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King & Prince、KREVA提供曲「ichiban」で打ち出す新機軸 パワー溢れるダンスと遊び心がポイントに

2022年06月15日 06:01  リアルサウンド

リアルサウンド

King & Prince

 4thアルバム『Made in』の発売を6月29日に控えるKing & Prince。6月5日にはリード曲である「ichiban」のMV(YouTube Edit)が公開され、現在までに動画再生数600万回と好調な伸びを記録している。


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 「ichiban」は、KREVAが作詞・作曲を手掛け、振付はRIEHATAが務めた。サウンドは箏などの繊細な和を取り入れたのに対して、ダンスではKing & Princeの強さを見せる。


 同MVでは、天に向かって真っすぐに伸びる竹や、満月を思わせるセット、真っ赤に照らす提灯など、日本の美を取り入れたセットで世界観を演出。色彩豊かな雰囲気が和のサウンドとマッチしている。それらをバックに、圧倒的なダンスパフォーマンスで魅了するのが彼ら5人だ。


 クールな表情で、待ち構えるようにしてカメラを見つめる5人。表情からも強気な一面が伝わってくるのだが、〈まさかのまさか〉と歌ったり、時折メンバーが目を合わせて微笑んだりする様子には、肩の力の抜けた心の余裕さえ感じる。


 音ノリが良く、歯切れの良い歌詞に、振付もまたリズムを細かく拾っていく。滑らかに全身を動かす大きな振り付けもあれば、〈ichiban〉で口元に指を当てたり、〈まだまだ〉では両手を広げてみせたり、歌詞とリンクさせながらキュートな遊び心も盛り込まれている。月を彷彿とさせる丸い照明を背に歌うシーンは、まるで満月に咆哮する狼のよう。


 平野紫耀、髙橋海人、神宮寺勇太が重厚な声色を響かせ、永瀬廉と岸優太の透明感を含んだ歌声が続くなど、これまでに聴かせてきた歌声とはまた違った声色が、和のサウンドと馴染むようにして響いている。その表情も細かく変わり、全員が俳優として培ってきた表現力も込められている。


 6月10日放送の『ミュージックステーション』(テレビ朝日系)に出演し、SixTONESのステージに続いて同曲を披露したKing & Prince。カメラに背を向け、円陣を組むようにしてスタンバイ。手を握ったりタッチしたり、笑顔を浮かべながら余裕すら感じられた。ジャージやパーカーなどのストリートテイストのラフな衣装をまとい、これまでの彼らの印象をがらりと変えての登場だった。


 5人がギュッと寄ったMVとは異なり、スタジオを大きく使って前後左右、V字を形成するなどめまぐるしくフォーメーションを変える。Aメロ直前には、左右端を陣取った神宮寺、髙橋がくるりと回転。中央には平野。永瀬と岸が広げた腕を振り払って、〈時代のニーズとか 誰かの期待通りとか〉と“突破”を意味するかのようにソロパートへ。一瞬メンバー全員が滑らかな動きを見せたかと思えば、髙橋が拳を挙げ〈実際もういいかな〉と続ける。その変則的な動きに目を奪われるのだが、振付と歌詞とがカチッと音がするかのようにハマる心地よさもある。ダンスに歌唱、表情にフォーメーションと、とにかく目も耳もロックオンされるような情報量の多いパフォーマンスを見せた。


 King & Princeのダンススキルを打ち出したとも言える本作。『Made in』というルーツを大切にしたコンセプトに相応しく、日本語の歌詞でダイレクトにメッセージを伝える。MVではサビから衣装をチェンジし、赤いスーツ姿で足元はスニーカーと、彼らの漲る意志が込められているかのよう。


 滑らかな足さばきに予測不能なフォーメーションと、“これぞKing & Prince”という緩急のついたダンスもリリースごとにパワーを増している。磨き上げられたダンス、歌詞に込められた強さ、歌唱時に見せる強さ。またわずかに微笑んだり、眉をくいっと上げたり、ストーリーとリンクした表情が重なることで、“意志あれば道あり”のような、オリジナルスタイルでNo.1を目指すスタンスが感じられる。


 繊細さと激しさという振り幅がありながらも、〈夢見るのなら キミの行く場所は/他じゃないよ ココ〉という一節はなんともKing & Princeらしい世界観だ。(柚月裕実)