トップへ

意外と知らない「クルマ」の豆知識 第35回 高速道路がお得に? 大型トラックがタイヤの一部を持ち上げている理由

2022年06月17日 11:31  マイナビニュース

マイナビニュース

画像提供:マイナビニュース
高速道路を走っていると時たま、後輪の一部が路面に接していないトラックを見かけることがあります。せっかくタイヤがたくさんついているのに、なぜ全てで道路を捉えようとしないのでしょうか? モータージャーナリストの内田俊一さんに聞きました。


○トラックの分類と車軸の深い関係



高速道路の料金体系は「軽自動車」「普通車」「中型車」「大型車」「特大車」にわかれている。大体、後輪の一部がリフトアップされているのは特大車のカテゴリーに属するクルマだ。



この特大車には「普通貨物自動車」と「トレーラ」が含まれる。普通貨物自動車の特大車は4車軸以上で大型車に区分される普通貨物自動車以外のもの。トレーラはけん引中型車と被けん引自動車(2車軸以上)との連結車両、けん引大型車と被けん引自動車との連結車両で車軸数の合計が4車軸以上のもの、および特大車がけん引する連結車両だ。



大型車も「普通貨物自動車」と「トレーラ」なのだが、中身が違う。普通貨物自動車の大型車は車両総重量8t以上または最大積載量5t以上で3車軸以下のもの、車両総重量25t以下。ただし、最遠軸距5.5m未満または車長9m未満のものについては20t以下、最遠軸距5.5m以上7m未満で車長が9m以上のものおよび最遠軸距が7m以上で車長9m以上11m未満のものについては22t以下、かつ4車軸のものおよび被けん引自動車を連結していないセミトレーラ用トラクターで3車軸のもの、ということになる。



大型車のトレーラはけん引普通車と被けん引自動車(2車軸以上)との連結車両、けん引中型車と被けん引自動車(1車軸)との連結車両およびけん引大型車(2車軸)と被けん引自動車(1車軸)との連結車両だ。これらの分類は「ドラぷら」の高速道路の車種区分より引用した。

つまり、特大車と大型車の違いには車両総重量以外に車軸の数が関係してくる。簡単にいうと、車軸が4つ以上あると特大車、4つ未満だと大型車に分類されるとみていい。


この軸の数え方だが、実は路面に接しているかどうかがポイントになる。基本的にトラックは積載量を考慮して設計されており、車軸が多い方が積み荷を多く積載できる。ただ、空荷の場合はそこまで必要ないわけだ。



そこで登場するのが「リフトアクスル」というもの。重量によって1軸(あるいは2軸)を路面に設置しないようにする仕組みだ。そうすることで、車両の区分を特大車から大型車に変更することができる。



例えば東京から福岡までの1,000kmちょっとは特大車だと6万2,410円、大型車だと3万7,420円なので、2万5,000円あまり節約できる計算になる。当然だが、路面を捉えていないタイヤは摩耗しないし、燃費も向上させられるので、輸送会社は積極的に利用したいはずだ。リフトアクスルを装備するトラックは200万円ほど高額になるが、使用期間が長いので十分に元が取れる。



注意しなければならないのは、軸数は積み荷の重さに対して規定されているので、むやみにリフトアクスルを利用すると違反になることもある。それさえ守れば、非常に有効な機能といえるだろう。普通車の利用者から見ても、リフトアクスルを使ってくれれば路面の痛みも軽減されるので、恩恵があるのだ。



内田俊一 うちだしゅんいち 1966年生まれ。自動車関連のマーケティングリサーチ会社に18年間在籍し、先行開発、ユーザー調査に携わる。その後独立し、これまでの経験をいかしてデザイン、マーケティングなどの視点を含めた新車記事を執筆。また、クラシックカーの分野も得意としている。日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員、日本クラシックカークラブ(CCCJ)会員。 この著者の記事一覧はこちら(内田俊一)