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KinKi Kids&吉田拓郎の歴史と新たな関係のはじまり 木村拓哉らも登場した『LOVE LOVE あいしてる』収録を見て

2022年07月18日 05:01  リアルサウンド

リアルサウンド

『LOVE LOVE あいしてる』(C)フジテレビ

 人気デュオ・KinKi Kidsとシンガーソングライター・吉田拓郎という異色のタッグで人気を博した音楽バラエティ番組『LOVE LOVE あいしてる』(フジテレビ系)が、5年ぶり、一夜かぎりの復活を果たす。今年、52年のアーティスト活動に終止符を打つことを表明している吉田にとっては、これが最後のテレビ出演。同番組も、番組開始から26年の歴史に幕を下ろす。


(関連:KinKi Kids 堂本光一、吉田拓郎と肩を寄せ合いツーショット ラジオ収録後のやり取りで「新たな目標もできました」


 本稿では、7月21日に放送される『LOVE LOVE あいしてる 最終回・吉田拓郎卒業SP』収録当日の様子を一部、レポートする。


■吉田拓郎があいみょんに会いたかった理由は歌詞への共感


 吉田が「今、会いたい人」を呼んだ今回の収録。そのひとりが、1995年生まれ、同番組放送開始時には1歳だったあいみょんだ。彼女の最新曲「初恋が泣いている」の歌収録からスタート。曲のシメでは、音楽監修をつとめる武部聡志ら番組オリジナルバンドLOVE LOVE ALL STARSのメンバーと吉田が目で合図を交わし、その背をKinKi Kidsが見つめる。なんとも懐かしい光景だ。


 トークセッションでは、新型コロナウイルス感染対策として4人のあいだに一定の距離が設けられた。吉田は、今回あいみょんに会いたかった理由として、歌詞に共感したことなどを挙げた。卒業を表明している吉田の気持ちを変えようと、あいみょんの曲を聴いてまた新曲を作ってほしいと言った堂本光一だが、吉田の最新アルバム『ah-面白かった』の制作を決めた背景には、すでにあいみょんらの世代から受けた刺激があったと明かされた。


 吉田はかつて、自身の詞について世間からあまり好ましくない評価もあったというが、それが次第に世に浸透していったと振り返る。あいみょんの綴る詞にも近いものを感じるといい、積極的に質問をぶつけ、話題は音楽のルーツやギターの持ち方にも波及。


 そしてゲストの「LOVE LOVEなもの」を写真で紹介するコーナーへ。あいみょんの「LOVE LOVEなもの」に対し、ツッコミを入れるKinKi Kids節は相変わらず。


■サプライズゲストとして明石家さんまも登場


 続いて、レギュラー出演していた篠原ともえを交え、番組の過去を振り返る。名物コーナー「篠原ともえのプリプリプリティ!」の映像を見ながら、それぞれがもっとも印象に残ったゲストや、当時ならではの自由さ、ゲストとのさまざまなエピソードが語られた。


 歌手ではないゲストも、生バンドで歌を披露するというのが同番組の革新的だった点。4人が選んだ名演集には、番組ファンなら納得の4曲がセレクトされていた。吉田はハワイでのロケが本当に楽しかったようで、ハワイに行く番組ができたら呼んでほしいとKinKi Kidsにお願い。この日は、吉田の発言から少しでもカムバックの意欲を感じるたび、決して聞き逃さなかった二人だった。また、篠原が持参した当時のプライベートビデオは、まさにお宝映像。こちらも必見だ。


 続くセッションは、KinKi Kidsをメインボーカルとし、吉田の名曲「落陽」を。実はもう1曲、ある曲のセッションを予定していたのだが、吉田が「これぞ吉田拓郎」という理由から、今回は「落陽」に決定したという。今回は演奏されなかった曲のワンフレーズを口ずさんだ吉田に光一と剛が瞳を輝かせる場面もあった。


 過去を振り返ったあとだからこそ、同番組で本格的にギターと向き合い始めたKinKi Kidsが「落陽」を演奏する姿は実に感慨深い。剛のギターソロも必聴だ。歌収録を終えると、サプライズゲストとして明石家さんまが登場。吉田を敬愛する明石家のトークは止まる気配がなく、いまやベテランのKinKi Kidsも、二人に挟まれてはたじたじだ。


 明石家は、かつて気分屋だったという吉田の若かりし頃のエピソードを明かしながら、愛と寂しさゆえに言いたい放題。そんな吉田を光一がかばうと、さんまの熱はKinKi Kidsにも飛び火。終わりの見えない明石家のトークに、スタジオは困りながらも大笑いだ。


■KinKi Kidsにとって木村拓哉はいつまでも“かっこいいお兄さん”


 続いてのゲストは、同番組に三度目の登場となる木村拓哉。忌野清志郎との共演も含め、いずれの出演回も覚えているという木村に、吉田もまた、木村の初登場をはっきり覚えているという。そのとき木村を見て感じたことや、今回また会いたいと思った理由、木村のどういった点が好きかを熱く語る吉田。そのまっすぐな言葉に、木村は恐縮しきりだ。木村を慕うKinKi Kidsは今回、木村の出演に驚いたという。


 続いて、カプセルトイを引いてランダムに質問に答える、懐かしのコーナーへ。あるテーマについて、木村が自身の「ダサさ」をあけすけに話してくれたのだが、KinKi Kidsのなかで木村は、いつまでもかっこいいお兄さんであるよう。その後も、木村のふとした仕草に顔を見合わせてカッコ良いと言い合うなど、ほほえましい場面もあった。「そこを広げるのか?」という話題こそ盛り上がる、同番組らしさが垣間見えた収録でもあった。


 木村が選んだ「LOVE LOVEなうた」は、KinKi Kidsのデビュー曲「硝子の少年」。選んだ理由と、各方面への配慮も木村らしい。バックダンサーに徹したい木村と、一緒に歌いたいKinKi Kids。議論の末、木村をバックに二人が歌うことになったスペシャルなパフォーマンスは、オンエアでのお楽しみだ。また当時、実際にKinKi Kidsのバックダンサーをつとめていた生田斗真、風間俊介も、舞台出演を終えて駆けつけた。歌収録の後には、木村・生田・風間のリハーサル時のエピソード、木村とともにパフォーマンスができたKinKi Kidsの興奮など、和気あいあいとした様子で、話が止まらない。木村のInstagramに掲載された写真からも、あくまでKinKi Kidsをメインに立たせようと提案する木村の、優しさとサービス精神が見えた。


 収録はそのほか、吉田を敬愛する女優・奈緒が歌収録に参加。また、KinKi Kidsと吉田の共作曲「Sayonara あいしてる」を初披露したのち、最後にはKinKiから吉田に花束が送られた。長丁場であったことを感じさせない、終始あたたかな雰囲気で収録を終えた。


 この日の収録は無観客であることも影響し、ついつい深い話になった演者たち。ゆえに、自らの美学を持ちつつも、エンターテインメントの変化や若い世代の文化に柔軟な、吉田の声を聞くことができた。また、そうした現在の姿があるのは、まぎれもなくKinKi Kidsとの出会いがあったからだと吉田は言っていた。


 17歳と50歳のときに出会い、いつしか生涯の友となったKinKi Kidsと吉田拓郎。彼らの歴史と、新しい関係のはじまりを記録した同番組を、ぜひその目に焼き付けてほしい。(新 亜希子)