、めちゃくちゃかっこいい曲を最近見つけて、あぁ、改めて知れたなと思ったりしました。あと「今ツアー中でちょっとコソ練しなきゃなんだ」とギターを弾いてくれて、日本一贅沢なメイクルームだなと。本当に光栄だなと思う気持ちでいっぱいです。


――さださんは「有村架純さんが娘役なんて皆に羨ましがられるんじゃないか」とおしゃってましたが、有村さんはどうですか?


中村:それはそうですよ。


有村:私からしたら母親世代から羨ましがられます(笑)。連ドラにレギュラー出演されるのが初めてだとおっしゃっていましたけど。


中村:そうなの? 本当に?


有村:みたいです。さださんのご年齢でも初めてのことってあるんだなぁと、自分はまだ本当に豆粒なんだなぁって(笑)。


中村:豆粒(笑)。


有村:私も初めてご一緒できることがとても光栄です。


ーー赤楚衛二さんとおいでやす小田さんはどうでしょう?


中村:赤楚は赤楚だし(笑)、小田さんは小田さんだし、すごく安心感があるよね。


有村:赤楚は赤楚(笑)。


中村:あの子おもしろいよね。


有村:まっすぐで、ちょっと天然な。大庭(蒼生)さんの役にぴったりだなと。


中村:赤楚くんの持っている威力が存分に出る役ですよね。どうやったらこんなにぴったりのキャラクターを……「そのまんまやん!」ってくらい(笑)。小田さんはとてもキュートで、今作の隠れヒロインなんじゃないかと、昨日も芝居をしていて思いました。温かく魅力的で、いい人ばっかりです。


――石子と羽男を演じるにあたって、キャラクターとして意識していることはありますか?


有村:監督と羽男さんと私とみんなでキャラクターに対しての共通の認識を撮影1週間ぐらいですぐに持てたのは大きかったなと思います。どういう作品で、どうバランスを見ていくか、芯を捉えるところはどこか、テンポよく見せていく部分はどこなのか。その線引きを現場で探っていくというか。本当は引き算のつもりで読んでいたけど、一緒にやり取りしていると、足し算になっちゃったというのもあったり、でもそれは現場で生まれるものだからそれでいいんじゃないかとか、話しましたよね?


中村:そうだね。鮮度とかグルーヴ感みたいなものは、みんなアンテナを立てながらやっている感じはあるよね。この作品は、足りない二人がすったもんだしながら、あんまりかっこつかないけど、収まるところは収まる、みたいな話の連続なので。縦軸の成長も描かれながら、ある意味、ちゃんと“滑稽になったらいいな”と思ってやっていましたけど、予告を見たらすごくそれが出ていて。予告の切り取り方がうまいのかもしれないですけど、思った以上に、ちびっこ凸凹コンビの扮装劇というか、愉快な予感がしました。予告がおもしろい作品になると思います(笑)。


有村:あとは、服装もですし、羽男さんはブランディングのキャラクターなので、高価なお洋服をお召しになられていますよね。


中村:そうそうそう。お召しておられますよ。ネクタイの結び方にこだわっています。そんな結び方どこで学んだの? って。僕の鎖骨の間が折り紙アートみたいになってる。


有村:アートみたいになってますよね(笑)。


中村:キャラクターの設定は、もちろん前提としてありますけど、現場のノリが大きいです。キャラクターを決め打ちでやっていくよりも、都度都度よれていったほうが面白くなる予感がしているから。そういう意味では、羽男の場合はコンプレックスとか小心者というのを利用して、作劇上のいろいろなグラフを増幅させたり、凝縮させたりしながらやってます。でも、僕のことより小田さんを見てもらいたいという一心で、今のところはやっております。


――今回、お二人ががっつり共演してお芝居するのは初めてになるんでしょうか?


中村:初めてです。マクベスのポスターを渡したぐらいです。


有村:『コントが始まる』でマネージャーさんとして、マクベスのいちファンとして、ちょっとやり取りをしたぐらいです。


――今回共演して、お互いにやりやすいとか信頼できる部分はありますか?


中村:それは是非、有村さんに聞こ!(笑)


有村:『コントが始まる』のときから、この作品に出演するとことが決まっていたので、そのときに少しだけお話をしたんですけど、人として向き合ってくれる方だなと感じて。一緒に作品づくりする上で、心強い存在として、乗り越えられるだろうなと思ったので、クランクインのときには、大丈夫だなという気持ちしかなかったです。


中村:中村倫也には安心感があると?


有村:(笑)。すごく真面目な方ですし。


中村:安心感は言ってくれないんだ(笑)。


有村:……安心感がありました(笑)。


中村:あらあら。


有村:同じ目線でいてくださるので助かっています。


中村:いやぁ、嬉しいですね。多分、お互いに対する感度を上げて演じるタイプなんです。すごくコンビネーションとかグルーヴが生まれやすくて。何か予期せぬことが起こっても、チームとして乗りこなしやすいのかなと感じます。最初は、架純ちゃんみたいに泉の精のようで、清らかで、水晶のような人を前にしたら、僕が浄化されるか、僕が水晶を汚すかのどちらかかなと思っていたので(笑)。どうなるかなという緊張感はあったんですけど、わりと早めにそういう姿勢を、鈍感な僕でも感じられるように示してくださって。その嬉しさと、だったら僕ももっと頑張らなきゃなと気合が入りました。


■ビントロのような皮の強い人間になりたい


――ドラマの中で中村さんがいう「ソノコンテント」(イタリア語:満足している)というセリフ、フレーズが印象的ですが、お二人が最近思わず「ソノコンテント!」と言いたくなるような瞬間はありましたか?


中村:バナナマンの日村(勇紀)さんと生田斗真が旅をする番組でナレーションをやらせてもらったときに、2人が斗真くんお勧めの干物を食べていたのがすごい羨ましくて。そしたら、斗真くんがそれを送ってくれて。ハイパー干物クリエイターという人が作っている干物なんですけど、めちゃくちゃうまくて、これは満足でした。


――何の干物ですか?


中村:ビントロとかいろいろ入っていたんですけど、ビントロの干物なんて聞いたことないじゃないですか。マグロなので、小骨とか全くないんです。皮も強くて。裏返して焼くときに、皮の強さをすごい感じながら、僕もこういう皮の強い人間になりたいなと思って……どういうこと?(笑)あれはおいしかったですね。


有村:食べ物のことで思い出したんですけど、私も親しくしている方からお肉をいただいて、そのお肉がこだわりを持って作られているお肉で。油が全く重たくないという。


中村:さっと溶けていくような?


有村:サシが入っているんですけど、全く胃もたれもせず、何枚でも食べられちゃうお肉で。


中村:いいんだよ、分けてくれても(笑)。何枚でも食べるよ(笑)。


有村:(笑)。撮影のご褒美に食べました。


――作品を作っていて、面白かったり考えさせられるな感じる部分はどこでしょう?


中村:前半に中長ゼリフ、後半に大長セリフがある役なので、覚えてきたものをやるだけじゃなく、そこは緩急自在に乗りこなして面白おかしく転がせるようにしなきゃなというのは、クランクイン前の台本を読んでいる段階からあって、自分の使命として感じていました。それでも第1話のクライマックスは特に、予想以上にクラッシュしたシーンになっていて。やるのは大変なんですけど、おもしろいなと思いましたし、基本的にどのシーンもやっていて楽しいです。


有村:作品全体を通して、こういうこともトラブルの1つになって、事が大きくなることがあり得るんだという内容が、毎話繰り広げられているので、日常への危機感というか、改めて自分の正義の尺度を考えさせられる話でもあるのかなと思ったりします。


中村:すごくいいこというじゃん。


有村:いやいやいや(笑)。


中村:羽男をやっていて、そんな感覚は持っていなかった。羽男は自分を守ることしか考えていないから(笑)。石子は人のためにだけど。


有村:仕事ではあるんだけど、やっぱり対人なので、どこまで感情移入するのかというのは、バランスを見るのがとっても難しいです。でも、そういう人情的なところを塚原(あゆ子)監督と山本(剛義)監督が、汲み取ってくださっていると思います。


――長セリフもあって大変だと思うんですが、セリフを覚えるときは、何か工夫されたりしますか?


中村:僕は部屋の中を歩きまわりながら、いろいろな物を見て認識しながらやっていますね。注目するポイント、自分の体の動き、視界、景色を変えながら覚えて、歩きダコができるんじゃないかというくらい。そしたら、その歩きダコが潰れて、血がダラダラ出るんじゃないかというくらい。毎日、甲子園までの球児みたいな努力をしています。


――血の滲む努力を……見るものはそのセリフと何も関係なく?


中村:関係ないものを見て認識するんです。現場に行って、いざ相手役を前にして表情を見ていたら情報量が変わるじゃないですか。セリフ覚える作業中に情報量をできるだけ増やす。後は、自分の体の居心地の良いポジションからずらしながらしゃべるということをやらないと、結局現場に行って動きがついて、芝居をして、相手の変化も受け取って、という時にセリフが飛ぶんですよね。だから、本当に歩きダコができるんじゃないかというぐらい。そしてそのタコが潰れて、血が出るんじゃないかというぐらい。


――ありがとうございます(笑)。有村さんはいかがですか?


有村:何回も読みながら、話の流れを入れながら、ちょっとずつセリフが中に入っていって、いざ覚えるぞ、となったときは、テレビだったり音楽だったりを聴きながら情報を入れて、その中でセリフを練習します。


中村:みんな似たようなことをしてるんだ。


有村:歩きながら読んだりもします。


中村:ベストコンディションじゃない状態で言えるようにするということでしょ?


有村:そうですね。


中村:それは本当に涙ぐましいよ。


有村:(笑)。


中村:すぐ忘れるから不思議だよね。もうやったら忘れる。1話のセリフは何だっけ?


有村:1話のセリフはもう忘れましたね。


■撮影中にタンザニアから詐欺の電話?


――珍トラブルに挑んでいくお話ということで、自分の身の回りに起きた経験はありますか?


中村:日々起きないように暮らしてるからな、全然ない(笑)。そういうのが起きやすい人いますよね。エピソードがいっぱいあるから憧れます。赤楚とかそういうの起きやすいんじゃない? 何か言ってたよね? 昨日、撮影中に赤楚がタンザニアから詐欺の電話がかかってきたと言い始めて(笑)。


有村:結構危なかったですよね。


中村:電話に出ちゃって、そしたら異国の言葉が流れて、電話番号を調べたら、タンザニアの詐欺の電話で。撮影のセッティングチェンジの合間にそれが起こったらしくて。「僕今出ちゃったんですけど、大丈夫ですかね?」という相談を持ちかけられました。


有村:それでいうと、私、クリックしちゃって。カード情報を抜き取られました(笑)。


中村:そんな大変なことがあったの。抜かれて気づいたの?


有村:カード会社が怪しいと思って止めてくれて、連絡が来ました。カード番号を変えて大丈夫でした。


――笑えることじゃなくて、本当にガチなのがきましたね(笑)。


中村:よかったね。カード会社が怪しいと思ってくれて。リアル法律事務所に駆け込むところだったね。


有村:セキュリティがしっかりしていました。(読者に向かって)気をつけてください。


中村:気をつけてください!


――身の回りで、今解決したいことはありますか?


中村:雨が減ってほしい(笑)。永遠に撮れない道というシーンがあるんですよ。紙芝居で放送するんじゃないかなと思っているシーンがあって。3回ぐらい延期になって、まだ撮れていないですね。もちろん、適度にというか、雨は恵みの雨なので大事ですけど、僕らの休みの時にしてほしいなって。室内のときとかにたらふく降ってくれと。それが困っていますかね。


有村:移動が多いんですけど、車で移動するときに、ちょうどいい背もたれが欲しいです。体が固まってきちゃうので。長時間座っていても平気な何かが欲しいです。


中村:車もそうだけど、新幹線でも飛行機でも、座面があって、背もたれがあって、首のところちょっと前に出てない? あれ、もうちょっとどうにかならないのかな。首のS字にちょうど沿うような。なんであれはちょっと前に出るんだろう? 何か理由があるのかな? もうちょっといい感じに、スンって落ち着く感じにしてくれたら。寝る時も枕のポジション合わなくて落ち着かないとかたまにあるじゃないですか。全世界の人共通で落ち着くものを開発してもらいたい……みたいな話が6話にあるので、楽しみにしてください(笑)。


(取材・文=大和田茉椰)