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賃貸のエアコンが壊れた!代わりのスポットクーラーも効かず…家賃減額はできる?

2022年06月30日 10:01  弁護士ドットコム

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夏の熱中症対策には欠かせないエアコン。壊れてしまったら、死活問題です。


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弁護士ドットコムに相談を寄せた男性は、住んでいる賃貸住宅のエアコンが壊れてしまいました。急きょ不動産会社から簡易的なスポットクーラーを送ってもらいましたが、部屋は全く冷えないまま。それでも、不動産会社は家賃減額をしてくれず困り果てています。



●【相談】自腹を切ってホテルに泊まり続けるしかない?

先日、賃貸住宅のエアコンが突然つかなくなりました。管理会社が手配した業者によると、耐用年数を超えてエアコンを使用していたことが原因でした。室外機が破損しており、修理にはあと1カ月かかるそうです。



この時点までで1週間が経過しており、子どももいることからホテルで数泊することになりました。猛暑の時期なので、エアコンが治るまでの期間は賃料を払わない旨、不動産会社には同意してもらいました。



その後、不動産会社がスポットクーラーという簡易的な冷風の出る機械を送ってくれました。大変喜んだのもつかの間、広い家なので全くスポットクーラーでは部屋が冷えないことが分かりました。部屋全体の温度は測っても1~2度ほどしか下がりません。



不動産屋に「全くこれでは部屋が冷えないので、やはり何らかの家賃減額等はお願いしたい」と相談しましたが、拒絶されました。



非常に暑いので、我慢していたら健康被害が出るのではないかと心配しています。こうした場合はやはり我慢する、もしくは、自腹でホテルなどに泊まり続けるしかないのでしょうか。



●賃料が減額される(回答・萱垣建弁護士)

賃貸借契約締結が2020年の4月1日より前の場合は、旧民法により「賃料の減額を請求することができる」ので、減額を請求することになります。



賃貸借契約締結が2020年の4月1日以降、あるいは、更新がそれ以降の場合は、改正された民法の「賃料が減額される」という規定が適用され、当然に減額されることになります。



では、いくら減額されるかですが基本的には交渉です。国土交通省の「改正民法施行に伴う民間賃貸住宅における対応事例集」によると、交渉では、家賃の30~50%が減額された事例、ホテル代が認められた事例もあります。



また、公益社団法人日本住宅管理協会が出している「サブリース住宅原賃貸借契約書(改訂版)」に記載された減額割合も参考になります。ただ、こちらはそれほどの減額は認めておらず、エアコンの故障については月額5000円減額(免責3日)と記載されています。



この「サブリース住宅原賃貸借契約書(改訂版)」は、個人との賃貸借契約ではなく、管理会社等が一括して借り上げる場合の契約書ですが、一般の契約や改正前に賃貸借契約を締結でも参考になると思います。




【取材協力弁護士】
萱垣 建(かやがき・たてる)弁護士
平成5年登録。弁護士経験25年以上。平成23年度愛知県弁護士会副会長。愛知県弁護士会及び中部弁護士会連合会の委員会の委員長、日本弁護士連合会の委員会の副委員長を経験。わかりやすく、疑問が残らないように説明することがモットー。
事務所名:かやがき法律事務所
事務所URL:https://www.sosapo.org/lp2/banda-law/