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映画「ゆるキャン△」豊崎愛生「大人っていいなと思わせてくれる映画」としみじみ

2022年07月10日 17:35  コミックナタリー

コミックナタリー

映画「ゆるキャン△」公開御礼舞台挨拶より。左から高橋李依、東山奈央、原紗友里、豊崎愛生。
あfろ原作による映画「ゆるキャン△」の公開御礼舞台挨拶が本日7月10日に東京・丸の内ピカデリーで開催され、志摩リン役の東山奈央、大垣千明役の原紗友里、犬山あおい役の豊崎愛生、斉藤恵那役の高橋李依が登壇した。本記事ではその模様をネタバレありでレポートする。

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TVアニメ「ゆるキャン△」から時が経ち、大人になったなでしこたちがキャンプ場づくりに挑戦する姿を描く映画「ゆるキャン△」。東山は各務原なでしこ役・花守ゆみりが新型コロナウイルスの陽性判定で急遽欠席になったことに触れ「ゆみりちゃんの分もなでしこのお話をしたいと思います!」と意気込む。公開後の反響について聞かれると、東山は父親が早速映画を観に行ってくれたと明かし「感想を口にすると思い出し泣きしちゃうみたいで。『最後のシーンのリンの一言で、すごく大人になったって感じたよ』と言ってくれて」と涙ながらに感想を語られたときの様子を真似ていた。

高橋は恵那の愛犬であるちくわについて「走る速度が遅くなっていたり、疲れてしまったりといった描写で『ちくわも大人になったんだな』って」と述懐。ちくわ役も演じている原は、恵那とちくわの散歩シーンについて「ほかの若いわんこがやってくるシーンで、ちくわが振り向いて『クゥーン』と鳴くところ、最初は『ワウ……』って感じで演じたら(スタッフから)『老いの悲しみが出過ぎています』って言われて(笑)。『こっちはこっちのペースで行こうね』という感じで明るくやってほしいと言われたので、明るくなりました」とアフレコ裏話を披露する。すると高橋も「うまくいかなかった展開の後だったりもするから、気持ちが沈んでいるという捉え方をしちゃっていたんですよね。私も(恵那の)『あったかい』というセリフを言うときに結構凹んでいて(笑)。『暗すぎちゃうし意味深すぎちゃうので』とリテイクもらっちゃいました」と振り返った。

豊崎がそんな2人の話を受けて「ちくわもそうですけど、みんなが大人になったことに、どうしてもそこはかとなく寂しさが漂いません?」と問いかけると、一同は大いに頷く。続けて豊崎は「大人になったキャラクターたちが描かれるとなったときに、TVシリーズをご覧になった方はどこかしら心がザワっとしたと思うんです。でもきっと観終わると『大人っていいな。大人も悪くないな』という気持ちにさせてくれる映画になっているんじゃないかな」としみじみ。東山も「成長やちょっとした変化はあるんですけど、みんながみんなのまま成長してくれたんだなと。知らないみんなになっていくんじゃなくて、みんながみんならしく過ごしていった結果、この映画につながっていて、ご覧になった方はホッとしていただけたんじゃないかと思います」と同意する。さらに東山はリンについても「なでしこや千明に距離を詰められるとあからさまに嫌そうな顔をしていたリンが、上司にお願いするときの作法もナチュラルに身に着けていて、仕事に対しても真っ直ぐに取り組んでいて。『リンってこういう一面もあったんだ』と、オフィスにいるリンを観ることで初めて知ることができました」と述べた。

キャラや登壇者自身が大人になったと実感した場面についてトークする一幕も。高橋はリンと千明が愛知から山梨へタクシーで向かった場面を挙げて「今タクシーで向かうことで、今のこの熱量が生かされるっていう。時を大事にしている大人ならではだなと思いました」と述べる。豊崎はなでしこが接客しているシーンを挙げて「TVシリーズのなでしこは『大丈夫かな?』って心配されたり見守られたりする側の女の子だったと思うんですけど、キャンプ道具を女子高生たちに勧めるシーンなんかは、いつの間にかなでしこがお姉さんになっていて。『どうしようかな。でもお金かかるかな』って相談している子たちを、たぶん『かわいい』と思いながら接客しているんですよね。自分自身も学生の子たちを見て『かわいいな』『いろんなこと教えてあげたいな』と思う瞬間は『大人になったな』と思います」と実感のこもった感想を語った。

原は「あおいちゃんが先生をしているシーンを観て『こういう子供との距離がすごい近くて、好かれている先生いたよな』と思って」と切り出し、「昔だったら生徒側から観ていたと思うんですけど、あおいちゃん側からの目線で観ていて、『子供がこれくらいかわいく見えていたんだな』というふうに共感して」と述べる。東山はリンの先輩が彼女の代わりに仕事を受け持ちフォローしてくれていたとわかるシーンを挙げ「『私も知らぬ間に先輩に助けられていたんだろうな』って今まで出会った先輩に感謝する部分もありながら、今の自分は『後輩に対してできることはないかな』と自分以外のことにも余裕を持てるようになってきたので、(リンと先輩の)両方の気持ちがわかるシーンでした」と話した。

舞台挨拶の終盤、高橋は「細かいシーンで『ここ恵那ちゃんぽい』みたいに思うところがたくさんあるので、皆さんの好きなキャラクターがいたらその子目線で楽しんでいただいてもいいと思います。私はビデオ通話の背景を宇宙にしている恵那ちゃんがツボで(笑)。本当に細かいところまで楽しめるので、ぜひ何度も観てください」と挨拶。豊崎も「いくら大人になっても上には上の大人がいるというか。自分がいくら大人になったなと思っていても、どこかで必ず誰かが自分のことを見てくれているんだなという希望が詰まった作品です」と作品の魅力をアピールする。

原は「大人になったみんなの話ってどういうものなんだろうとソワソワしながらいらっしゃったかもしれないんですけど、『大人になるってこうやって変わっていくことなんだ』とも『でもみんな集まったら昔の通りじゃん、変わらないところもあるじゃん』とも思っていただけたんじゃないかと思います。変わるところ、変わらないところ、両方のよさを映画『ゆるキャン△』で感じていただければ」とメッセージを贈る。最後には東山がなでしこについて「冒頭に(なでしこが客に)『このお店にはない品だけど、斜め向かいの店には売っていますよ』と伝えるシーンがあって。『楽しいを伝えていく』っていうこの作品の大事なテーマのひとつを最初からなでしこは実践していて、こういうシーンを観ているとどんどんみんなのことが大好きになっていくなと感じたんです」と言及。「この映画にはそういうシーンがいっぱいあって、観終わったときにはみんなをもっと大好きになっている素敵な映画です。ぜひ何度でも劇場に来て、みんなの素敵なところをいっぱい見つけていただけたら」と語り、舞台挨拶は閉幕した。

(c)あfろ・芳⽂社/野外活動委員会