2022年06月30日 12:02 弁護士ドットコム
東京電力管内では電力需給ひっ迫注意報が発令されている。
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これを受けて、東京都庁(新宿区)では6月27日から、時間を区切って、庁舎の執務室の照明を一斉に消灯するなど、節電の対策をとっている。職員が作業する間だけ、必要な照明に限って再点灯したという。
真っ暗な部屋でパソコンの作業に打ち込む職員らの顔が、モニターの灯りでぼんやり照らされる光景が報じられた(6月27日・テレビ朝日)。しかし、このような働き方は法的に許されるのだろうか。厚労省に見解を尋ねた。
労働基準局の担当者によれば、職場(事務所)の照度は、事務所衛生基準規則で定められている。パソコンなどデスクワークは「精密な作業」「普通の作業」「粗な作業」の3区分のうちの、「普通の作業」にあたり、もとめられる手元の照度は「150ルクス以上」と規定される。
この規則は都庁であっても、民間の一般的なオフィスであっても適用されるものだ。
担当者は、上記記事の映像をみたうえで、「かなり暗い状況であるように見えるが、休憩中なのかもしれないし、たまたま一時的な場面を撮影したのかもしれない。動画だけではなかなか判断は難しい」としながら、
「実際に照度計で作業面(作業する手元)を測定し、150ルクス以上に保たれているのかどうかをみて、違反するかどうかを判断できると思う」とした。
基準を満たしていないとなれば、照度が保たれるように、スタンド(デスクライト)などを置くなどの改善がもとめられ、それでも違反が続けば、労働安全衛生法違反として、責任者に6月以下の懲役や50万円以下の罰金、また代表者に100万円以下の罰金が科される罰則も用意されている。
今年12月1日からは改正された規則が施行され、同様のデスクワークでも必要な照度は「300ルクス以上」に引き上げられる。
これは、照度不足で生じる目の疲労や、文字を読むために不自然な姿勢を続けることで引き起こされる健康障害を防止する観点にもとづくものだ。
時間帯によって太陽の光が差し込む具合が変わるなど、庁舎内の照度も刻々と変わり得るが、恒常的に暗い状態が続くような働き方を厚労省として推奨しないという。
「健康障害防止の観点から事業者には必要な照度が保たれる作業空間を設けていただくため、規則の遵守をお願いします」(担当者)