先般、こちらのコラムで「パチンコ依存症の親に育てられたという人々の書き込み」という記事を書いた。
元々は5ちゃんねるのスレッドから少し引用して書いたたコラムだったんだけど、公開後はガールズちゃんねるでも紹介してもらい、そこでも「こんな親がいるなんて」という具合に衆目を引いていていた。というわけで今回は、さらにこの話題を掘り下げていきたい。(文:松本ミゾレ)
子どもがいてもパチンコ優先の生活……
本題の前に一つ、深刻な事件についての話を。今月、北海道釧路市で幼い子ども2人を半日以上自宅に放置した夫婦が逮捕された。生後4ヶ月の息子は救急搬送されたが、死亡してしまった。
そして、逮捕された夫婦が外出していた理由というのが、よりにもよってパチンコ。まだ幼い我が子を長時間放置すれば命にかかわるなんて誰でも分かる。10代と30代のこの夫婦が普段どういう感覚でパチンコと向き合っていたかは分からないけど、自宅に残る子供を放置してパチンコなんて異常な事態だ。
子持ちパチンコユーザーの中にはこのニュースを見て気まずい思いをしたという者もいたのではないだろうか。実際、我が子を放置してパチンコに興ずる者はいる。僕もパチンコホールで社員として働いていた時期があるが、そうした事例を何例も見てきた。
「子供の頃、パチンコ屋の外でいつも遊んでた」
さて、前出のガールズちゃんねるの トピックにも、インパクトの強い書き込みが寄せられた。どれもこれもこの世に顕現した地獄みたいだ。
「うちはまさにこんな感じだった。父親がパチンカス借金癖あり。母親がパート。同居だから何とかなったけど、祖父母いなけりゃ子ども全滅してたかも」
「娘がパチ屋で働いてるけど、朝から夕方までずっと打ってる男の人がいて、スマホの待受は子供だったって言ってた」
「子供の頃、パチンコ屋の外でいつも遊んでた。少し大きくなると自宅に置き去り。9歳年下の弟(種違いの赤ちゃん)も置いていくから、面倒を見ないといけなくて出掛けられなかったなー」
「ガスとめられたり服とか食べ物とか買ってくれなかったりするのにパチンコについていくと1万円くれた。でも一緒に打つのが条件。もし私が勝ったらその玉を親へ上納する。両替する時に千円だけサッとポッケにしまい込んでた。後から見つかるとボコられるからある意味命がけ。パチンコ大嫌いなのに連れてかれてたな」
「母親が私の財布からよくお金盗んでた。私が寝ている間に財布見にきては抜いてた。追及したらヒステリー起こすから寝たふりしてやり過ごしてた」
うう、つらくなってきた。トピックではこういうような体験談が溢れているのだから恐ろしい。
自分の子供を打ち子のように使って、食うものも着るものも与えないのにパチンコのためには1万円渡すという非道な親に育てられてしまったエピソードなど特に心が痛い。そういう扱いしか出来ないのになんで子供を作ったのか。子は親を選べない。
少し前に「親ガチャ」なんてワードが流行ったが、間違いなくパチンコ依存の親の下に生まれるなんて最悪の立ち位置からのスタートだろう。
パチンコ業界側も依存症対策に取り組んできた経緯はある。たとえば前回も書いたが、子供を車に置いたまま駐車場に放置する親がいるので、店員が駐車場を巡回している。
さらに、事前申請した金額を超えても遊んでいるお客さんに対し、店員さんが声掛けをするというような仕組みを採用している店舗もある。しかし実際にその仕組みを利用している遊技客を見たことは、僕は一度もない。
パチンコ依存症の人って重篤であればあるだけ無自覚だから、たとえ業界側がそういったシステムを用意しても鼻で笑って無視するのだ。そうして自宅にひもじい思いをする子供がいても、自分だけは空調が効いたホールで悠々と無駄遣いをしているのである。