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参院選「不在者投票」はクソゲー状態、18歳の一人暮らし学生は「日本の理不尽を味わう」洗礼に

2022年07月05日 10:11  弁護士ドットコム

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最近、遠方から関東に引っ越してきて、参院選の「不在者投票」をしようとしたところ、手続きが理不尽なことだらけで、心が折れそうになりました。


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ただ、もっと悲惨なのが、大学進学などでこの春に親元を離れて、一人暮らしをする18歳の成人たちです。転居から3カ月経たないと新住所での投票ができないため、今回の参院選では、大半がこの「不在者投票」を強いられる形になります。



ハードルが高すぎて、選挙権を行使しようとする人たちが次々と脱落する、まるで「クソゲー」の全国大会のような状況ですが、あえてチャレンジしてみました。(ライター・ずんだ餅)



● 理不尽ポイント①「切手代は自腹」

公示日(6月22日)の2日後の金曜日、自宅に旧住所の自治体から封書が届きました。選挙人名簿の登録が旧住所のままなので、旧住所の自治体まで来て投票するか、来られないなら郵送で投票用紙を請求してほしいとの内容でした。



でも返送用の封筒は入っていません。なんで私が切手代を払わなきゃいけないんだろうと思いながらも、封筒と84円切手を買いに出かけました。



● 理不尽ポイント②「オンライン申請も高い壁」

もしかしたらオンライン申請ができるかも! と思ってホームページを見てみましたが、載っていません。マイナンバーカードを使った申請の仕組みはありますが、私の旧住所の自治体は未対応でした。



2019年7月参院選時に総務省が調査したところ、対応自治体は全体の約5%(92市区町村)にとどまっていました。しかも、その対応もマイナンバーカードを持っている人に限られています。総務省によると、今回の参院選については「増えてはいるけれども把握していない」そうです。



● 理不尽ポイント③「投票場所が不明」「制限時間が短い」

投函から数日後、投票用紙がレターパックで到着しますが、まだ終わりではありません。どこで投票できるかは書いていないので、新住所地の選挙管理委員会まで問い合わせる必要があります。



投票は、投開票前日の午後8時がリミットです。そこから選管が旧住所地に郵送するため、確実に届くためには、遠方の場合は直前に送っても間に合わない可能性があります。



私の新住所の選管担当者に、リミットギリギリでの投票について聞いてみたら、「投票率に関わるので絶対に届けます」と話していましたが、土日の郵便事情の悪化もあり、過去には、福島から避難している被災者の100票超が届かずに無効になった例も問題になりました。





●若者の低投票率と言うけれど 

こうした煩雑な手続きに、ツイッター上では「自己負担で切手用意とか憲法違反では」「こんなに面倒なら行かない」といった声が見られ、私と同じ思いの人がいると分かりました。



3カ月ルールは公示日前日から逆算。今回の場合、3月21日までに転入届を出した人は晴れて新住所地で投票できますが、4月に手続きをした人たちは「不在者投票」のクソゲーに参戦するしかありません。



この手の話は、住民票を移さない学生の責任を問う声もありますが、4月に入学して迅速に手続きをした人ですら、地元に帰って投票するか、投票用紙を請求するしかないということです。



3カ月の根拠について、総務省は「もともとは地方選挙で、投票するのは3カ月の居住実態がある人が『実務的に適切』とされた経緯があります」と説明しています。このルールが「混乱なく事務手続きができるように」国政選挙にも応用されたようです。



●「3カ月ルール」の短縮を求める学者も

2016年の参院選で全国の18~20歳に聞いた総務省調査では、投票したのは3000人のうち約半数。不在者投票をしたのは、たったの3%(45人ほど)でした。一方、投票に行かなかった人の理由として「今住んでいるところで投票できなかったから」が最多の20%でした。



学生の投票率上昇に向けた活動をする一橋大の小岩信治教授は、年度初めの住民票移動を加味して、3カ月ルールを2カ月に改める公選法改正を提案しています。



不在者投票の対象者自体はマイノリティではありますが、一部の18歳成人にとっては、政治への意識を大きく失わせるようなことになりかねません。「これが決まりだから」ということで済ませていいのでしょうか。