家族のかたちや結婚のありかたが大きく変化している。「もはや昭和ではない」というキャッチフレーズを使った「男女共同参画白書」が、その実態を示した資料として話題を呼んでいる。
キャッチフレーズは「もはや戦後ではない」という1956年の流行語のパロディ。どちらも社会実態が、そのときの「イメージ」と様変わりしたという、変化の大きな時代だ。では、家族にどんな変化が起きているのか。白書のグラフを引用すると……。(文:ふじいりょう)
結婚して家族を持つのが当たり前、ではなくなっている
「男女共同参画白書 令和4年版」より
昭和55年(1980年)には、「世帯」といえば「夫婦と子供」が42.1%で最多。親子孫の「3世代」が19.9%と続いていた。ところが令和2年(2020年)になると、夫婦と子供は25%に激減。3世代はわずか7.7%(5位)で、ひとり親と子供の世帯(9%)よりも少なくなっている。「家族」と聞いてイメージしがちなのは、ドラえもんのような核家族や、サザエさんのような3世代家族。しかし、そのどちらもが大幅に割合を減らしているのだ。
その一方、劇的に増え、最多になっているのは単独世帯。19.8%→38%と目覚ましい伸びを見せている。
ブロガーの斗比主閲子さんは、この白書について「昔みたいに結婚するのが当たり前、家族で暮らしているのが当たり前ではなくなっているというのをひたすら紹介し続けています」とコメント。子なし世帯が6割近くになっているというデータを紹介し、「何となく分かっていたものの、家の中に親と子が一緒にいる世帯が減少していて、もはや少数派になっているという事実は、ちょっとした衝撃でした」と綴っている。
ライフスタイルの変化を実感
この白書が示したデータでは「20代独身男性の4割がデート経験なし」にも注目が集まった。ほかにも「婚姻件数が戦後最小」「生涯未婚率(50歳時点での未婚率)」が男性25.7%、女性16.4%など、ライフスタイルの変化を思い知らされるデータが掲載されている。
実態が大きく変化する中で、社会制度も変革を余儀なくされている。昔のイメージに引きずられて議論をしたら、的はずれな結論に至ってしまう。「もはや昭和ではない」なんて、言われなくてもわかっているつもりだが、それが本当に意味するところは、データ面からきっちり把握しておくべきと言えそうだ。