昨年の春からパチンコ機種に関するCMが解禁された。2011年に発生した東日本大震災以降、業界はパチンコ・パチスロ機種に関するメーカーCMを自主的に自粛していた。
震災から10年経過したこともあって今回解禁されたわけだ。もう1年以上経過したが、果たしてテレビCMは効果があったのか、という話をしていきたい。(文:松本ミゾレ)
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CMを打っているけどパチンコが盛り上がっている気がしない
すでにパチンコのCMをテレビでご覧になったという方も多いかもしれない。ところが、鳴り物入りの復活にも関わらず、特にCMでパチンコが盛り上がっているという感じはしない。そして、今現在に至るまで「テレビでCMを観たからパチンコしたくなったよ」って人の声も聞かない。同じような人は多いんじゃないだろうか。
この原因は色々考えられる。1つに、まず今は資金的にパチンコをする余力のない人が増えていること。2つに、パチンコよりも面白い娯楽や、お金を使わずにもっと楽しめる遊びがあること。そして3つ目、CMが説明を省き過ぎていて、パチンコ未経験者からするとマジで何のCMか分からない。これである。
パチンコ経験者ですら首を捻る、パチンコ感皆無なCM作り
先日、テレビを観ているとCMスポットで立て続けに2機種分のパチンコCMを目にした。だがこれが非常にパチンコ感の薄い作りで、2003年からパチンコホールに出入りしている僕ですら最初何のCMか分からなかったのである。
唐突に女の子のキャラクターが画面に出てアクションして、名セリフめいたものをみんなで叫んだあと、最後に機種名のナレーション。ここで「あ、パチンコなのね」と気付くとともに、最後に筐体がホントに数秒だけ映る。パチンコは遊技機なので、そのテイストもしっかり押し出すべきと思うんだけど、考えてみれば10年前も大体こういう作りだったんだよね。
時には著名人を起用して、お金をかけて作るCMもあったんだけど、大体15秒CMの場合、最初の10秒でキャラクターだとかキャストのPVみたいな作りで、ラストで機種名ナレーションと筐体画像。そしてメーカーロゴが表示される。こういうフォーマットになっているわけだ。
例外もあるけど、この方式で作ってるものが10年以上前の時点で大多数。現在もその流れを汲んでるんだろう。しかし10年前ですら一瞬何のCMか分からなかったものばっかりだったのに、今はさらにユーザーも減ってる。それで昔と同じ作りのCMを流しても意味がない。
メーカーとしては、自社のキャラクターやタイアップ版権人気に期待してるのかもしれないけども、部外者からはあれは意味不明なCMでしかないし、それを今もやってるってマズくないか。
パチンコなんだから「これはパチンコのCMか」と開始数秒で理解させてくれるCMがあってもいいはず。ひょっとしてそれも難しい時代なのかな? でも、現状ではどうしても「広告が下手だな」と思うものしかない。
それこそちゃんとパチンコCMであることが誰でもすぐ理解できるようなCMの前例って昔々、京楽が出したデジタルハネモノの『ウルトラセブン』ぐらいじゃないかなぁ。
2000年代初頭に、メトロン星人が、モロボシダンの前で機種の魅力についてプレゼンをするという内容のCMが流れていた。
あのぐらいストレートに訴えることもできるわけで、とにかくPV10秒、機種名ナレーションと筐体画像とメーカーロゴ表示併せて5秒のCMはそろそろ脱却すべきだと思う。こんなところで言ってもメーカーの人には届かないでしょうけども。