2022年06月16日 11:41 弁護士ドットコム
ネットショッピングで「後払い決済システム」を利用できるECサイトが広がりを見せている。クレジットカードがなくても使える利便性の高さ、商品を受け取ってから支払う安心感などから従来、ネットショッピングをしない人たちからも支持されているようだ。
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しかし、このシステムが悪用され、注文をしていないのに請求書だけが届くというトラブルが発生した。ツイッターにその体験を投稿すると、大きな反響となった。当事者に聞いてわかった手口とは。(ジャーナリスト・宮崎文子)
取材に応じてくれたのは西日本に住む女性。5月、女性の自宅に心当たりのない請求書が届いたという。明細には、約1万円の夏用タイヤとあり、身に覚えがないため「奇妙だな」と女性は感じつつも、そのままにしていた。
しかし、その奇妙な請求書は翌日にも届いた。今度は約4000円の無線機と明細にある。購入日はタイヤの翌日だった。
流石におかしいのでは? 不審に思った女性は、請求元に問い合わせをし、購入者を調べてもらったところ意外な事実がわかった。
「メルカリで取引をした人では・・・」
タイヤと無線機の届け先の住所は同一だった。そして女性は、以前メルカリで出品した際にこの住所に商品を送ったことを思い出したのだ。
メルカリでは、出品者も購入者も互いの個人情報を把握しない「匿名配送」を選ぶこともできるが、手数料を抑えるために普通郵便扱いで出品する商品もある。
女性は以前、普通郵便でこの住所へ送ったことがあり、その際に自身の住所も明らかにしている。「購入者はその時知り得た個人情報を悪用したと思う」と女性は憤った。
女性が請求元である「NP後払いシステム」の運営会社であるネットプロテクションズに問い合わせすると「請求書は破棄してください」と言われたという。購入者の情報開示やなぜ、請求先として承認されたのかについては教えられなかった。
この顛末を女性が自身のTwitterに投稿すると、同じようなトラブルに見舞われた人たちがいることもわかった。
取材を進めている最中にも、無線機の翌日に買ったとされる加湿器の請求書が届いたという。届き続ける請求書に対して気を揉む日々を過ごしている。
運営会社であるネットプロテクションズは、「悪用に伴う誤請求に関してはこれまでのケースではなかった、想定外だった」と回答した。
審査条件に関しては「企業秘密」とするが、「身に覚えのない請求書がきたら連絡してほしい」とのことだ。女性の元に届いた請求書を破棄するよう説明したことについては「手元にあった際に誤ってお支払いをしてしまうことを避けるため」だったと回答した。
いくら身に覚えがないから払わなくて大丈夫と言っても自分宛に請求書が届き続けることは気味が悪いはずだ。また請求書に気がついた家族が払ってしまい、知らず知らずのうちに被害が生まれていることもあるかもしれない。
利便性が高いネットショッピングやフリマサイトだが、システムを悪用する人たちがいることも忘れてはいけない。女性は「私のような体験をする人の再発防止のために取材に応じました。商品は届いているのにこれがどうなるかも教えてもらえず、後払いシステムの審査も不透明で不信感が拭えません。巻き込まれないようにしてほしい」と話してくれた。