2022年07月01日 11:31 弁護士ドットコム
電車を撮影することが大好きな「撮り鉄」の一部の人たちの行動や態度が、度々問題となっている。これまで、列車の運行に影響を与えるものも含めて、ルール・モラルの両面から問題が指摘されている。これまでに「迷惑撮り鉄」たちが起こしたトラブルを振り返りたい。
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まずは最近の事例だが、2022年5月、東急目黒線を走る埼玉高速鉄道の車両の写真を撮ろうとした撮り鉄たちが、踏切の警報器によじのぼっていたため、列車は踏切前で停止した。停止後、担当乗務員が乗務員室から顔を出し、遮断機付近にいた人たちに対して、踏切道の外に出るように大きな声で注意した。
2021年3月には、暴走した撮り鉄たちによる線路上でのトラブルが起きてしまった、東京発高尾行きの中央快速線下り列車が、線路内に人の立ち入りを認めたため、立川駅~日野駅間(東京都)で停車した。最終的に安全が確認され、運行再開したのは約26分後だったという。
現場には多くの撮り鉄が集まっていたが、その目的は、長らく「踊り子」として活動し、同年3月12日に定期運行を終えた「185系」の廃車回送を撮影することだった。列車が停止すると、撮り鉄たちは一目散に逃げ出し、警察も出動する騒ぎとなった。
2022年1月には、京急線の品川駅のホームで、複数の撮り鉄たちが、肩車をしたり集団で脚立を立てて、試運転で入線してくる新型車両の1894番を撮影していた。
当時の報道によると、ホーム上には鉄製の柵があるとはいえ、多くの撮り鉄が黄色い点字ブロックの外側にまたがる形で脚立を設置していた。Twitter上にある動画からは、その行為が危険であることが自明だとわかる。
2016年4月の話だが、列車の撮影のために菜の花を踏み倒して敷地に入っていた撮り鉄に対して、真岡鉄道(栃木県)が公式facebookで「綺麗に咲いている菜の花を踏みにじって何も感じないのでしょうか?」と呼びかけた。
公式Facebookには、踏み倒された菜の花の写真が掲載され、同社の敷地内に侵入する撮り鉄に対して注意喚起した。
この投稿に対して、ネット上では「情けない」などの声が多く寄せられていた。
他にも、2022年2月にJR琵琶湖線の沿線で、撮り鉄たちが脚立を設置したことによって、近隣住民の生活道が塞がれてしまう事例も発生している。
少し特殊な事例としては、2021年8月、江ノ電を撮影しようとしていた撮り鉄が、江ノ電に並走するように自転車を運転していた男性に対して罵声を浴びせるトラブルも起きた。
撮り鉄たちのお目当ては、この日試運転していた「305」だったが、自転車で並走する男性に対して「どけー!」「死ね」「おい、なにやってんだよ」などと叫ぶ様子が撮影された動画がSNSで拡散した。
今回紹介したものはあくまで一部であり、実際はもっとたくさんのトラブルが起きている。いい写真が撮れるなら、周りがどうなってもいい、という姿勢が変わらない限り、今後もトラブルが起き続けてしまうだろう。