子どもの頃、夜中に起きてスーファミの電源を入れるのが日課だった音はミュートかイヤホンを付けて漏れないようにしたんだけど、バカだったので暗い部屋でブラウン管は煌々と点いているもんだから、よく母親に怒鳴られていた。
この頃、母親は「夜中にゲームをするな」と言って僕を叱責していたが、子どもだった僕はそれの何がいけないのか、全然理解できなかった。だって買い与えたのは親だし、こっちはちゃんと勉強もしているし、学校にも通っているし。
今思うとだけども、子どものためを思って云々とかより、親も人間なので単純に夜中までずっと遊んでる子どもを見るのがむかついたんだろうなって気がしてならない。ゲームばかりする子どもにイライラするのって、親あるあるだし。それこそ家庭用ゲーム機が普及した80年代からずっとある問題なのだろう。(文:松本ミゾレ)
「諦めました。ゲームへの情熱には勝てない」
先日、ガールズちゃんねるに「ゲームばかりの子供にイライラしてしまう」というトピックが立っていた。これを立てた人もそういう状況のようだ。
「小5男子、ゲームばっかり。時間を決めてもダラダラやります。取り上げるとキレるし。反抗期も始まってお互いイライラしてしんどいです。みなさんどう対応していますか?」
トピックには、同じような思いをしている親の声が結構見受けられる。ちょっといくつか引用していきたい。
「諦めました。ゲームへの情熱には勝てない」
「うちも中学生と小学校高学年の兄弟がいるので主さんのイライラはすごくわかる」
「自分もそうだったから諦める。ある程度の歳になったら飽きるだろうし。飽きなかったらヤバいけどとりあえず宿題やってちゃんと学校行ってるならいいかなと思う」
僕は子どもはいないけど、もし自分に小学生ぐらいの子どもがいて、ずっと何時間もゲームしてる背中なんか見えたら間違いなく不愉快な気分になるよなぁ。理由はせいぜい「おい、俺の払ってる電気代でいつまで遊んでんねん」程度のものしかないけどやっぱりムカつくというか。
我が子に限らず、恋人とか伴侶とか友人とか、誰でもいいんだけども、ずぅっとゲームしかしてない人を見てると、ムカつくようにできてるんだよね。人間は。勉強とか仕事とか家事とか、やらなきゃいけないことを放り出してゲームばかりやっている、と感じてしまうのだろう。
##そのイライラを言語化してみるのはどうか
で、問題はここからなんだけど、結局子どもがゲームしているのを見るとイライラしちゃう親は、どうなりたいのか。子どもにどうなってほしいのか。これを具体的にどこまで考えているかという話になってくる。
時間を決めて遊ぶ程度であれば容認するという親御さんもいるだろうし、ぶっちゃけ時間を決めてようが何しようが、子どもがゲームしてるだけでイラつくんだよって親もいるかもしれない。
または遊ぶゲームの内容次第って場合もある。人をバンバン撃って制圧しながら遊ぶFPSとか、残虐表現の激しいゲームをやっている我が子を見て不安になる親もいるだろう。萌えゲーを楽しんでる我が子の先行きを不安視する親もいるはず。
……ここで大事なのは、親が子どもに、何故怒ってるかの理由をちゃんと言語化して提示することではないだろうか。僕の場合は親が「いつまで遊んでるんだ」とか「夜中にゲームするな」というような言葉を浴びせてきたが、これではダメだ。
長時間遊ぶと何故いけないのか。夜中にゲームをしていると何故別室で寝てる親が怒るのか。それをちゃんと伝えてない親が多いんじゃないだろうか。少なくともうちの親はそうだった。
怒鳴りつけるだけでは子どもから反発されるのは当たり前。プレイ中の暴言が目立つ子どもに対しては「聞いてて不快だから汚い言葉を使うな」とか、状況に応じてきちんと言うべきだろう。
まあ、何を置いてもゲーム優先って子どももいるし、その熱量たるや親の叱責程度では霧散することもない。親御さんとしては腹が立って仕方がないだろうけど、逆に「ゲーム程度で熱中してくれて助かる」ぐらいに思うのも大切じゃないかなぁ、と。
変なYouTubeチャンネルの訳の分からんコンテンツに、親のお金を勝手にスパチャするとか、親のお金を盗んでソシャゲで課金しまくるとか。そういう子どもと比べるとまだマシだと、そう思って自分の中で折り合いをつけるとかね。完璧に手の掛からない子どもなんていないし、どうせ何言ってもゲームをやめない子どもはやめないのだ。
90年代の話になるけども、親から「ゲームをやめろ!」と怒鳴られたり、体罰を受けてでも決してやめない子どもも、僕の同級生にいた。絶対やめないという意思を持つ子どもには、もはやいくらイライラしても意味がない……。その情熱を別のものに向けるよう誘導するとか、トリッキーかもしれないけど別の方法を考えたほうがよさそうだ。